腰痛改善の物語

どんな名医や専門家でも、全ての腰痛を治すことはできません。

なんと、腰痛は自分で治すことができるのです!

今回ご紹介する書籍は「人生を変える幸せの腰痛学校」、伊藤かよこ著、プレジデント社です。

この本は、腰痛改善を「認知行動療法」のプログラムに基づいて描いているものです。

腰痛改善で、欧米などの最先端の医療現場で行われていることは、次の2つのことだと言われています。

  1. 痛みの原因とメカニズムを正しく理解すること
  2. 適度に体を動かすこと

腰痛を治すには

腰痛を治すには、どうしたらよいのでしょうか?

結論から言えば「腰痛を治そうと思わない」ことです。

何か禅問答のようですね。

腰痛は治そうと思えば思うほど治りにくくなります。

なぜならば、人間は腰で痛みを感じているのではなく、脳で痛みを感じているからです。

ペインマトリックスという考えがあります。これは、疼痛に関する脳内ネットワークのことで、これには脳の複数の領域が関係しています。

ペインマトリックス(疼痛脳内ネットワーク)

腰痛に関する「言葉」や「画像」「イメージ」「記憶」「予想」「共感」・・・そのほかいろんなことに反応して、ペインマトリックス(疼痛脳内ネットワーク)が興奮し、痛みを強めるのです。

腰痛を治そうと思うだけではなく、腰痛について考えるだけでもダメなのです。

もう一つ、『腰痛』を治そうとすればするほど、「まだ痛い」「まだ治らない」と痛みが改善しないことでストレスとなり嫌な気分になります。

この嫌な気分が、本来備わっている『痛み』を鎮める働きを悪くして、ますます腰痛が治りにくくなる。

腰痛にはプラスイメージ

腰痛を治すには、そのことばかり考えて暗くなっていてはいけません。

「いい気分」になる練習をするのです。安心、リラックス、楽しい、ワクワク、笑い、感謝。゛幸せ ” や ゛いい気分 ” をたくさん感じましょう。

笑いには、あらゆる体調不良を改善する効果があり、鎮痛効果も高まるのです。

生命の源である太陽を浴びて、笑って、歌って、踊って、いい気分で過ごせば、治癒力は高まります。

それなのに、ほとんどの人は病気になったら暗い顔をして病院に行くだけです。

医療にしかできないことがあるように、医療にはできないこともあるのです。皆さんにしかできないことがあるのです。それがいい気分になることです。

いい気分が、ペインマトリックスの活動を低下させることがわかっています。

いい気分のときは、力が抜けてゆるんだ感じになります。この感覚は自分で感じることができます。

経穴(合谷)

手の親指と人差し指の骨が交わったところに「合谷(ごうこく)」というツボがあります。このツボの周囲の筋肉を逆の手でつまんで、こわばりや痛みを確認し左右差を調べておきます。

まず初めに、嫌なことをイメージします。できる限りリアルにです。

その時の合谷の硬さや痛みなどを覚えておきます。

次に、とても幸せな良いイメージをします。これもリアルに行ってください!

もう一度、合谷の筋肉の硬さや圧痛などを確認します。

どうですか? 悪いイメージのときは、合谷の周囲の筋肉が固くなり、つまんだ時に痛かった人もいると思います。

逆に、良いイメージをしたときは、筋肉が緩み、痛みも感じなかったのではないでしょうか。

この様に不安や恐れ、怒りなどネガティブな感情は、体に緊張をつくり、逆に楽しいこと、うれしいことなどポジティブな感情は体をゆるめるのです。

腰痛の原因

腰痛の患者さんは、腰が痛いのは、腰が悪いからと思っていませんか?

この理屈でいったら、頭が痛いのは、頭が悪いからとなります。でもそんなことは言わないですよね!

椎間板ヘルニアは痛みの原因ではない

1995年に、腰痛分野の研究でのノーベル賞といわれているボルボ賞を受賞した、国際腰痛学会の画期的な腰痛の研究データがあります。

それによると、痛みのない人の76%に椎間板ヘルニアが見つかったというのです。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/8747239/

また、手術が必要なのは、腰痛全体の3%とのことです。

厚生労働省の腰痛に関するサイトにも、次のような記述があります。

画像所見のほとんどは腰痛の原因を説明できません。

また、今後腰痛で困り続けるかどうかの判断材料にもならないが多いのです。

よって腰の画像所見をネガティブイメージで指摘されても悲観する必要はありません!

