顎関節症を生命全体から診るという考え方

顎関節症というと、多くの方は「顎が悪い病気」というイメージを持たれるでしょう。
もちろん、顎関節や咀嚼筋の異常は大切です。しかし、顎だけを治療しても改善しない方が少なくないことも、長年の臨床で数多く経験してきました。
私は30年以上にわたり、顎関節症をはじめとする様々な症状と向き合う中で、症状が現れている場所と、本当の原因が存在する場所は必ずしも一致しないことを何度も経験してきました。
例えば、姿勢の乱れや第一頚椎の機能低下、頭蓋骨や顔面骨のバランス、首や肩の筋肉の緊張、呼吸の浅さ、さらには精神的ストレスや脳・神経系の反応が、顎関節の働きに大きく影響しているケースも少なくありません。
そのため私は、顎関節症を「顎だけの問題」としてではなく、身体全体、そして生命全体とのつながりの中で理解することが大切だと考えています。
東洋医学にも、「木を見て森を見ず」ではなく、人を全体として診るという考え方があります。
西洋医学が解剖学や生理学を通して身体の構造や機能を深く探究してきたように、東洋医学は経絡や気血の流れを通して、人間という生命を一つの有機的な存在として捉えてきました。
私はこれまで、西洋医学の解剖学・運動学・発生学をはじめ、オステオパシー、カイロプラクティック、経絡治療、そしてPCRT(心身条件反射療法)など、さまざまな理論や手技を学んできました。
それぞれ理論や表現方法は異なりますが、臨床を重ねるほどに、「身体はすべてつながっている」という一つの事実を、それぞれ別の角度から語っているように感じるようになりました。
本ページでは、東洋医学の視点を中心に、解剖学や発生学、そしてPCRTの考え方も交えながら、顎関節症を生命全体から診るという谷井治療室の考え方をご紹介します。
顎関節症でお悩みの方が、「顎だけを治療する」という視点から一歩離れ、ご自身の身体をより広い視野で見つめ直すきっかけになれば幸いです。
東洋医学は「ツボ」を治療しているのでしょうか
東洋医学というと、「ツボ(経穴)を刺激する治療」という印象を持たれる方が多いのではないでしょうか。
テレビや雑誌でも、「肩こりにはこのツボ」「頭痛にはこのツボ」と紹介されることが多く、経穴とは身体に決まった位置に存在する「点」のように理解されることが一般的です。
もちろん、経穴には古くから受け継がれてきた名称や標準的な位置があり、東洋医学を学ぶうえで大切な指標となります。
しかし、本来の経絡治療は、教科書に書かれた位置を機械的に刺激するだけの医療ではありません。
私は30年以上の臨床を通して、経穴とは生命の反応が現れる場所であると考えるようになりました。
同じ顎関節症であっても、反応が現れる場所は患者さんごとに異なります。また、同じ患者さんでも、その日の体調や姿勢、精神状態によって反応点が変化することも珍しくありません。
つまり、生命は常に変化しており、それに伴って身体の反応も変化するのです。
だから私は、教科書に書かれた経穴を尊重しながらも、最終的には目の前の患者さんの身体が示す反応を大切にしています。
臨床では、「ここだ」と自然に手が止まる場所を調べると、結果として古典に記載された経穴と一致することも少なくありません。
私にとって経穴とは、最初から決められた点ではなく、生命が今まさに語りかけてくる場所なのです。
経穴は固定された点ではなく、生きた反応点

東洋医学を学ぶと、経穴(ツボ)にはそれぞれ名称があり、身体のどこに存在するのかという標準的な位置を学びます。これは臨床を行ううえで大切な基礎であり、多くの先人たちが積み重ねてきた貴重な知識です。
しかし、古典には「阿是穴(あぜけつ)」という考え方があります。
阿是穴とは、決まった名称や位置を持つ経穴ではありません。
患者さんが押されて「そこです」「そこが痛い」と感じる場所、あるいは施術者が身体の反応として異常を感じ取る場所を指します。
つまり、身体が今まさに反応を示している場所そのものが治療点になるという考え方です。
私は30年以上の臨床を通して、この阿是穴の考え方に深く共感しています。
同じ顎関節症という診断名であっても、反応が現れる場所は患者さんによって異なります。また、同じ患者さんでも、昨日と今日では身体の反応が変化していることも珍しくありません。
姿勢が変われば筋肉の緊張も変わります。
呼吸が変われば身体のバランスも変わります。
精神的な緊張や安心感によっても、身体が示す反応は変化します。
生命とは、常に変化し続ける存在だからです。
