自然治癒力

病気の源流は、自分の心の中にあります。

今回ご紹介する書籍は「自己治癒力を高める医療、サブタイトルは病気になるプロセスに寄り添う」小西康弘著、

生活習慣病は、その人自身の生活の中からつくり出されてきた「人生病」あるいは「自分病」である。

生活習慣を指摘することがあっても、どうしてその人がそのような行動パターンを持ってしまったのかというところまで、踏み込んでいくことは今までの医療ではほとんどない。

病気を治したいと思って、相談に来る患者さんの中には、自分でも気づかないところで「病気が治ってしまうと誰からもかまってもらえなくて、孤独になる」という思考パターンを持っている場合がある。

心筋梗塞の研究によると、タイプA型性格は、心筋梗塞を発症しやすい。全てではないが、肉体に起こった故障の原因に、心理的・精神的な問題が深く関連している病気があることは確かです。

タイプA型の行動パターン

腰痛肩こりも同じで心理的な面が大きくかかわっています。

1目標への持続的な強い衝動
2競争を好み自ら求める傾向
3永続的な功名心(功名心)
4時間に対する切迫感
5せっかちな性格
6心身へのいちじるしい機敏性

一言でいえば、自律神経で交感神経が優位な状態になりやすく、ストレスの影響を受ける可能性が高い性格

自律神経・交感神経と副交感神経
自律神経・交感神経と副交感神経

飲酒や喫煙をやめたくてもやめられない人は、緊張を何とかほぐそうとする体からのシグナル

ホルモン系においても、同様のことが言えます。ストレス状態が続くと、副腎という臓器からコルチゾール、アドレナリン、ノルアドレナリンなどのホルモンが分泌されます。この状態が長く続くと生態環境のバランスが崩れ、緊張状態になったままになる。

この自律神経系やホルモン系のバランスが崩れた状態は「自己治癒力」が低下した状態を意味している。

最近の研究から、この自律神経系やホルモン系のバランスが崩れた状態は、かなり強い動脈硬化促進因子であることがわかっています。

逆に「自己治癒力」が正常に機能していると、動脈硬化になりかけても、その進行を抑えようとする働きが機能します。これを「動脈硬化の自然退縮」と呼びます。

動脈硬化に関連するコレステロールは、LDLコレステロール単独では動脈硬化は起こらないのです。これに活性酸素がくっついて、変性LDLコレステロールとなって、血管内に沈着します。これを防ぐためには、体内の活性酸素を良いバランスに保つことが大切です。

動脈硬化の自然退縮には血液中の免疫細胞の一つである貪食細胞が動脈硬化が起こっている血管をお掃除してくれる(スカベンジャー能力)ということがわかってきたのです。この免疫系も自律神経系やホルモン系と深く関連しています。

活性酸素が適正な範囲にコントロールされ、スカベンジャー細胞が本来の機能をはたす「労働環境」が整っていれば、動脈硬化は自然退縮の方向に行きます。

自然治癒力と自律神経・免疫・ホルモンの関係
自然治癒力の要素

どうして病気ができるのかということ以上に大切なのは、どのようにすれば病気を治す「自己治癒力」のスイッチを入れることができるかが大切。

この自己治癒力が働くのは、動脈硬化だけではありません。がんでも同じシステムが働きます。「がんの自然退縮」と呼ばれ、病院でお医者さんが首をかしげるようなことが実際にあるのです。

昔マッスル北村さんも医学部にいたときに、がんの自然治癒の記録があると言っていました。

免疫細胞が働くためには、ある程度以上の体温が必要であることがわかっています。体温があまりにも低いと、免疫細胞が働くためには、ある程度以上の体温が必要であることがわかっています。体温があまりにも低いと、免疫細胞が正常に働くことができない。また酵素も働かない。

人間は自己治癒力のシステムをすべて解明したわけではない。しかし、時計の仕組みをすべて理解していなくても、時計を日常生活で使うことができるように、私たちの治癒力も発揮させることができる。

細胞の働く環境

風邪を引いた時に熱が出るのも、自己治癒力の働きです。また、食中毒で下痢をするのも、細菌を体の外に排除しようとする体の自己防衛機能の一つなのです。私たちは発熱や下痢というと、悪いものと判断し、様々な薬でそれを抑えようとしてしまいがちですが「これも体がバランスを取ろうとしている結果なのだ」と考えると違った対応方法になるのではないでしょうか。

昔、O157で、下痢を起こした患者のうち下痢止めの薬を使って下痢を抑えた患者が逆に症状が悪化し死亡してしまったということがありますた。
風邪も発熱などの症状を薬で抑えると、なかなか治らなかったり、治ったと思ってもまたぶり返したりします。

野口整体の野口晴哉先生も「風邪の効用」という書籍の中で、「風邪は治すものではなく、経過させるものである」と述べています。発熱も咳も鼻水もすべては治るために体は健全に反応している証拠です。その症状を無理やり薬で抑えるのはナンセンスなのです。

