過当競争と不正請求

前回のブログでは、「無資格マッサージ」について、書きましたが、今回は「整骨院・接骨院」のテーマについて書きたいと思います。

整骨院

そもそも整骨院と接骨院って、似ている名前だけど何が違うのでしょう。

もともとは、柔道整復師法第24条(広告の制限)で、施術所名称として用いることができるのは、「柔道整復」、「ほねつぎ」または「接骨」の3つだったのです。

でも最近になって、「整骨院」という名称があまりにも増えすぎてしまったので、今更取り締まると、かえって混乱を招くということで、今は処罰の対象にはならないそうです。

札幌の街にも整骨院の看板をよく見かけるようになりました。その理由は、規制緩和で柔道整復師(整骨院を開業できる資格)の養成校が増え、その結果として、柔道整復師が増えたためです。

平成10年に全国で14校しかなかった柔道整復師養成校が、平成27年には、109校に膨れ上がっています。卒業生も7000人に迫る勢いで、医大のそれに近づいています。

毎年これだけの柔道整復師が誕生するとなると、その結果として整骨院が増えるのもうなずけます。柔道整復師には開業権が認められているので、資格を取ったら、いずれは開業というのは自然な流れです。

ただ、人数が増えた分試験が難しくなったのか、学生のレベルが落ちたのかは分かりませんが、柔道整復師の国家試験の合格率が、平成10年では、85.6%だったものが、平成27年では、65.7%と下がっています。

私がこの業界に入ったころは、柔道整復師になるには、有力なコネが必要で、それなりにお金もかかると聞いたことがあります。それが今では、自由に学校を選べて、入学も以前に比べ容易になりました。

しかし、入学が楽になったかわりに、卒業後の進路や開業が競争激化で大変になっていると聞きます。同業者がこれだけ増えると、そうなってしまうのも無理はありません。

ここで問題なのが、柔道整復師には健康保険の適応が認められているということです。ただこれには条件が付いており、健康保険で行える施術は、急性期の症状に限られます。具体的には、骨折、脱臼、捻挫、打撲、挫傷です。しかも、骨折と脱臼の施術は、医師の同意が無ければ行えないことになっています。

ここで疑問なのが、街中の整骨院が健康保険で施術している捻挫や打撲の患者数は、一体どの位いるのかということです。本当に毎日これだけの数の捻挫や打撲の患者がいるのでしょうか?

どうやらこの数字には、限りなく黒に近いグレーな部分があるようで、昨今テレビなどでも柔道整復師の健康保険の不正請求が取り上げられ、問題視されています。

どういうことかというと、本来は健康保険で扱えないはずの慢性的な腰痛肩こりなども、急性の捻挫などと病名をすり替え、保険適用にしたり、来院回数を水増ししたりと、数々の不正が行われているというのです。

整骨院での施術代金の支払いには、償還払いと受領委任払い制度というものがあります。柔道整復施術は本来、「償還払い」が原則です。

「償還払い」というのは、施術を受けた患者が保険者に対して医療保険療養費支給申請手続きを行い、医療保険適用分に相当する立て替え分 (施術料金総額-一部負担金) の返金を受けるものです。

しかしこれでは、償還払いの手続きを行うまでの間、患者は施術料金を立て替えなければなりません。これは、患者に一時的と言えども経済的な負担を強いることになります。

また、患者は、償還払いの手続きを行うという手間もかかります。

以上の負担を軽減する目的で、柔道整復師が患者に代わって(委任を受けるかたちで)償還払いを受ける方法である「受領委任払い制度」が設けられたわけです。

この受領委任払いの制度は、患者の利便性を目的とした制度ですが、何故だか柔道整復師は、この制度は自分たちの権利だと勘違いしている人もいます。

患者が、この受療委任制度を利用するには、柔道整復師が作成した療養費支給申請書の委任状欄に署名することが必要となります。これにより、整骨院での窓口で保険の適用になり、患者は自分の負担額のみを支払えばよいことになります。

この署名を行う際に、療養費支給申請書に傷病名や施術日数など何ら記載のない状態のことを「白紙委任」と呼ばれています。

この白紙委任が、不正請求の温床になっているのです。白紙のままなので、患者の知らないところで、後から整骨院側でいかようにも都合のいい様に請求できるのです。

実際に患者が受けた施術内容と、全く違う請求がされることもあるというのです。

以前にも朝日放送の「ムーブ」で、これら整骨院の不正請求について取り上げられています。

ただ、ここまで不正請求のことを書きましたが、当然、真面目に正しくお仕事をしている柔道整復師の先生方もたくさんいると思います。不正を行わないと経営が成り立たないという現状もあると思いますが、これでは自分の首を自分で絞めるようなものです。過当競争の中で、整骨院の在り方が問われる時代ではないでしょうか。

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