●ヘルニア像も含めこのような所見は、腰痛があろうがなかろうが、少なくともどれか一つは多くの人にみられます。逆に腰痛持ちでも画像に全く異常所見がない人もいます。

●椎間板に負担がかかっている所見は、20代からみられることも珍しくありません。

厚生労働省 

また、同じサイトで慢性腰痛に対して「認知行動療法」をすすめています。

Chronic Pain(慢性痛)

認知行動療法、集学的治療がよい

Koes BW, et al. An updated overview of clinical guidelines for

management of non-specific low back pain in primary care.

Euro Spine J 19: 2075-94, 2010

厚生労働省
腰椎椎間板ヘルニア画像

画像所見と腰痛症状の関係ですが、例えばレントゲンやMRIの画像を何枚も並べて、どの人が腰痛があって、どの人が痛みがないかを質問しても、誰も正確には判断できません。

なぜなら、画像と痛みは関係がないからです。腰痛の原因は一つではなく、いくつかの要因が複雑にからみ合っているのです。

すなわち、一病一因ではなく、一病多因となります。

また、原因がわかったからといって治るとはかぎらないし、原因がわからなくても治ることもあります。

まずは、「腰痛は自分で治せる。そして原因は正確にわからなくてもいい」この二つの点を抑えておくことが大切です。

認知行動療法

これから、腰や腰痛に関する不適切な考え方や行動を変える方法をお伝えします。

激痛は脳の暴走

ぎっくり腰は腰の筋肉の強い緊張によって起こります。原因は腰ですけど、それが必要以上の激痛になるのは脳が暴走するからです。脳のパニックといえばわかりやすいでしょう。まずは落ち着いて対処することが大切です。

痛みだけに集中するのをやめると視野を広げることができます。

痛いときに同時に他の情報を入力すればよいのです。例えば、お笑い、楽しいこと、心地よいことなどです。

痛みの観察者になる

自分=主
痛み=従

主導権が痛みにあると、痛みに振り回されてしまいます。あくまで自分が主でなくてはいけません。

痛みに対して、自分が主であるために次のようにしてみるとよいのです。

  • その痛みを色であらわすと何色か?
  • 痛みはどんな大きさのどんなかたちか?
  • 触るとどんな感じがしますか?
  • その痛みに『なんか言いたいことはある?』と聞いてみる。
  • 痛みに『何かしてほしいことはある?』と聞いてみる。

これが、《 自分=主 》で《 痛み=従 》ということです。この様に観察する側が「主」で、観察される側が「従」です。

痛みを観察対象として客観視できるようになると、振り回されないで済む。これはあたかも、暴れ馬に対し落ち着いて冷静に対処するようなものです。

別な言い方をすれば、痛みと自分を切り離して淡々と観察するということです。

すぐできる痛みの根本解決法

痛みを解決する方法は「痛みを好きになることです」

花粉症の不思議

花粉には病原性はなく、敵ではありません。アレルギーとは本来病原性のないものに対して過剰な反応を起こさしてしまう現象です。

対策として毎日からだにはなしかけます。

『からだを守ろうとしてくれてありがとう。いつも働いてくれてありがとう。花粉は敵ではない。大丈夫!』

すると症状が、軽減したり、でなくなることがあります。

それは、アレルギー疾患は、心の影響が強い疾患だからです。

腰痛への接し方

腰痛に対しても『大好き、ありがとう、愛している』などと言い続けることが大切です。

逆に『危険、嫌い、敵』などの思いが緊張感をつくり、脳の偏桃体の暴走を生み、「痛みを鎮めるしくみ」を低下させます。

どんな治療をするにしても、その前提として痛みを好きになるというのは根本的な方法なのです。

痛みが強いときにじっと動かないでいるのか、できる範囲で動くのか、痛みだけに集中するのか、他のことを考えるのか、痛みを嫌うのか好きになるのか、痛みに話しかけるのか、そんなバカバカしいことは、やりたくないからやらないのか、これらを決めるのは自分だけなんです。

