睡眠負債について

今回のブログテーマは、「睡眠」についてです。

ここ最近よく聞かれる言葉に、「睡眠負債」というものがあります。これは、2017年6月18日にNHKスペシャル「睡眠負債が危ない~ ❝ ちょっと寝不足 ❞ が命を縮める~」と題して番組が放送されたことが大きかったと思います。

今回睡眠について参考にした書籍も、このNHKスペシャルの取材班がまとめた「睡眠負債」という本です。

人は誰しもが毎日一定の睡眠を必要としています。この睡眠が何らかの事情で不足することが寝不足ですが、この寝不足が徐々に溜まって睡眠負債(Sleep Debt)となるのです。

この睡眠負債が続くと認知症の原因となる物質が脳に蓄積しやすくなったり、がん細胞の増殖を加速するというのです。

睡眠負債については、レム睡眠発見者の一人、スタンフォード大学睡眠医学研究所のウイリアム・C・デメント初代所長が早い段階から睡眠負債についての概念を提唱していたそうです。

睡眠不足が徐々に溜まって睡眠負債となりますが、自分自身でほとんど自覚のない僅かな寝不足でも、ボクシングのボディーブローのように徐々に効いてしまうのです。

国立精神・神経医療研究センターの北村真吾室長によると、日本人の6割が、睡眠負債を抱えているという実験結果が出ているそうで、私もこの6割に入っているのは間違いありません。

それでは、人は一体、一日に何時間寝ればよいのでしょうか?

米ペンシルバニア大の実験で7~8時間の睡眠が必要との結果が出ています。

人は睡眠不足になるとどの様になるのでしょうか。

1997年に7日間、被験者の睡眠を5時間に制限して、簡単な課題に対する反応ミスの回数を調べる実験をしました。

実験2日目から、基準日の3倍の反応ミスが発生、7日目にはさらにミスが増えるという結果が出たそうです。(D.F.Dinges,F.Pack,K.Williams et al.,Sleep)

そこで、日頃の睡眠不足を長時間睡眠(寝溜め)で解消しようと考えますが、人には覚醒システムがありますので、連続して24時間とか15時間などと寝続けることができません。長時間睡眠の実験では、初めのうちは10時間以上眠れるが、次第に睡眠時間が短くなり、最終的には8時間位で落ち着くそうです。

日本国民の約4割が1日6時間未満の睡眠だそうで、睡眠不足による日本の経済損失は年間15兆円に上ります。

また、睡眠負債は子供の成長や情緒に影響し脳の機能低下に関係するそうです。昔は子供は8時に寝なさいと言われていました。今の子供たちは大変忙しく、習い事や塾通いなどで就寝時間が遅くなっているようですが、そのしわ寄せが健康面や情緒面で現れないかと心配です。

睡眠負債の兆候として、日中の眠気と、マイクロスリープがあります。良い睡眠がとれていれば、日中に眠くなることはそれ程ありません。

マイクロスリープとは、1秒~10秒程度の短い眠りのことをいい、睡眠負債から脳を守る防御反応だそうです。もしこれが車の運転中に起きたらと考えたらちょっと怖いですね。

先程、米ペンシルバニア大の実験で7~8時間の睡眠が必要との結果が出ていましたが、これによると6時間位の睡眠の人が実は最も危ないと言えるのです。6時間寝れていると人は寝不足を自覚しませんが、注意力の低下は確実に存在するのです。

睡眠負債が引き起こした事故では以下のものがあります。

1989年3月24日、米アラスカ州のプリンス・ウィリアム湾での原油流出事故で、巨大タンカーが「エクソン・バルディーズ」号が座礁し、およそ1100万ガロンの原油が流出、環境に甚大な被害を与えました。

この事故の調査の結果、操舵していた3等航海士の睡眠不足(事故前の48時間で睡眠6時間)が原因と判明しました。

私は治療家になる前に、三菱電機ビルテクノサービスという会社で、エレベーター、エスカレーターなどのメンテナンス業務を行っていました。1年目の研修生時代に、三菱電機稲沢工場に研修に行った際に「フェーズ3」というキャッチフレーズを目にしました。

