内視鏡信仰が誤診を生む

過敏性腸症候群は、内視鏡検査で異常が見つからないことが多い疾患なので、気のせいだとか精神疾患だとの偏見や間違った診断がなされてしまうことがあるそうです。

胃の症状も同じで、胃カメラで患者さんの症状を説明できるような病気が見つかる確率は、わずか9%しかないことが、JMMS研究でわかっています。(Hongo M,et al. J Gastroenterol Hepatol. 2012; 27:62-68)

「胃が痛い、胃がもたれる」という症状で内視鏡を受けても、胃潰瘍や胃がんなどの目で見てわかる病気はたった9%しか見つからないのです。

実は、腰痛もその85%は原因不明で、MRIなどで原因が判明するのはわずか15%にすぎないのです。厚生労働省も「画像所見のほとんどは腰痛の原因を説明できません」と述べています。

レントゲンやMRIの所見をみて、「変形している」「椎間板がつまっている(傷んでいる)」「ずれがある」「ヘルニアがある」「分離症がある」などと言われても、これらが腰痛の原因とは限らないのです。

過敏性腸症候群に話を戻すと、お腹の調子の悪い人を調べると、小腸の細菌数が正常の人より過剰に増えていることがわかりました。過敏性腸症候群の患者さんの84%に小腸内細菌増殖症(SIBO)が合併していたのです。

過敏性腸症候群やSIBOになると、腸にガスが溜まります。腸管の中で生成されるガスのほとんどは、腸内細菌が発酵によって作り出すものです。

この様に、過敏性腸症候群やSIBOは「精神的な病」や「気のせい」ではなく、腸内細菌のバランスが大きく関わっているのです。

抗生物質でお腹の不調が治った?

何年間も過敏性腸症候群の症状に悩まされていた患者が、虫歯の治療の際に出された抗生物質を服用し、それから2か月間は過敏性腸症候群の症状が大幅に改善したが、またぶり返したというのです。

これにより過敏性腸症候群の原因は細菌異常増殖なのではないかと考えられました。即ち、抗生物質により一時的に腸内細菌の増殖が抑えられていた期間は、腸の状態も良くなったためその因果関係がわかったのです。

SIBOや過敏性腸症候群の患者さんは、便秘や下痢を起こしやすいのですが、腸内に発生するガスの種類によって便秘か下痢かに分かれます。腸内細菌が発生させるガスに水素が多くなる人は下痢が多く、メタンが多い患者さんは便秘が多いのです。

細菌異常増殖症と腸の蠕動運動

細菌異常増殖を防ぐ重要な仕組みに、蠕動運動があります。小腸は、食べ物の残りカスや細菌を大腸へ押し流す強いさざ波のような運動をしているのです。

食事をしていないとき、この蠕動は90分ごとに発生するようになっています。これを「伝播性消化管収縮運動」と言います。

この動きは、体が食べ物を消化して栄養分を吸収する食事中だけは、動きが停止するようにできています。つまり、間食してしまうと、せっかくの腸のお掃除運動である蠕動運動が止まってしまうのです。空腹の時間をつくることが、小腸の蠕動運動を強くし、腸を浄化するのには必要です。

グーッというお腹の音は、腸が一生懸命にお掃除運動をしている証拠なのです。最近みなさんのお腹はグーッと鳴っていますか?

便秘と寿命

慢性便秘の人は寿命が短く、15年後の生存率が約3/4になるばかりか、パーキンソン病や認知症のリスクが高まるのです。

しかし、便秘をしっかり治療すれば、10年後の死亡率が約12%も下がることもわかっています。

つまり、腸内で発生するガスは寿命にも影響します。腸内ガスこそ予防医学の決め手なのです。

小腸を襲うSIBOという難病

SIBOとは、小腸内細菌増殖症のことで、小腸の中で細菌が爆発的に増えてしまう病気です。たとえば大腸にあるべきバクテリアが小腸の中に入り込み、小腸に停滞してしまい本来の居場所である大腸に移動しないときにSIBOは起こります。

現在、SIBOが原因で小腸に深刻な炎症が起きることがわかっています。つまり小腸で火事が起こっているのです。小腸で起きた火事は、全身に影響を与えます。病気だけではありません。現在の医学では、体のどこかに「慢性的な炎症が起きていることは老化を早める」と考えられています。

老化を遅らせ病気にならないためには、小腸の火事を消し止めなければならなりません。

胃酸を抑える薬が逆効果

胃酸には、小腸の中で細菌が増えすぎないように調節する大切な働きがあります。胃酸を抑える薬を飲んでいると、小腸の中で細菌が爆発的に増えてしまいます。その結果、小腸の中で過剰なガスが発生し、お腹をパンパンにしたり、ゲップの原因になったり、胃を圧迫して胃酸を食道に逆流させたりするのです。

また、SIBOの患者の腸は、粘膜の透過性が更新し、腸の粘膜は「ダダ漏れ状態」になります。こうなると、あらゆる病気にかかりやすくなってしまうのです。この状態を「リーキーガット(漏れる腸)症候群」と呼びます。

なぜ漏れが起こるのかの理由は、本来あってはならないガスが小腸の中に発生し、小腸が風船のように過剰に膨らんだり縮んだりを繰り返すうちに、腸の粘膜が障害を受けるためです。

SIBOにより患者さんの腸内環境が乱れた結果、正常では増殖が抑えられているカンジダなどのカビ(真菌)の増加が見られるのが特徴です。

空腹の時間に腸は掃除される

小腸内の細菌異常増殖を防ぐ大切な仕組みとしての小腸の蠕動運動があります。食事をしていないとき、この蠕動は90分ごとに発生するのです。この小腸のリズミカルな蠕動運動のことを「伝播性消化管収縮運動」と呼びます。

