所得と健康

低所得の人の死亡率は、高所得の人のおよそ3倍です!

今回ご紹介する書籍は、「健康格差」NHKスペシャル取材班 講談社現代新書です。

WHOが健康格差の要因として次の4つをあげています。

  • 所得
  • 雇用形態
  • 家族構成
  • 地域

これらの要因によって、私たち一人一人の健康状態や寿命まで変わってしまうというのです。

例えば、65歳以上で要介護認定を受けていない人2万8162人を4年間にわたり調査したところ、その間に死亡した男性高齢者は、高所得の人が11.2%に対して、低所得の人はその3倍の34.6%に及んでいるという衝撃的な調査報告が2008年に発表されています。(日本老年学的評価研究プロジェクト)

地域と健康

実は所得以外の要因、住んでいる地域、雇用形態、家族構成などが絡み合って、健康問題に重くのしかかってくるのです。

例えば、2014年の東京都の発表した足立区と杉並区の65歳健康寿命では、杉並区が男性で83.19歳、女性が86.06歳なのに対し、足立区は男性81.44歳、女性84.42歳と、2歳近い差があることが分かった。

さらに全国の健康寿命は、1位は男女とも山梨県だが、最下位は男性で徳島県、女性は大阪府となり、その差は3歳以上になっている。

雇用形態と健康

また雇用形態でも、非正規雇用の人は正社員より糖尿病の合併症の糖尿病網膜症を悪化させる割合が1.5倍高いとのデータがあります。(民医連 2014年調査)

低所得の人は高所得の人に比べ、精神疾患で3.4倍、肥満や脳卒中でおよそ1.5倍発症のリスクが高い。歯の本数20本未満の人も低所得者は男性で3ポイント、女性で5ポイント高かった。(厚生労働省:国民健康・栄養調査2014)

背景にあるのは、非正規雇用の増大とそれにともなう収入格差の拡大が、教育格差、健康格差へと連鎖してるためです。

そして「下流老人」と言われる低所得の人ほど、お金がないため医療機関の受診を控えています。具合が悪いのに医療機関の受診を控えたことがあると答えた高齢者は、年収300万円以上の人が9.3%、年収150万円未満の人は13.3%。その理由として、年収300万円以上の人は「待ち時間」をあげ、年収150万円未満の人は「費用」をあげる人が最も多かった。

お財布イラスト

当院も自由診療で腰痛肩こりの患者様に施術をさせていただいております。保険がきかないので全額実費になってしまいます。そうするとその金額を払えるか払えないかで、まず患者様の選択がわかれてしまいます。

自分の仕事なのでとても実感がありますが、「腰痛で辛いけど保険がきかないからやめときます」といわれると、こちらも何もしてあげられない辛さがあります。当然ここにも収入の格差が現れてしまうのです。

ただし、保険でできる腰痛や肩こりの施術と、保険外で行うものとはやはり違うのです。そもそも、一般的な腰痛や肩こりを、接骨院(整骨院)で保険で施術することはできません。接骨院で保険で行えるものは、急性のケガだけです。

具体的には、骨折・不全骨折・脱臼・捻挫、打撲、挫傷だけが健康保険の適用となるので、それ以外を保険で行うことは不正請求になってしまうのです。

話を戻して、日本の貧困率がOECD(経済協力開発機構)先進35か国中7番目に高いと指摘されています。

「健康格差」は、「自己責任」と考えることもできるが、健康格差を放置すれば、医療費や介護費の増大から国家財政の圧迫を招きます。その結果、社会保障制度の切り下げや保険料の値上げや増税という形で、国民一人一人にのしかかってくるのです。

現在、生活保護の受給者は年々増加しており、その理由の一番が「疾病」である。

谷井治療室の患者さんの1人に20代の女性がいました。その方の彼氏が健康保険に未加入で病院にかかれないと悩んでいたのを思い出します。

「健康診断格差」というものも存在し、正社員の定期健康診断を実施した企業は93.5%もあるのに、パート労働者は33.9%、派遣労働者にいたっては、27.0%にとどまっています。(厚労省:労働安全衛生調査 平成24年)

確かに私も個人事業なので、自分で健康診断に行かなければ誰も支援してくれないという立場にいるのは事実ですので、自分の健康管理が重要になってきます。

家族構成と健康

また未婚者に迫る「健康格差」もあります。45~64歳の未婚男性は、同世代の既婚者の2.2倍死亡率が高いことが分かった。ちなみに女性はあまり差がなかった。(厚労省人口動態統計2014年)

別の調査で、未婚男性と既婚男性では、心筋梗塞による死亡率が3.5倍、呼吸器系疾患によるものが2.4倍、自殺を含む外因死で2.2倍などと様々な原因での死亡リスクが高かった。

現在50代男性の5人に1人が一人暮らしと言われます。(総務省 国勢調査)

単身赴任の男性も食生活などが乱れる恐れがあるので注意が必要ですね!

介護にも格差が出ており、特養に入れない人は、民間の有料老人ホームに入ることを考えるが、1か月にかかる費用の平均が20~25万円と言われています。この費用を払えない人は、無届の老人ホームとなります。1か月にかかる費用の平均は、11~12万円程度だといわれています。

ただし費用が安いということは、平均的にサービスの低下があることが危惧されています。

2025年問題がありますが、団塊の世代の全てが75歳を超え後期高齢者となり、国民の3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上という、人類が経験したことのない『超・超高齢社会』を迎えます。

それとともに、「認知症社会」の到来が必ず来ます。厚労省の調査では、2025年には 認知症と軽度認知障害を合わせると、その数は1300万人になると試算しています。これは国民の9人に1人、65歳以上に限れば実に3人に1人の割合です。

ご高齢者だけでなく、子供にも貧困問題が重くのしかかっており、日本の子供の6人に1人は貧困とのデータもあります。

当院の患者様の歯科医師の方にうかがったところ、子供の家庭環境(生活水準)と虫歯の関係は確実にあるといっていました。

ここまで暗い話が続きましたが、結論としては貧困と病気は確実に関連しています。例えば、「非正規雇用の仕事」で、「低所得」で、「独身」となると病気になるリスクが格段に高くなってしまいます。

健康は自己責任か?

病気になるのは自分の健康管理ができていないからだという意見もありますが、人間生身である以上いくら気を付けていても病気やケガに見舞われることはあります。特に高齢になればなるほどそのリスクは高まります。

聖書にも次のような聖句があります。

あなたの頭をさして誓ってもいけません。あなたは、一本の髪の毛すら、白くも黒くもできないからです。 (マタイ福音書5章36節)

お釈迦様も 生老病死 (しょうろうびょうし)の苦について説かれています。「仏教の苦しみと言うのは「思い通りにならないこと」を意味します。

これらの教えを見ると、自分の健康は自己責任と切って捨てるようなことは言えません。

しかし、自己責任論もわからなくはありません。自分の境遇を時代や社会のせいにしてもしょうがないし、他責思考では自分の状況を変化させることができません。

当院の患者様にも、食事や運動法などアドバイスさせていただくこともありますが、なかなかご理解いただけないことも多く、お釈迦様ではないですが、「縁なき衆生は度し難し」と思ってしまうこともあります。

ただし人間はいつまでも若くて元気でいることはできませんし、人生常に順風満帆というわけにはいきません。自分が順風の時は鼻息荒く自己責任論を唱えることもできますが、ひとたび自分が弱者に転落すれば立場は逆転してしまいます。

日本の社会がこれから大きく変化していく中で、一人一人がどう生きていくかが問われています。

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