腸に悪影響を与える小麦のグルテンと牛乳のカゼイン

体調が悪かったら、まず、パンと牛乳を3週間やめてみることをお勧めします!

今回ご紹介する書籍は、「パンと牛乳は今すぐやめなさい!」内山 葉子著、マキノ出版です。

著者がここで述べている小麦と牛乳が体に悪い主な理由は、腸などにダメージを与える小麦のタンパク質「グルテン」と牛乳のタンパク質「カゼイン」となっていますが、私が考えるには、小麦に対しては、著者の考えと同じですが、牛乳は牛に与える餌の問題や飼育方法に問題があると考えます。

私も臨床の現場で、キネシオロジ―テスト(筋肉反応テスト)で、小麦や牛乳をテストすると拒絶反応が出る人は確実にいます。これには個人差があり体質の違いと考えてもいいでしょう。

小麦グルテンも牛乳のカゼインもそれらを苦手とする人にとっては、どちらも非常に消化しにくく、体に負担をかけるもので、腸の粘膜やその働きに悪影響を与えます。その結果、様々な病気の元凶となっています。

欧米では、これらの問題点に早くから気づき、「グルテンフリー」「カゼインフリー」として、食生活に取り入れられ、多くのグルテンフリー食品なども販売されています。

プロテニスプレーヤーのノバク・ジョコビッチ選手も小麦のグルテンに対し過敏症を持っていたため、ピザやパスタなどの小麦製品をやめることで体調を改善し、テニスでも好成績を収めることができるようになったのは有名な話です。

パンと牛乳と病気の関係

当院でもアトピー性皮膚炎と、極度の全身倦怠感で仕事もできない患者さんがいました。キネシオロジ―テストで小麦に反応していたので、しばらく小麦をやめていただくよう提案し、実行してもらうと、みるみる元気になり、1カ月後には庭の草むしりもできるくらい体力が回復したのです。

その後も小麦の除去食を続けた結果、週3回のアルバイトに行けるまで改善しました。

この患者さんは、肩こり腰痛、アトピー性皮膚炎などの症状をもっており、これらは体の慢性炎症とも深い関係があります。

肩や腰の筋肉の緊張(コリ)も、小麦グルテンの摂取が減ったことにより慢性的な炎症が軽減し、交感神経の持続的な緊張が減少したことで、改善されていったのです。

小麦と牛乳と疾患

著者によりますと小麦や牛乳をやめることで次のような症状の改善がみられることもあるそうです。

  • 腸のトラブル(過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎など)
  • 神経系の異常
  • 自己免疫疾患
  • 皮膚疾患
  • 慢性疲労症候群
  • 生活習慣病(糖尿病、肥満など)
  • 婦人科系の疾患(子宮内膜症、卵巣嚢腫、不妊など)
  • 筋骨格系の症状(肩こり・腰痛など)

小麦や牛乳とガンとの関係

がんの死亡数の推移

現在、日本人の3人に1人はがんで死亡しているという統計が出ています。これには農薬などの問題も関係しているのではないでしょうか?

日本の食糧自給率は、カロリーベースで39%となっています。残りの61%は輸入に頼っているということです。

食料需給表
食料需給表 出典:農林水産省

小麦は主にアメリカ、カナダ、オーストラリアから輸入されており日本国内の流通量の85%前後を占めていて、国内産小麦は15%前後にとどまります。

輸入小麦には、発がん性が危惧されている除草剤、グリホサートなどが直接散布されています。収穫前(プレハーベスト)に除草剤で枯らせて収穫し、輸送するときには、日本では使用されていない防カビ剤を噴霧してから出荷します。(日本の小麦栽培でプレハーベストは認められていません)

一般社団法人 農民連食品分析センターの調査によると、市販のパンのほとんどから残留したグリホサートが検出されていることがわかりました。因みに国産小麦を使っているパンからは検出されていません。

よって、パンを食べるなら国産小麦のものに限るということになります。

日本は、2017年にグリホサートの残留基準値を大幅に緩和(5ppmから30ppm)しました。

世界保健機関(WHO)の下部機関である国際がん研究機関(IARC)は2015年、グリホサートについて「おそらく発がん性がある」とする評価を公表しています。

輸入小麦を使ったパンやお菓子などにはこの様な危険性がありますので、小麦製品の摂取を減らすだけで残留農薬による健康被害の影響も減らすことができるのです。

次に牛乳の問題です。牛は本来草を食べて育つ生き物ですが、現在の酪農においては多くの場合トウモロコシ、大豆、綿実、麦、などを混合した配合飼料を与えることが一般的です。