自分で選択し、決断し、行動する。行動することによってはじめて自信がつきます。

笑顔でプラスイメージを脳にインプット

体を使っていい気分をつくる方法があります。それは笑顔の練習です。

スマイルマーク

痛みが強いときにはとても笑えないでしょう。だけど、それでも笑うといいのです。ただ口角を上げるだけです。

心から笑っていなくても、ただそうしているだけで脳はいい気分だと錯覚するのです。錯覚した脳は、‟ 痛みを鎮める仕組み ”を活性化させます。

ハイパワーポーズ

次に、ハイパワーポーズというものがあります。胸を張って、両手を外に開き、自分を大きく見せる。これを二分間行うだけで体内のホルモンにいい影響があるのです。

気分を変えたい場合には体から心へのスイッチを使うとよく、これら全部をまとめたダンスは、運動療法の中でも特におすすめです。

すでに自然治癒力は備わっている

どんな治療でもある程度、効果はあります。これはプラシーボ効果が働くからです。

プラシーボ効果が働くということは、「すでに力が備わっている」という証拠です。

モルヒネの6.5倍の鎮痛作用があるβ-エンドルフィンは自分で作ることができる。そのスイッチを入れるのが「思い」や「考え」です。

アファーメーション

「こうなりたい」という「思い」や「考え」を、「すでになっている」という言葉に変えて、繰り返し口に出す方法をアファーメーションといいます。

この時に注意しなければいけないのが、「私の ‶腰痛” が良くなっている」というように、「腰痛」や「痛み」という言葉は入らない方がいいのです。(ペインマトリクスが興奮するからです)

自分が腰痛が治った後に何をしているのかを、より具体的にイメージするのです。「いつ?」「どこで?」「どんなふうに?」・・・

例えば、次のようにです。

  • 「僕は子供と公園で、全力で鬼ごっこをしている」
  • 「俺は青空の中、気持ちよくゴルフのラウンドをしている」
  • 「私は海が見えるホテルのプールですいすいと泳いでいる」
  • 「私は娘と台所に立って、笑いながら一緒に料理をしている」

このように、アファーメーションをつくるときは、すでにそうなっているというイメージでつくるのです。

からだは24時間、休まずに皆さんのことを守っています。

自分の体のことをもう一人の自分と客観視し、生まれたときから死ぬ時までずっと皆さんの側にいる一番の見方だと思ってみるのです。

もっと体と仲良くなる。当たり前だと気にもとめていない体の働きに「ありがとう」と言ってみましょう。

そのときに、自分の体を自分で抱きしめたり、さすったりしながら「ありがとう」というとさらに効果的で、ペアになってお互いにありがとうと言いながら行うのもよいのです。

腰痛治療で無理をしない

この本でも、ぎっくり腰など激しい急性腰痛症のファーストチョイスは鎮痛薬と述べています。痛かったら薬も選択肢に入れていいのです。

また、鍼灸やカイロプラクティックオステオパシーなども、時としては必要であり有効であるのです。

ある程度の痛みを我慢することは必要ですが、日常生活に支障をきたすような激痛を我慢し続けることは、かえって腰痛の回復を遅らせてしまいます。

「武士は食わねど高楊枝」ではないですが、日本人は我慢を美徳と教育されてきました。

曲直瀬道三と毛利元就
曲直瀬道三と毛利元就

武士の話でいえば、三本の矢の教えで知られる毛利元就(もうり もとなり)は、戦国時代から安土桃山時代の日本の名医であった、曲直瀬道三(まなせどうさん)と親交を結び、次のような助言をもらっています。

「常の食 四時(しじ)に順じ 五味(ごみ)を和(なご)し 飽(あか)に及ばず または飢えざれ」

日常の食事は季節と旬をまもり、バランスよく食べなさい。食べ過ぎも、空腹をがまんするのもよくないという意味です。

この様に、健康のためには我慢しすぎは良くないのです!

