ぎっくり腰の解剖的なメカニズムを以下にご説明します。

ぎっくり腰の関連筋

ギックリ腰で痛みが出る部位は、その名の通り腰部になります。その関連筋は背部では脊柱起立筋群や、その筋肉を包む筋膜などで、中でも臨床上重要な意味を持つのが、腰方形筋(ようほうけいきん)になります。(下図参照)

これらの筋肉や筋膜の損傷によってぎっくり腰になるケースがあると考えられています。筋肉は疲労が蓄積すると柔軟性が低下し、筋力が低下します。このような状態がぎっくり腰の素地になります。

また、ぎっくり腰になりやすい人は、特有の筋肉の緊張を持っています。腰の筋肉を触診するとすぐに判ります。これにより、ギックリ腰になりやすい人はそうでない人に比べ、腰の筋肉の疲労が早く起きたり、脊柱の歪みが発生しやすく、結果的に身体バランスを崩してしまいます。

背面の深部骨盤筋肉

腹部の筋肉で重要となるのが大腰筋と腸骨筋です。これらの筋肉に左右の緊張のアンバランスなどがあると腰椎が歪み、その結果として椎間板や椎間関節、背部の筋肉にも負担がかかります。これが様々な腰痛やぎっくり腰の誘因となっています。大腰筋は深部の筋肉で、通常の指圧・マッサージでは見逃してしまいがちな筋肉です。

前面の骨盤深部筋肉

腰椎の椎間関節の問題は、椎間関節を包む関節包が引き伸ばされ炎症を起こしていると考えられます。腰椎椎間関節とそれを包む関節包は、脊柱のS字カーブが正常に保たれている状態がニュートラルの状態です。

しかし、不良姿勢や腰方形筋、大腰筋の異常な緊張などにより脊柱の湾曲に異常をきたすと、関節包には無理な張力がかかり続け、関節包並びに椎間関節に捻挫や炎症を起こしやすくなり、その結果としてギックリ腰になります。

ぎっくり腰と椎間板

椎間板画像

上の図は、腰椎椎間板を示したものです。

腰椎椎間板の繊維輪に断裂が起きることによって、ギックリ腰になる椎間板性疼痛の問題があります。以下のデータは日本腰痛学会誌からの抜粋になります。

ぎっくり腰で、椎間板内への局所麻酔剤の注入によってその痛みが取り除かれたものを椎間板性疼痛とし、その特徴と発症の仕組みを調べたそうです。その結果、ギックリ腰で来院した23例の中で、椎間板性疼痛と診断されたのは16例
(70%) でした。平均年齢は36歳と比較的若く、日常の何気ない動作で発症した症例が10例 ( 63% ) と多かった。

椎間板造影像では後方線維輪までの放射状断裂が全例にみられたが,硬膜外腔への流出像は2例 ( 13% )にしかみられなかった。MRI 画像では椎間板の変性が全例にみられ、椎間板性
ぎっくり腰の多くは、放射状断裂を呈する中等度の変性椎間板において、椎間板後方線維輪の肉芽あるいは瘢痕組織に置換された無症候性断裂部位に、体動による再断裂が生じることで発症していると思われる.
(出典:日本腰痛会誌より)

この様に、ギックリ腰の原因として椎間板性疼痛が7割もあるという驚きの結果が出ています。また、ぎっくり腰を繰り返していると椎間板の繊維輪の断裂が広がり、髄核の脱出を招きます。その結果として腰椎椎間板ヘルニアに移行するケースもあります。

ただ、この椎間板性疼痛も、ある意味、結果であり、なぜ椎間板に断裂が起きたのかという更なる「ギックリ腰」の原因は、以下に述べる仙腸関節の機能障害などが考えられます。

ぎっくり腰の患者様は、多くの場合、立位で腰が伸びない前傾姿勢や、左右への傾きである側彎を示します。身体は痛みが起こると、その痛みを軽減しようと無意識に防御的に反応するためです。ぎっくり腰の整体治療を適切に行うことで、これら脊柱の湾曲も正常に戻ります。

ぎっくり腰と仙腸関節

以上のようにギックリ腰の原因についてまとめましたが、この他に臨床上最も重要な部分があります。それは仙腸関節(せんちょうかんせつ)です。仙腸関節については、以下ををご覧ください。

骨盤と仙腸関節

特にぎっくり腰改善のキーになる部位が、骨盤の仙腸関節です。仙腸関節は以前は不動関節と考えられておりました。仙腸関節自体を動かすことを目的とした主動筋を有さないため、構造的には外力によって受動的に動かされる関節で、現在は数ミリ動く可動性のある関節と認識されています。上図の様に仙腸関節は上方から脊柱を通り仙骨にかかる自分の体重と、脚から股関節を通り抜けて骨盤にかかる圧力が交わる部分で別名、体重軸受部(Weight bearing)と呼ばれ、強い力のかかる関節なのです。そのため、仙腸関節の機能障害があるとその強い力によって、炎症が発生し、仙腸関節炎を起こしてしまいます。

骨盤は脊柱の土台です。仙腸関節の微細な動きは、ビルの土台の免震構造と同じような働きをしています。

上の動画はビルの耐震実験の様子です。左が免震構造の建物で、土台の部分が人の仙腸関節(仙骨と腸骨)に相当し、ビルの部分を脊柱とお考えください。

この様に仙腸関節に正常な機能や可動性があれば、脊柱、椎間関節、椎間板、ぎっくり腰関連筋群に無理がかかりません。逆に仙腸関節の動きが悪くなると、脊柱や椎間板などに無理がかかり結果として、ぎっくり腰が発生してしまいます。

以上の様に、ぎっくり腰は筋肉や骨盤の仙腸関節、腰椎椎間板などが複雑に絡みあって発生します。このように筋肉や関節などを総合的に施術することが、ぎっくり腰の改善には欠かせません。

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