脳の機能低下がカギを握る!

今回のテーマは、老化と脳の関係です。前回のブログでご紹介しました平沢弥一郎先生のご著書「足の裏は語る」にも、直立能力と脳の老化について以下のように書かれています。

大脳の老化は、やがて独り立ちを困難にさせる。そして、九十歳を超えた人でも、大脳の働きが老化していない人は、一人の例外なく両足をきちんと揃えて立つことができる。

そしてまた、この様な人は、頭脳も明晰であるそうです。

平沢先生は、独自のチェック法により、人間の立つ能力と健康状態を調べています。

平沢式健康度チェック法

  1. 素足で両足を揃えて立ち、目の高さの前方の一点を凝視する。フラフラしてこれが出来ない人は、神経内科的に異常がある場合が多い。
  2. 静かに目を閉じて十五秒間そのままの状態を続けることが出来れば異常なし。
  3. 前方の一点を凝視したまま、出来るだけ静かに左足を一歩前に出す。次に右足を静かに前方に出して、左足と右足をきちんと揃えるようにして立つ。両足先がきちんと揃っていればOK。
  4. 最後にこの動作を、目を閉じて行う。これが完全に出来ていれば最終的に合格となる。

これらが出来る時は、神経系はもちろん骨格や筋肉、内臓機能、さらに情緒などが、全体的総合的にバランスよく調和し、かつ安定していることを立証すると、平沢先生は記しています。

これに似たものに、ロンベルグの試験があります。ドイツの神経内科医モーリッツ・ハインリッヒ・ロンベルグ(1795年 – 1873年)によって開発されたもので、次のようなテストを行います。

  1. 開眼状態でまっすぐ立ってもらう。
  2. 開眼状態でまっすぐ立てることを確認する。
  3. 眼を閉じるよう指示し閉眼してもらう。
  4. 閉眼すると揺れる、もしくは倒れてしまう。

ロンベルグ徴候が陽性(身体機能が異常)というのは以下のように2つの要件を満たす場合に判断します。

  1. 被験者は開眼していれば倒れない。
  2. 被験者は閉眼すると倒れる。  

目をつぶることで、視覚による代償をなくすこができます。

まっすぐ立つことは、視覚(目)、前庭感覚(耳)、固有感覚(全身)の3つの感覚により制御されています。

  • 視覚は、直立姿勢を判断するための情報を与えてくれます。
  • 前庭感覚は、頭部の動きと重力に関する頭位についての情報を与えてくれます。
  • 固有感覚は、荷重情報、身体部位の相対的な位置情報を与えてくれます。

ここで、固有感覚とは? となると思いますので、もう少しわかりやすくお伝えします。

『固有覚』の感覚を大きく4 つに分けたのが以下になります。

  1. 位置覚(身体各部の位置)
  2. 運動覚(運動の状態)
  3. 抵抗覚(身体に加わる抵抗)
  4. 重量覚(重量を感知)

    ・・・・・・・・・・・・・・・・
    ・深部痛(筋肉や関節などの痛み)

上記1~4の感覚は、関節、筋、腱の動きなどから、身体各部位の位置、運動の状態、体に加わる抵抗、重量を感知する感覚になります。

例えば目を閉じた状態で、じゃんけんの、「グー」・「チョキ」・「パー」の形をつくると、ちゃんとできていると思います。これは、固有感覚が情報を脳に送っているため、目を開けていなくても正しく手の形をつくれるのです。

目をつぶってまっすぐ立つ際にも、これら固有感覚の情報を総動員して身体バランスをとっています。

閉眼片足立ちテストの年齢別データを以下に示しますのでご自分の状態をチェックしてみてください!

平衡性チェック(閉眼片足立ち)
平衡性チェック(閉眼片足立ち)
【出典:中央労働災害防止協会】

上の表からわかることは、平衡バランス能力は20代前半をピークにその後は確実に衰えていくということです。すなわち脳の老化は、20代から少しづつ始まっているということです。

因みに、筋骨格系の椎間板なども20歳を過ぎると老化が始まるのです。椎間板が損傷してしまう理由は様々ですが、直立二足歩行により下部腰椎への負担が強くなっていることが、大きな要因であろうと考えられます。椎間板ヘルニアの患者さんの好発年齢は50歳代にピークがあり、男性は女性の約2倍の頻度で発症し、20歳以前と70歳以降では比較的に稀な病気です。

また喫煙者は、椎間板の老化が早まり、椎間板ヘルニアになりやすくなりますのでご注意ください。

次に、目を開けたまま片足立ちで20秒間立つことが出来るか? というテストについてお伝えします。

京都大学ゲノム医学センターと愛媛大学老年神経総合心療内科の共同研究で、開眼片足立ちと脳のラクナ梗塞(小さな脳梗塞)の関連性について以下のような結果が出ました。

研究対象者は平均年齢が67歳の男性546名、女性841名で開眼片足立ち保持時間を60秒まで測定。

結果は1030名の人が最長の60秒に達し、89名が60秒未満、120名が40秒未満、148名が20秒未満でした。

ラクナ梗塞の数は20秒未満の人で統計学的に有意に多いことが判明。また、20秒未満の人は認知機能が有意に低下しているという結果も出たのです。

冒頭の平沢弥一郎先生は、「老化は脳から」と述べています。脳が衰えると、まっすぐ立てなくなり、スムーズに歩けなくなります。

そのためにも脳を衰えさせないことが大切です。

今までお伝えしてきた片足立ちの平衡性のトレーニングは、脳トレにもなります。

そしてまた、片足立ちを保持するためには、重心の動揺を吸収できる関節や筋肉の柔軟性も大切です!

筋肉の強化やストレッチなども有効ですので、毎日少しづつ実践してみてください。

最後に歩くことが何よりも大切だと思います。「」という字の「」が右の足の裏を表し、「」が左の足の裏を表すそうです。

人間は直立二足歩行をするようになったため脳が発達したといわれます。しかしこれは正しいのでしょうか?

今までお伝えしたように、脳の機能が発達していないと、まずはまっすぐ立てないのです。すなわち脳が発達したから、直立二足歩行ができる様になったといえるのではないでしょうか。

私も臨床の現場で感じることは、カイロプラクティックやオステオパシーなどで体のバランスを整えても、根本の脳の機能が衰えていると、回復の範囲が狭かったり、治療効果の持続期間が短かったりするのです。

脳の老化を遅らせるためにも、運動や歩行が大切です。できることなら若いうちから生活習慣を改めていきたいものです。

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