因みに、四時とは四季のこと、五味は酸味、苦味、甘味、辛味、鹹味(かんみ=しおからい味)のことです。

肩こりや腰の痛み、それから胃腸の症状、アレルギー、風邪をひきやすいなど、いくつかの症状を複合的に持っていて、順番に症状があらわれる人には特徴があります。

それは、「たくさん我慢している」ということです。

「疾病逃避」という言葉があります。これは、弱音を吐けない皆さんに変わって、からだが先にギブアップしてくれる、人間に備わった素敵なシステムです。

「逃げていいし、弱っていいし、甘えていい」そのことで人に何かを言われたら、心の中で「そうなんです。私、甘えてるんです、それがなにか?」と言えばいいのです。

屈強なスポーツ選手でも、危険なときには逃げる、よける、疲れたら休む、怪我をしたら手当てをしてもらうのです。

腰痛改善プログラムのゴール

腰痛を治すことをゴールとしないで、治った先にあるものを見ていくことです。

自分を変えていくことで、腰痛だけでなく自分の人生全てを変えていくのです。

しかし、腰痛に対し「原因はこれで、こうすれば治る!」と断言口調で威勢のいいことを言っている先生の指示に従っていた方がずっと楽です。

実は、腰痛の原因はたくさんあって、人によって違うから正確にはわからない。

だけど、多くの人は正しい答えを教えてもらえると期待している。「なぜ痛むのか?」「なぜ治るのか?」には唯一絶対の答えはないのです。

自分が主なので、自分でできることをまずやってみることです。「太陽を浴びる、体を動かす、笑う、感謝、いい気分」・・・

今この瞬間の思考と行動は、自分の意志で選ぶことができる。プラシーボ(良い暗示)やノーシーボ(悪い暗示)で体に変化が起こるということは、自分のイメージで、ある程度は何とかなるということです。

すなわち、腰痛に対する脳内妄想(ネガティブな観念)を改善すればいいのです。少しでもいい気分になれる思考と行動を選びましょう。

焦っても、焦らなくても、なるようになる!

また、グループワークで自分と同じ体験をした人が身近にいる。そういった仲間の存在があると心強いものです。

これら認知行動療法の発祥をたどれば、アドラー心理学の影響を受けていることがわかります。

「腰痛になってよかった」と、どんな経験でも必ず幸せにつなげることができると思うことです。すると、「腰痛のせいで・・・」「腰痛さえなければ・・・」などとマイナスには考えなくなります。

思考や信念が脳を変化させる

腰痛の改善に欠かせないのが「エビデンスに基づいた適切な情報」です。私たちは「情報」をもとに「信念」をつくり、その「信念」が「物語」をつくっています。

一人ひとりの腰痛には物語がある。そこに人生の縮図があり、そこから学びもある。

腰痛に対する「認知」をあらため、日々の「行動」を変えること。変えるのは「腰痛」そのものではなく、腰痛に対する「思考」や「信念」です。

脳(偏桃体・海馬)

最近の脳科学の研究によって、慢性の腰痛や坐骨神経痛のほか、原因不明の身体の不調やうつ病などに苦しむ患者は、ストレス反応の中枢をつかさどる「偏桃体(へんとうたい)」が肥大化することで、鎮痛に関わる「側坐核(そくざかく)」と「背外側前頭前野(はいがいそくぜんとうぜんや:DLPFC)」、さらには記憶に関わる「海馬(かいば)」が委縮していることが分かった。

そのため「偏桃体」を刺激する不安、恐怖、怒り、悲しみなどを感じる情報から距離を置くことを勧めます。

こうした脳の実質的な変化でさえ、認知行動療法やエクササイズ(運動)、そして瞑想によって回避することが明らかになっています。

まとめ

腰痛は動くことでよくなります。しかし、動かないように心のブレーキがかかってしまいます。

自分の認知を変えることで、恐怖の殻を打ち破り、心も体も自由になり結果として腰痛は改善します。

自分の中に凝り固まった腰痛に対するマイナスの固定観念を打ち破るには、勇気と覚悟が必要です。

良い状態になることを信じて、前向きに行動を起こしましょう!

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肩こり・腰痛・坐骨神経痛・椎間板ヘルニア・ぎっくり腰・めまい・頭痛・脊柱管狭窄症・自律神経失調症・五十肩・膝の痛み、股関節の痛み等、様々な症状の根本原因を施術する整体治療院 。あん摩・マッサージ・指圧師の国家資格取得者「札幌 キネシオロジーの谷井治療室」です。

全国どこでも遠隔施術も承ります。https://www.taniithiryousitu.com/distant-healing/
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