コロナウイルスも確かに年齢や体力、持病の有無によって条件が異なりますが、あまり大げさに騒ぎすぎるのもいかがなものかと思います。

ガンジーは次のような言葉を残しています。

恐怖はマラリアや黒熱病よりも恐ろしい病気である。

マラリアや黒熱病は体を蝕む。

しかし、恐怖は精神を蝕む。

酸化と還元

ある物質が電子を失うことを酸化と言い、電子をもらうことを還元と言います。細胞が十分な電子を持っていると「細胞の働く環境」が整えられるのです。「食事療法で野菜をしっかり摂って、油ものを控えるようにしなさいと言われるのは、電子が豊富な食事をしっかりとって体が酸化するのを防ぎましょう」ということなのです。

活性酸素とは、電子が不足した不安定な状態にある酸素分子のことで、周りから強引に電子を奪い酸化させる性質があるのです。つまり強力な酸化物質であるということです。

良く「体がサビる」と表現しますが、細胞を構成している部品(脂質・タンパク質など)が酸化して細胞の機能が衰えることを言います。

活性酸素の過剰な状態は、動脈硬化や癌にも関連することがわかっています。様々な治療法に活性酸素を整える治療法を併用することで、再発を抑えられる可能性があります。

活性酸素を減らすための生活習慣

活性酸素を過剰に増やさないためには、以下のことに気を付けるといいですよ!

  • タバコを控える
  • アルコールをとり過ぎない
  • 軽めの運動をする
  • ストレスを溜めない

自己治癒力を直接につかさどっている蛋白質として、ストレスタンパクがあります。歴史的には1962年に発見されたタンパク質で別名ヒートショックタンパク(Heat Shock Protein)ともいわれます。生体や細胞が熱刺激を受けると、つくられるタンパク質で、熱以外にも様々なストレスに対する抵抗力を強めます。

温熱療法で全身を温めるとヒートショックタンパクが身体でつくられます。一般に体温が1度上がることによって、免疫力は40%高まるといわれています。

ミネラルやビタミンの重要性

例えばビタミンCが欠乏して起こる壊血病があります。人間はビタミンCを体内で合成することができません。16世紀の大航海時代、船員が次々と原因不明のまま亡くなりました。のちにこれはビタミンCが欠乏して起こる壊血病が原因であることがわかったのですが、1753年にジェームズ・リンドという人がレモンなどの柑橘類を摂取することが、壊血病の予防に役立つことを発見したのです。

ジェームズ・リンド
ジェームズ・リンド


そして「ビタミンCの欠乏症が病気を起こす」という考えから、病気を起こさないために、最低限必要な量が定められる様になりました。ビタミンやミネラルが不足すると、体内で酵素が働くことができなくなり、病気に繋がります。現代では分子栄養学などで、ビタミンやミネラルを治療に役立てることも考えられています。

治療効果を高めるための環境を整える大きなカギとして「細胞が働きやすい環境(電子が十分に足りて、体温が最適に保たれた状態)」、「ビタミンやミネラルの充足」、「心や意識の状態」が重要です。

健康とは一つの固定された状態ではなく、一定の範囲で常に変化している状態を言います。

病気になるプロセス
病気になるプロセス

私たちは病気を自分自身で治す強力なパワーを持っていることを思い出す。

心と自己治癒

幼いころに大切な人を亡くしたり、重大なストレスを経験すると、大脳皮質に大きな心の傷を残します。心理学ではこのことを「トラウマ」と表現しますが、大脳生理学的にいうと、大脳皮質や大脳辺縁系に記録された「情動ストレス」なのです。このような「トラウマ」は長い間記憶として残り、自己治癒力のコントロールセンターである間脳や脳下垂体に影響を与え続けるのです。その結果、自律神経や、ホルモンのバランスを崩し、病気の原因になるのです。

がん発症と心のストレス

心が強いストレスを慢性的に受けたときには、がんの発症率が高くなることがわかっています。心がバランスを崩しているとき、「自己治癒力のコントロールセンター」もバランスを崩し、自律神経系、ホルモン系、免疫系の機能が低下します。

がん患者さんに対する心理療法として、「サイモントン療法」というものがあります。大脳生理学的にも、私たちの思い描くイメージが身体に影響を与えるということがわかっています。サイモントン療法はこのことを利用して、心理(イメージ)療法で、ガンの治療を行うというものです。

例えば、自分の体の中にあるがん細胞を具体的にイメージし、それが免疫細胞の働きで排除されるところを毎日イメージするのです。この「がんが自分の免疫細胞でやっつけられる」というイメージを毎日、思い描き続けることで、間脳の自己治癒力コントロールセンターが刺激され、自己治癒力がオンになることがわかっています。実際にこの様なイメージ療法で、治らないと考えられていた進行がんが消失するという症例がたくさん報告されているそうです。