日本国内の乳牛の餌の自給率は約34%。つまりエサの3分の2は海外からの輸入品で、とくに飼料作物を育てるスペースのない都府県では、エサの5分の4以上が輸入されているのが現状です。

輸入飼料は遺伝子組み換え作物ということが危惧され、さらに除草剤などの農薬の問題も危険視する動きもあります。

牛乳は乳脂肪分3.5を下回ると生乳買取価格が半額になるため、それを避けるため草食の乳牛に高カロリーな飼料を使って乳脂肪分をあげているのです。これでは健康的な牛に育たないだけでなく、牛乳が工業製品的になってしまいます。

日本でのコホート研究では、「乳製品の摂取量が多いと前立腺がんになりやすい」というデータも出ております。(国立がん研究センター

臓器を攻撃する抗体ができてしまう

小麦のグルテンと、人のいくつかの臓器とはその構造が良く似ています。その結果、グルテンを攻撃目標としてつくられた抗体が、小脳や神経細胞、肝臓、甲状腺、卵巣、精巣、膵臓、心臓などをグルテンと間違えて攻撃してしまうのです。

グリアジンと小脳のアミノ酸配列
グリアジンと小脳のアミノ酸配列

セリアック病

セリアック病とは、このグルテンに対し異常な免疫反応が生じることで、自分自身の小腸粘膜を自分の免疫が誤って攻撃してしまう自己免疫疾患の一つです。小腸粘膜が障害を受けると、栄養の吸収に支障が生じ、腹痛や下痢、体重減少などの症状が現れます。

セリアック病は、欧米では、100人に一人くらいの割合で患者さんがいるといわれています。日本の患者数は諸説ありますが、概ね0.05%ほどと考えられますが、近年食の欧米化などが原因でパンやパスタなどの小麦製品を食べる機会が増えた結果、セリアック病も増加傾向にあるといわれています。

過敏性腸症候群の陰にセリアック病が隠れている可能性も否定できず、過敏性腸症候群の治療をしても結果が良くない場合は、グルテンフリーの食生活に切り替えて3週間くらい様子をみることも有効だと思います。

もし、これで症状が改善するようであれば、セリアック病の可能性も考えられますので、主治医にご相談して実践してみる価値はあると思います。

グルテンフリー

グルテンフリー

海外ではグルテンフリーの商品がたくさん売られているのは、セリアック病などグルテンにより体調が悪くなる人が多いからで、それなりに需要が多いからだと思います。

日本のお店では、残念ながらグルテンフリーの加工品を取り扱っているところはほとんどありません。

それでもご安心ください!ほとんどの和食がもともとグルテンフリーなのです。和食でグルテンに気をつけるものは、うどんなどの麺類と、天ぷらなどの衣、麩くらいのもので、あとはほとんどグルテンを使っていません。

例えば朝食にパンと牛乳だったものを、ご飯と味噌汁に変えるだけで体に与える影響はガラッと変わります。

農林水産省の「2021年度食生活・ライフスタイル調査」の結果、日本の食事における主食の割合は、米食が4割強、パン食18%、麺類14%となっております。

輸入小麦がほとんどのパンやめん類は残留農薬などの心配もありますし、パンには食品添加物も使われていることが多いのです。

逆に、自分でご飯を炊くときに添加物を入れる人はいませんので、自炊することがまずは健康の第一歩になります。

日本は、「豊葦原の瑞穂の国:とよあしはらのみずほのくに」と呼ばれ、神意によって稲が豊かに実り、栄える国と考えられていました。

これを機会にもう少しお米や和食を見直してもいいのではないでしょうか?

乳糖不耐症

日本人は、遺伝的に牛乳に含まれる乳糖を分解する酵素活性が低いことがわかっています。逆に、住んでいる土地の気候や緯度のせいで日照時間が短く、寒冷な西洋の地で長年暮らしてきた西洋人は、大人になっても乳糖分解酵素の活性が高いまま保たれ、お腹を壊すことなく牛乳を大量に飲める人が多いのです。

それは、稲作などに向かない高緯度でヒトが生き残っていくためには、栄養価が高い動物のミルクを消化できる体に進化する必要があったからです。

そこに住む人々に乳糖分解酵素の活性が持続する「突然変異」が起こり、自然に広がったものと考えられています。

一方、この様な西洋人とは違い、日本人を含む黄色人種とアフリカ人のほとんどは、大人になると乳糖分解酵素の活性が低下してしまいます。

われわれ日本人に、学校給食などで牛乳を推奨したのは、もともと牛乳に対して耐性のあるアメリカ人です。ここには人種や遺伝の壁があるので、やはり日本人には牛乳は、あまり向いていないと考えます。

