痛みと脳の関係

痛みを我慢すると病気になるって知っていましたか?

今回ご紹介する書籍は、「痛みをやわらげる科学」 下地 恒毅(しもじ こうき) 著  SBクリエイティブ株式会社です。

痛みとは何か? この答えは難しく、実は痛みの本体や機序(しくみ)は、ごく一部しか解明されていないというのが事実なのです。

痛みのコントロールと言えば麻酔が有名ですが、世界で初めて全身麻酔を用いた手術を成功させたのは、江戸時代の日本の外科医で華岡青洲(はなおか せいしゅう)です。

全身麻酔は200年以上前から行われているものですが、実は全身麻酔がなぜ効くのか、その原理はあまり良くわかっていません。意識を司る脳の仕組みが完全に解明されていないので、仕方がないとも言えますが。

特に吸入麻酔については、何十年も前から経験的に使われてきたので安全だろうという考え方の元に行われています。経験則で実施されていることに恐怖感じるかもしれませんが、医学では経験則を元に実施されていることも多いのです。(医学は科学でないとも言えます)

しかし、麻酔や痛み止めのお薬は、痛みはとってくれますが、なぜ痛くなったのかという原因までは取り除いてくれません。

心頭を滅却すれば火もまた涼しと言いますが、痛みを我慢することは実際にはかなりの苦痛を伴いますし、むやみやたらと痛みをこらえることは、体に悪いこともあるのです。

痛みの感覚は本来、病的状態を異常信号として脳に知らせ、それから回避させるために備わった生体の警報装置です。

ただし、ひとたび病気になってしまうと「痛み」が逆に我々を苦しめ、痛み自体が病気の本体になってしまいます。

人は痛みを不快と感じ、これが持続すると心身が正常に機能しなくなります。ただし、この状態が短期間ならば、心身の機能は正常に戻ります。

しかし、痛みが長期間続くと障害を受けた身体の機能はなかなか正常には戻らなくなるのです。

また、痛みは記憶(脳の可塑性)され、種々の悪循環を生む原因となります。

痛みの持続 ➡ 自律神経の異常 ➡ 心臓血管・消化管などの機能障害 ➡ 精神症状の悪化

実際に、痛みを我慢し続けた結果うつ病を発症してしまうこともあるのです。

以前、「アガスティアの葉」で有名な、青山 圭秀(あおやま まさひで)先生の講演を聴いたことがあります。その中で、痛みについてのお話があり、帯状疱疹(たいじょうほうしん)で、稀に痛みが一生涯残る人もいるということと、それによって自殺する患者もいるという内容にショックを受けたのを今でも覚えています。

痛いという刺激は、大脳皮質の感覚野(中枢)で感じますが、同時に大脳辺縁系でそれを不快や苦痛と感じるのです。

不快や苦痛は情動をともない、これが慢性的に続くとかなりのストレスとなります。私の治療院に来る患者様も頭痛首や背中の痛み腰の痛みなど大変お辛い症状を訴える方がたくさんいます。

症状が強い患者様は、決まって「何回で治りますか?」と聞いてきます。それ程精神的に追い込まれているのです。

また、筋肉に対する触診をした際に、鋭い圧痛を訴える患者様は、急性期や、悪くなってからそれ程期間が経っていない場合が多く、感覚神経も正常に働いています。

しかし、慢性的に症状が続いている人は、こちらが触診で圧痛を誘発させても、あまり痛みを感じないか、逆に気持ち良いなどと感じたりします。

ぎっくり腰など激しい痛み症状をともなうものも、急性症状なので回復も早いのです。逆に鈍い痛みでも慢性的に何年も続いているものは、なかなか治療に反応してくれないものもあります。

悪くなる時は、痛み ➡ 痺れ(しびれ)➡ 麻痺 の順で悪化していく時があります。強い痛みが、やがて麻痺(感覚鈍麻)になるのは、ある意味で痛みから解放されるのですが、決して良くなっているわけではないのです。

痛みと精神状態も関係が深く、ハーバード大学院の調査では、慢性の痛みを持っている人は何らかのうつ症状を持っており、またうつ症状は慢性の痛みを増悪することがわかりました。

また慢性の痛みを持っている人は、精神疾患にかかる率が3倍に増えることが報告されています。

メイヨークリニックの研究によると、うつ病患者の多くがなんらかの慢性の痛み、特に頭痛や背部痛を持っているようです。

著者の下地 恒毅先生のご経験からも、慢性の痛みを持っている患者さんの約3割がうつ病を持っているそうです。

さて、ここまでは痛みが原因となって精神疾患になるお話をしてきましたが、逆に精神的にストレスをかかえ常に心にゆとりが無いと、痛みに対する閾値を下げ(痛みに敏感になる)、痛みの程度を増強します。

悲しみや悩み、不安や緊張、過度のストレスは、痛みを増やしてしまうのです!

また、精神状態で、痛みをコントロールすることはある程度可能だと思いますし、身体には痛みを抑えるメカニズムも存在します。

デイヴィッド・リビングストン

スコットランドの探検家デイヴィッド・リビングストンが、アフリカ探検中にライオンに左手を嚙まれていたときにはまったく痛みを感じなかったそうです。

逆のケースで、あまりの痛みで気を失ったという話もあります。知人男性の学生時代の出来事です。体育の授業でバレーボールを行っていた時に、支柱に激突、股間を強打し気絶してしまったというのです。男なら誰でもわかるあの痛みです。しかし気絶するほどの股間の痛みとはどんなレベルの痛みだったのでしょう? 想像するだけでこっちも痛くなってきます。

痛みに対する感じ方には個人差があります。これをコップに例えると、もともと大きなコップを持っている人もいれば、小さなコップの人もいます。大きなコップの人は小々の痛みには動じません。

しかし小さなコップの人は、少しの痛みでも耐えられないのです。

このコップを満たす要因には直接的な痛みの他に、精神的ストレス、暑さ寒さ、睡眠不足、栄養不足などがあり、これらが複合した結果、痛みに対する感受性が変わってくると思います。

多少の痛みは別として、本来痛みとは体の警告信号なので、あまり我慢するのはよくありません!

例えば格闘技の関節技は大変痛いもので、鍛えぬかれた格闘家でもタップしてしまいます。もし、この痛みを我慢し続けたら関節は確実に破壊されてしまいます!

腰痛や背部痛、首の痛みなども同じで、我慢し続けたら患部は悪くなってしまうし、心のコップがいっぱいになってしまい、精神疾患になってしまうこともあるのです。

私の仕事は、この様な痛みを如何にして癒していくかということになります。

皆様も痛みはあまり我慢しすぎず、その原因を改善することをお勧めいたします。

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肩こり・腰痛・坐骨神経痛・椎間板ヘルニア・ぎっくり腰・めまい・頭痛・脊柱管狭窄症・自律神経失調症・五十肩・膝の痛み、股関節の痛み等、様々な症状の根本原因を施術する整体治療院 。あん摩・マッサージ・指圧師の国家資格取得者「札幌 キネシオロジーの谷井治療室」です。

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