にわかには信じがたいと思う方も多いかもしれませんが、イメージ療法が有効であることは、大脳生理学的にも証明されています。

自己治癒力とは、潜在意識の働きであるともいえるのです。自己治癒力を高めるには、潜在意識にある能力をしっかりと意識化してあげることが大切。

統合医療
統合医療

下流に対するしっかりとした専門的な治療アプローチを取り入れた上で、今まであまり重要視されてこなかった中流や上流に対してのアプローチをすることが大切。

潜在意識にある思い込み(自分は健康になれない。この病気は治らないなど)があると、本人が意識していないときにもその働きは続くのです。常にそういう情報を受け取っていると、自律神経系やホルモン系はその本来の自己治癒力を柔軟に調整する機能を失ってしまうのです。まるでいつも片側に傾いたままのやじろべえの様に。

心の傷・トラウマ
心の傷・トラウマ

ボールの投げ方をいくら変えても、壁の状態がいつも悲しみとしての「反応」を起こします。悲しみという「反応」をしなくてもよくするためには、「壁の状態」に目を向けてメンテナンスをする必要があるのです。

自分の周りに起こってくる出来事を変えようとしても、現実は変わりません。現実を変えたいと思ったら、それに関係する自分の「感情のパターン」や「思い込み」の方を変えないといけない。

感情を抑えるということ

自分が傷つかないように、感覚がマヒするほど過度に適応してしまった状態。心療内科的には失感情症(しつかんじょうしょう)といいます。これも潜在意識の思い込みの一つで、大切なのはこの潜在意識に詰め込まれていたいろいろな感情をきちんと感じてあげること。感情を感じきること。そうすると、押さえつけていたり、無視されていたりしていた感情は、ただ感じてあげるだけで、自然に消えていくと言われます。

この様に押さえつけてきた感情を開放するためには、専門のカウンセラーなどの助けがあった方がスムーズにいくと思います。

結果的に、心の奥に溜まっていた「心の澱(おり)」のようなものが溶け出し、感じ方や思い方のパターンが変わってくるのです。

病気とは単なる肉体の故障や不具合ではなく、この様な「感情や思いのパターン」が積み重なった結果なのです。

ジョセフマーフィーも次のような言葉を残しています。

感情をいつも抑圧していると肉体的な病気となってあらわれてきます。それはすぐに心の川に流してしまいなさい。

ジョセフマーフィー

マインドフルネス瞑想

顕在意識
顕在意識

日常の生活をしている上で、どうしても私たちの感覚は外の世界に向いてしまいます。

外向きの意識と思考
外向きの意識は思考

外に向いているものは、全て「思考」です。

マインドフルネス瞑想
マインドフルネス瞑想

外に向いている意識を内側に向ける方法があります。それがマインドフルネスです。

座ったままで目を閉じて、力を入れずに背筋をまっすぐに伸ばします。そして、呼吸に注意を集中します。呼吸をコントロールしようとせず自然に任せます。空気が体の中に入り、出ていくのを客観的に観察しながら、ただただ呼吸に意識を集中させます。ただこれだけなのです。まずは3分間やってみましょう。いろいろな想念が浮かんで意識が呼吸からそれていることに気づいたら、ただ意識を呼吸に戻してください。

病気と心の中にある抑え込まれた感情との関係

私たちが普段「原因」であると思っているいろいろな出来事や、その時に起こる感情は、実は「結果」であって本当の「原因」は自分の潜在意識にある「思い込み」である。

私たちの持っている思い込みや、心で描くイメージが間脳や脳下垂体という「自己治癒力コントロールセンター」に働きかけることは、科学的に証明されています。そして、自律神経系やホルモン系を通じて、私たちの身体の細胞の働く環境に影響を与えることも確かめられているのです。

思い込み→感情→思考・言葉・行動→生活習慣・人生

私たちが潜在意識に持っている「思い込み」が鋳型となって、「感情パターン」や「行動パターン」が決まります。そして、それが私たちの生活習慣や人生をつくり出すのです。

マザーテレサの言葉にも似たような考えのものがあります。

思考に気をつけなさい。それはいつか言葉になるから。
言葉に気をつけなさい。それはいつか行動になるから。
行動に気をつけなさい。それはいつか習慣になるから。
習慣に気をつけなさい。それはいつか性格になるから。
性格に気をつけなさい。それはいつか運命になるから。

自分に対してどれだけポジティブに「健康なセルフイメージ」持つことができるかが大切!

そのためには「自己治癒力」を低下させている「思い込み」があれば、それに気づき、もう必要ないと思えば手放せばよいのです。これが病気になるプロセスの上流に対して働きかけるということです。

人が目指すものは、病気があるからとか、ないからという区別ではなく、心身そして精神を含めた領域で総合的に健康な状態になって幸せを感じられるかであると思います。

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肩こり・腰痛・坐骨神経痛・椎間板ヘルニア・ぎっくり腰・めまい・頭痛・脊柱管狭窄症・自律神経失調症・五十肩・膝の痛み、股関節の痛み等、様々な症状の根本原因を施術する整体治療院 。あん摩・マッサージ・指圧師の国家資格取得者「札幌 キネシオロジーの谷井治療室」です。

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