乳糖は小腸から分泌される乳糖分解酵素(ラクターゼ)によって、ブドウ糖とガラクトースに分解され、小腸から栄養として吸収されます。

しかし、乳糖を分解する酵素が少ない日本人でも、牛乳を飲んでみんなが下痢をするわけではありません。それは、大腸に棲む腸内細菌の中で、乳糖をエサにして育つビフィズス菌が増殖するからだと考えられています。

大人になっても牛乳を飲み続けていると、この腸内細菌が順応してくれ、乳糖の分解を助けてくれるからです。

ただし日本人が、日本の気候風土の中で生活する上では、生物学的に牛乳や乳製品をたくさん摂り続けることが健康にとってプラスになるかは疑問です。

また、過敏性腸症候群と診断されている方の中にも、実は乳糖不耐症だという方がいるそうです。気になる方は、主治医と相談し乳製品を減らしてみるのもよいかもしれません。

小麦中毒・牛乳中毒

パンを食べると幸せな気分になり、続けてパンを食べたくなります。それが、異常な食欲にもつながります。

これらは、小麦の成分がもたらす中毒症状です。

小麦を食べると体内にモルヒネによく似た物質ができます。それは小麦のタンパク質であるグルテンが分解される途中でできる「エキソルフィン」という物質です。

一方、牛乳のカゼインを分解する過程でできる「カソモルフィン」も脳内でモルヒネのような作用をします。

これにより牛乳・乳製品をとると、翌日もとりたくなるという「中毒症状」を起こす場合もあります。

当院でも筋肉反応テストなどでチェックすると、小麦でも牛乳でも、その人が好きなもの(中毒)ほど、体にとってはマイナスに働いていることが多いのです。

この様な場合、その食品に対して異常な渇望を感じ、ついつい食べてしまうということを繰り返してしまいます。

体調不良を治す場合、「足し算」と「引き算」という考えがあります。例えば栄養が足りていなければ、「足し算」で足りない栄養素を補ってあげればよいのです。

逆に何かが過剰なために体調を崩しているのであれば、「引き算」で減らしてあげることが先決となります。

「足し算」にはお金がいります。「引き算」には、意志がいります。

小麦断ち牛乳断ちには、強い意志がいりますがやってみる価値はあると思います。

まとめ

今回お伝えしたいことは、小麦や牛乳が人類にとって悪であるという決めつけではないということをご理解ください。

原因不明の体調不良や、病院に行くまでではないけれど、体がだるい、スッキリしないなどの症状、病院に行ってもなかなか病状が改善しないなど様々な問題がある時に、「まず3週間小麦と牛乳をやめてみる」ということを実践してみることをご提案しているのです。

元来日本人は、牛乳を飲む習慣がなかった民族であり、現代の様に国民すべてに乳製品が広まったのは戦後になってからのことです。

小麦も国産小麦はもともとグルテン質の少ない中力粉が主流で、主に麺類などに使われていました。国民が強力粉を使ったパンを現代の様に食べるようになったのも戦後からです。

食の欧米化によって豊かな食生活になった反面、それらが体になじまない人も一定数存在します。

今日本人が元気がないのは、もしかしたら小麦や乳製品の摂り過ぎが原因かもしれません。肩や首がこる、腰が痛い、体がだるい、朝起きられない、うつ傾向、やる気が起きないなど病気とまでは言えないが、体調の悪い人が激増しています。

巷の心療内科も何週間も先まで予約待ちの状態で、自律神経失調症や精神疾患の患者さんであふれています。

自分の体調不良の原因がもしかしたら食生活かもしれないと感じたら、まずは3週間パンなどの小麦製品とと牛乳などの乳製品をやめてみて、体調の変化をチェックしてみるとよいと思います。

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肩こり・腰痛・坐骨神経痛・椎間板ヘルニア・ぎっくり腰・めまい・頭痛・脊柱管狭窄症・自律神経失調症・五十肩・膝の痛み、股関節の痛み等、様々な症状の根本原因を施術する整体治療院 。あん摩・マッサージ・指圧師の国家資格取得者「札幌 キネシオロジーの谷井治療室」です。

全国どこでも遠隔施術も承ります。https://www.taniithiryousitu.com/distant-healing/
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