この運動は空腹のときに、腸の浄化作用として蠕動運動を強くしているので間食をしてしまうと、せっかくのお掃除運動が止まってしまいます。空腹の時間を作ることが大切なのです。グーッというお腹の音は、腸が一生懸命にお掃除運動をしている証拠なのです。

自分の消化能力に見合った適量の食事を心がけることが大切です。

リーキーガットの原因

西洋食が腸の粘膜を薄くし、バリア機能を壊します。腸のバリアが壊れると、腸内細菌の作り出す毒素が体内に入り、脳梗塞や心筋梗塞、肝硬変、腎臓病、動脈硬化を生みます。

逆に、日本食や地地中海食は、腸を守る酪酸を増やし、動脈硬化物質を下げることがわかっています。

やっぱり日本人は、伝統的な日本食をもっと見直す必要があります。

農林水産省のサイトにも、【「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されています】との記述があります。

「和食」の4つの特徴は次のように書かれていました。

  1. 多様で新鮮な食材とその持ち味の尊重
  2. 健康的な食生活を支える栄養バランス
  3. 自然の美しさや季節の移ろいの表現
  4. 正月などの年中行事との密接な関わり

この特徴の何割を日々の食事に取り入れられているでしょうか。

腸のバリア機能を低下させる7つのこと

腸のバリア機能を低下させる7つのこと
  1. 果糖(砂糖も含む)
  2. アルコール
  3. 痛み止め
  4. 歯周病菌(食事の前の歯磨きがお腹のガスを減らす)
  5. ストレス
  6. 激しい運動(腸管への血流が減る)
  7. 食中毒

腸と栄養

亜鉛がクローン病のリーキーガットを改善することや、オメガ3が腸粘膜の炎症を抑えることがわかっています。

亜鉛を多く含む食材は以下になります。

  • 牡蠣
  • 豚レバー
  • 牛赤身肉
  • 小麦胚芽
  • カシューナッツ
  • 油揚げ

オメガ3の多い食材は以下になります。

  • サバ、イワシ、サンマなどの青魚
  • たらこ、イクラ
  • くるみ
  • アマニ油、えごま油

尚、SIBOの人には、プロバイオティクスのサプリメントは逆効果になります。

低FODMAP

  • Fermentable・・・発酵性の糖質
  • Oligosaccharides・・・オリゴ糖
  • Disaccharides・・・二糖類に含まれる乳糖(ラクトース)で牛乳など高乳糖食に含まれる
  • Monosaccharides・・・単糖類のことで、果糖の多いフルーツや蜂蜜などに含まれる
  • And
  • Polyols・・・キシリトール、ソルビトール、マンニトールなどフルーツやきのこ類、カリフラワーなど

これらは小腸でほとんど吸収されないため、細菌の餌となって急激な発酵を起こす糖質を総称して「FODMAP(フォドマップ)」と呼びます。

SIBO改善のために、これらの物を一定期間、抑えた食事が低FODMAP食となります。

更に、小麦粉、人工甘味料、整腸剤などは出来るだけ避けた方がいいでしょう。

天然由来の抗菌作用がある食材

  • ニンニク…自然な抗菌作用、天然の抗がん剤
  • ブロッコリースプラウト…スルフォラファンが多く、天然の抗菌薬
  • 梅肉エキス(オススメ)
  • 梅干
  • 抗菌ハーブ(オレガノオイル、クローブオイル、タイムオイル)

これらの食材をうまく活用して、腸内細菌のバランスを整えてください。

その他に、生姜は胃腸を整えるのでおすすめです。

また、菌が死ぬときにダイオフといって、毒素を発生させますので、それを吸着するための飲む活性炭(スーパーチャコール)もおすすめします。

さらに解毒排毒のために、湯たんぽで肝臓と腎臓の部位を温めることはとても良いことです。

まとめ

SIBO治療のために、抗生物質などを用いて強制的に増えすぎた菌を殺す治療がありますが、抗生物質は無差別の絨毯爆撃のように私たちの体にとって良い菌までも殺してしまいます。すると、今までひそかに生きていた悪玉菌が活動範囲を広げ、その結果、下痢などの副作用が出てしまうのです。

また、抗生物質には耐性菌をつくってしまうという負の側面もあります。

このように抗生物質でどんな菌でも見境なくやっつけるというのではなく、もう少し自然な方法で穏やかに行きたいものです。

戊辰戦争における「江戸無血開城」と重なるものがあります。

東征軍は3月15日に江戸総攻撃を決めていました。もしそれが決行されていれば、江戸の町は大混乱となり、多くの犠牲は免れなかったことでしょう。

腸内細菌に例えれば、抗生物質で掃討作戦を行うようなものです。

新政府軍の歎願(たんがん)や、英国公使ハリー・パークスからの圧力もあったと思いますが、駿府での山岡鉄舟と西郷隆盛との会談が大きかったと思います。

これが薩摩藩江戸藩邸にて3月13日・14日の2回行われた勝・西郷会談へと繋がり、その結果、江戸城無血開城となったのです。

SIBO治療に例えると、穏やかに低FODMAP食や制菌力のある食材を用いたり、小食を実践するなどの方法をとることになります。

SIBO治療には、軽い症状の人は小食にし、制菌力のある食材からまずは試してみるのもいいと思います。

症状が重い方は、兵糧攻めのように、低FODMAP食を数週間行って小腸に大繁殖してしまった細菌の餌を減らす方法をとります。

そして、お腹の調子が落ち着いてきたら、制菌力のある食材を交えながら食べられる品目を増やしていくといいでしょう。

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