だから私は、教科書に示された経穴を尊重しながらも、最後は目の前の患者さんの身体が何を語っているのかを大切にしています。
施術では、患者さんの身体に触れ、筋肉の緊張や組織の質感、圧痛、可動性などを丁寧に確認していきます。
そして、「ここだ」と感じた反応点を調べていくと、結果として古典に記載されている経穴と一致していることが少なくありません。
私にとって経穴とは、最初から決められた点を探すものではなく、生命が身体を通して教えてくれる場所なのです。
だからこそ、経絡治療で最も大切なのは、教科書を暗記することだけではありません。
目の前の患者さんの生命の反応を感じ取り、その変化を丁寧に読み取ることだと私は考えています。
鍼を刺さない経絡・経穴治療という選択
東洋医学というと、「鍼を刺してツボを刺激する治療」を思い浮かべる方が多いかもしれません。
確かに、鍼灸は東洋医学を代表する治療法の一つです。
しかし、経絡や経穴を用いた治療は、鍼だけではありません。
私は30年以上にわたり、あん摩・マッサージ・指圧師として、手で身体に触れながら経絡や経穴を評価し、施術を行ってきました。
谷井治療室では、鍼を刺すことなく、指や手掌による繊細な触診と刺激を通して、身体が示す反応を丁寧に確認していきます。
これは単に「鍼を使わない」という意味ではありません。
私は、施術者の手には、筋肉の緊張や組織の質感、皮膚の状態、わずかな温度の違いなど、多くの情報を感じ取る力があると考えています。
だからこそ、患者さんの身体に直接触れ、その日の生命の反応を確認しながら施術を組み立てることを何よりも大切にしています。
私の経絡・経穴に対する考え方は、経絡指圧(ZEN SHIATSU)を創始した増永静人先生から大きな影響を受けています。先生は、国内だけでなく海外にも経絡指圧を普及させ、ZEN SHIATSUとして世界に紹介した先駆者でもあります。
また、東洋医学を単なる「ツボを押す技術」としてではなく、経絡を通して生命全体を理解する医学として体系化しました。
また、漢方四診の一つである切診を重視し、施術者の手で全身の状態を読み取り、その人全体を診るという独自の臨床哲学を築かれました。
私は、この「手で生命を診る」という考え方に深く共感しています。
30年以上の臨床を重ねる中で、身体に触れることで得られる情報の豊かさと、その日の身体が示す反応の重要性を数え切れないほど実感してきました。
一方で私は、伝統的な経絡指圧の考え方を大切に受け継ぎながら、キネシオロジー(筋肉反応検査)やPCRT(心身条件反射療法)などの現代的な評価法も取り入れています。
伝統と現代の評価法を対立するものとして考えるのではなく、それぞれの長所を活かしながら患者さんの身体をより深く理解すること。
それが、現在の谷井治療室における経絡・経穴治療の特徴です。
キネシオロジー(筋肉反応検査)を取り入れた経穴の評価
私は現在、経絡や経穴の評価にキネシオロジー(筋肉反応検査)も取り入れています。
古くから経絡治療では、施術者が身体に触れながら、圧痛や組織の質感、筋肉の緊張、脈診などを通して生命の反応を読み取ってきました。
これらは長い歴史の中で培われた優れた診断技術ですが、一方で施術者の経験や感覚に委ねられる部分もあります。
そこで私は、キネシオロジー(筋肉反応検査)を応用することで、身体が示す反応をより客観的に確認し、経絡や経穴の評価と施術に活用しています。
筋肉反応検査では、身体が特定の経絡や経穴、あるいは刺激に対してどのような反応を示すのかを確認し、その情報を施術に反映していきます。
もちろん、キネシオロジーだけで診断や施術が完結するわけではありません。
私は、長年培ってきた切診や触診、そして患者さんとの対話によって得られる情報と組み合わせながら、その方の身体が今どのような反応を示しているのかを総合的に評価しています。
私にとってキネシオロジーとは、施術者の感覚に代わるものではありません。
むしろ、長年培ってきた切診や触診を補完し、生命の反応をより丁寧に確認するための「もう一つの目」だと考えています。
だから私は、経絡指圧で受け継がれてきた『身体が示す生命の反応を診る』という考え方を大切にしながら、現代の評価法も取り入れ、一人ひとりの患者さんに合わせた経絡・経穴治療を行っています。
そのため、谷井治療室では「決められたツボを刺激する」のではなく、その日の身体が示す反応を確認しながら経絡や経穴を評価し、施術を組み立てることを大切にしています。