フェーズ3とは、意識明瞭な状態で作業をしましょうという意味で、フェーズ2や1はボーとしていたり、ウトウトしている状態になります。工場のラインでは、常に労働災害の危険性がありますし、ヒューマンエラーによる不良品発生のリスクもあります。それを防止する意味でフェーズ3という標語が使われていたのです。

ただ、いくら立派な標語を掲げても、人は睡眠不足には抗えません。努力・根性・気合だけではどうにもならないのが睡眠不足なのです。

これを考えると「毎日7~8時間の睡眠をとりましょう!」のほうがより効果的だったかもしれません。

睡眠負債が認知症のリスクを高める

私たちが眠っている間、脳は単に休息をとっているわけではない。脳にはリンパ管が存在せず、老廃物を含んだ組織間液(ISF:interstitial fluid)が、脳脊髄液(CSF:cerebrospinal fluid)に灌流されます。

脳は身体の中で最も活発な臓器で、老廃物も多く、その多くは覚醒時に生産されます。日中もその除去は行われますが、主に睡眠中にまとまった除去が行われます。

脳脊髄液は、グリア(ニューロンを支える細胞)を介して流動的に脳の組織内に入り込み脳の清掃を行います。この脳でのリンパ管に代わる灌流システムを「グリシパティック」とよばれ、睡眠中に10倍も活動を高めるそうです。

認知症の多くを占めるアルツハイマー病は、脳にこの老廃物であるアミロイドβが蓄積することが主な原因と考えられています。

睡眠時間が長いほどアミロイドβは減少します。(スタンフォード大学教授 西野清治氏)

日中の活動により発生したアミロイドβが、眠っている間に脳から排出されるが、睡眠負債が続くとアミロイドβがプラークの様に蓄積し、脳の老人斑の様に不可逆的変化を起こします。

因みにオステオパシーやカイロプラクティックには、クラニアル(頭蓋骨調整)という手技があります。これは脳脊髄液の循環にも関係しますので、有効であると思います。

フィンランドで約2000人を対象に行われた調査(Virta JJ et al.SLEEP 2013)では、睡眠時間7~8時間の人に比べて7時間未満の人は認知症のリスクが1.59倍高くなりました。

東北大学でも以下のような実験が行われました。

男女それぞれ2万人以上について7年以上にわたる追跡調査を行いました。睡眠時間が7~8時間のグループと6時間以下のグループでは、前立腺がんの罹患リスクが1.38倍、乳がんが1.67倍になりました。

米シカゴ大の実験では、睡眠負債でマウスのがん細胞の大きさが2倍以上の重さになりました。

2017年4月、ハーバード大学の発表では、僅か15秒間、強い光を見ることで、体内時計のずれを改善できるそうです。十分な量の光が目から入ると、視交叉上核という場所が刺激され、体内時計がリセットされるというのです。朝日を浴びる健康法がありますが、効果があるのですね!(目を痛めますので、直接太陽は見ないでください)

整体治療の立場から寝不足と身体の状態について言えることは、寝不足の方は体が硬いということです。特に背中の左右の肩甲骨の間の筋肉が異常に硬い人は、寝不足の可能性が高いのです。この場合は、筋肉が古タイヤのゴムの様に硬くなります。

日中起きている時には、ある意味で緊張の持続となります。睡眠とはその逆で、弛緩(リラックス)ということになりますので、睡眠が足りないと体はリラックスできないため、筋肉も関節もこわばってしまうのです。首や肩のこりなども実は寝不足が原因だということもあるのです。

そしてこの緊張が、更に睡眠に対して悪影響を与えるのです。そういった意味でも、整体治療で体のバランスを取り、筋肉をリラックスさせることは、良い睡眠への補助になるでしょう。

その他に、睡眠の質と量は、活動(運動)の量と、筋肉量に比例しますので、体を良く動かす習慣がある人ほど良い眠りに導かれます。

早寝早起きで、朝日を浴びて、一日よく体を動かしていれば、良い睡眠のサイクルになり、睡眠負債とは無縁の生活となります。

この様にまずは基本的な生活習慣の改善が、健康のために大切かと思います。

 

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