カイロプラクティック哲学

B.Jパーマー
B.Jパーマー

ここ最近カイロプラクティックの事を、いろいろと考えることがあり、その世界にしばらく浸っていました。もともと私は、治療の業界にお世話になるきっかけが、カイロプラクティックだったので、カイロプラクティックに対する想いは人一倍強いかもしれません。

カイロプラクティックの世界には、ストレートカイロプラクティックという言葉があります。どのような意味かというと、施術においてカイロプラクティックの手技以外のものを用いないで行うというもので、当然、問題となっている箇所以外は治療しないというものです。

似たような言葉に、メジャー治療とか、スペシフィック・アジャスト(原因箇所に限局した施術)というものもあります。ストレートカイロプラクティックには、カイロプラクティック哲学というものがあり、それがバックボーンとなって、その理念のもとに施術が行われています。

カイロプラクティック哲学の中に、イネイト・インテリジェンスと、サブラクセーションという言葉があります。これらの言葉は西洋医学的な解釈とは一線を画するもので、カイロプラクティック独自の考えに基づくものです。

イネイト・インテリジェンスとは、先天的な知能、内在された叡智などと呼ばれ、人間が本来持っている自然治癒力とも受け取ることができます。このイネイト・インテリジェンスは、脳から脊髄神経を経由し、末梢神経を介して全身の器官、組織、細胞へと流れていくと考えられています。

このイネイト・インテリジェンスが正常に流れていれば、健康であり、逆にどこかにその流れに滞りがあると、身体の調子を崩し、免疫力が低下したり、場合によっては病気になったりします。

神経系の障害により、このイネイト・インテリジェンスの流れが阻害されている部分を、サブラクセーションと言います。ストレートカイロプラクティックでは、このサブラクセーションのみを施術の対象とし、その他の部位には一切施術を施さないというものです。

例えば、B.J.パーマーの行っていた、ターグルリコイルテクニックでは、第一頸椎もしくは、第二頸椎のみを施術の対象にしています。

ガンステッドテクニックでは、後頭骨、頸椎、胸椎、腰椎、仙骨、腸骨、四肢などあらゆる部位を施術の対象としますが、メインは脊柱と骨盤になります。トムソンテクニックやピアーズテクニックも、脊柱と骨盤が主な施術箇所となります。

この様に、カイロプラクティックでは、主に脊柱(椎骨)や骨盤のどこかにイネイト・インテリジェンスの流れを妨げているサブラクセーションを求め、そこをメジャーポーンととして、アジャストします。アジャスト後は、イネイト・インテリジェンスの働きに任せるというのが、ストレートカイロプラクティックの考え方です。

この様な話を聞くと、なんだかとってもカッコイイ治療法ではないですか。ワン・アジャストで全てが変わる夢の様な治療法だと思いませんか?

9回裏、2死満塁、3点差ビハインドという場面で、阪神の代打、川藤が、巨人江川から一振りで、代打満塁サヨナラホームランを放つようなものです。(古い例え話でごめんなさい)

ガンステッドでも、主に頸部、胸部、腰部の3か所で、大体かたが付いてしまいます。これをまたまた野球に例えると、巨人の槇原を、バース、掛布、岡田の3連続バックスクリーン・ホームランでノックアウトしたようなものです。(またまた古くてごめんなさい、西武ファンなら秋山、清原、デストラーデですが、しつこいので止めます)

とにかくストレートカイロプラクティックとは、その哲学とともにとてもカッコよく、これが上手く決まれば、治療家として、職人冥利に尽きるというものです。

しかし、現実はそんなに甘くはありません。実はストレートカイロプラクティックには、様々な障壁があるのです。

まず、カイロプラクティック哲学の神髄であるイネイト・インテリジェンスとは、そもそも何ぞやということです。イネイト・インテリジェンスは、目には見えない、手で触れない、現代医学的な検査においても計測不可能なものなのです。これを理解するとは即ち、深遠な宇宙の真理を理解することと同じ様なものなのです。

そしてまた、もう一つの、カイロプラクティック哲学の柱が、サブラクセーションです。これもまた、万人が納得するような言葉を私は持ち合わせていません。サブラクセーションとは単なる椎骨の変位をいうのではなく、神経学的障害、ひいてはイネイト・インテリジェンスの流れが障害されている部位のことをいいます。

では一体、脊椎や骨盤の中で、どこにサブラクセーションが存在するのか、それをどの様に診断するのが一番良いのでしょうか。サブラクセーションの前提となるイネイト・インテリジェンス自体が、なかなか掴みどころの無いものなので、サブラクセーションについても、どうしても曖昧さが付いて回ります。

人間は自分の知識や経験をもって、物事を測る尺度としていますので、自分のレベルに見合った理解しかできません。よって、サブラクセーションについても、それぞれの施術者のレベルに応じて、その部位の選定がなされていると思います。

目の前の現実は一つでも、その解釈は無限大にあるのです。この辺がストレートカイロプラクティックの大きな問題だと思います。

次に、百歩譲って誰もが認めるメジャーポイントが見つかったとします。けれども、その部位を的確にアジャストできるかという、もう一つの技術的な問題が浮上してきます。最小の施術で、最大の効果を出すということは、それなりの精度をもったアジャストが要求されるのです。技術者として当然クリアしなくてはいけない水準はありますが、これもストレートカイロプラクティックを行う上で、かなりの障壁となります。

最後の障壁は、患者様です。ストレートカイロプラクティックのシンプルな施術に患者様がどのような反応を示すかということです。

ほとんどの患者様は、ある程度の時間をかけて施術されることを望みます。逆にストレートカイロプラクティックの施術者は、できるだけ短い時間の中で、アジャストを完了することを目標とします。ここに患者様と施術者とのギャップが生まれます。

患者様は、遠い所から時間をかけて、はるばるやってきたのだし、お金を払っているのだからもう少し長く施術をしてほしいと思うのも無理はありません。

一方、施術者は、施術の目的が完遂されればそれで終了なので、たとえ短時間でもそれ以上の施術はしないのです。これを患者様に理解していただくという壁も相当なものだと思います。

私も、以前、「延長料金を払うからもう少しやってくれないか」と頼まれたことがあります。

ストレートカイロプラクティックの場合は、特に患者様のご理解と、施術者との信頼関係が大切になると思います。施術者側の哲学や、理念、技術などがいかに素晴らしくても、それを無理強いしては、武士の商法と同じです。

最終的にその治療を選ぶのは、患者様の方なのです。独りよがりの施術を押し付けるわけにもいきません。施術者の真摯な心をもって日々の臨床に当たることが、ストレートカイロプラクティックを志す上で一番大切ではないかと思います。

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