中国医学の底流に流れる道教という生命観

顎関節症を東洋医学から考えるとき、私はまず「身体をどのように見るのか」という視点が大切だと考えています。
現代医学では、顎関節症を評価する際に、顎関節そのものだけではなく、側頭筋や咬筋、頚部の筋肉、骨格のバランス、神経の働きなどを詳しく調べます。
一方、東洋医学では、顎関節の周囲には上関・下関・聴宮・聴会・率谷・頬車など、多くの重要な経穴が存在し、それらを結ぶ経絡の流れも重視されます。
私は、経絡と現代解剖学が完全に一致するとは考えていません。
しかし臨床では、解剖学的に重要とされる筋肉や骨、神経の周囲に、古くから重要な経穴が配置されていることに、たいへん興味深い共通点を感じています。
そのため私は、解剖学と東洋医学は互いに対立するものではなく、生命を異なる角度から観察した結果ではないかと考えるようになりました。
このような身体観の背景には、中国医学を育んだ道教の生命観があるように私は感じています。
道教では、「無為自然(むいしぜん)」という考え方が大切にされています。
これは、無理に人為を加えるのではなく、生命が本来持っている働きを尊重するという思想です。
私は、この考え方は経絡治療にも通じているように感じています。
施術者の考えを身体に押しつけるのではなく、生命が今どのような反応を示しているのかを丁寧に観察し、その変化に耳を傾けること。
その姿勢こそが、経絡治療の本質ではないでしょうか。
一方で、中国医学は道教だけによって発展したわけではありません。
古代中国では、儒教的な礼制や社会規範が人々の生活に深く根付いていました。
肌を大きく露出して診察することが難しかった時代には、脈や顔色、声、姿勢、歩き方など、限られた情報から全身の状態を推察する診断技術が発達したと考えられています。
私は、そのような歴史的背景も、中国医学独特の診断学を育てた一因ではないかと感じています。
もちろん、これは歴史学として証明された事実を述べているのではなく、私自身が臨床を通して感じてきた一つの考察です。
私は、中国医学は、
道教によって生命観を育み、
儒教的な社会環境の中で診断技術が磨かれてきた
医療ではないかと考えています。
そして、その根底には、
「病気だけを見るのではなく、人という生命全体を見る」
という一貫した思想が流れているように感じています。
だからこそ私も、顎関節だけを診るのではなく、身体全体、そして生命全体とのつながりを大切にしながら顎関節症を評価することを心掛けています。
解剖学と経絡が交わる場所

顎関節症に有効なツボ
- 率谷(そっこく)…足の少陽胆経。咀嚼筋である側頭筋と関係する。
- 上関(じょうかん)…足の少陽胆経。咀嚼筋である側頭筋と関係する。
- 下関(げかん)…足の陽明胃経。咀嚼筋の咬筋と関係する。
- 頬車(きょうしゃ)…足の陽明胃経。咀嚼筋の咬筋と関係する。
- 聴宮(ちょうきゅう)…手の太陽小腸経。顎関節に関係する。
- 聴会(ちょうえ)…足の少陽胆経。顎関節に関係する。
現代医学では、顎関節症を考える際に、顎関節そのものだけではなく、その周囲の筋肉や骨、神経との関係を総合的に評価します。
例えば、咀嚼筋である側頭筋や咬筋、頭蓋骨を構成する側頭骨や後頭骨、全身のバランスに大きく関わる第一頚椎(環椎)、さらに蝶形骨や舌骨、胸鎖乳突筋、頚部筋群などは、顎関節の機能と深く関係しています。
これらは現代解剖学や機能解剖学、オステオパシー、カイロプラクティックなどでも重要視されている部位です。
一方、東洋医学では、耳や顎の周囲には胆経・胃経・小腸経・三焦経などの経絡が走行し、上関・下関・聴宮・聴会・率谷・頬車などの経穴が古くから重要な治療点として用いられてきました。
現代解剖学と東洋医学は、それぞれ異なる歴史と理論の上に発展してきた医学体系です。
そのため、私は「経絡と解剖学が完全に一致する」とは考えていません。
しかし、30年以上の臨床を続ける中で、解剖学的に重要視される部位と、東洋医学で重視される経穴や経絡には、多くの共通点が見られると感じています。
例えば、顎関節症で痛みや機能障害が起こりやすい咬筋や側頭筋の周囲には、上関・下関・頬車などの経穴があります。また、耳の周囲には聴宮や聴会があり、これらは顎関節だけではなく、耳の症状や咀嚼機能との関連からも古くから重視されてきました。
もちろん、これらの共通点だけで経絡の存在を証明できるわけではありません。
しかし、異なる時代、異なる医学体系が、結果として同じような身体の重要部位に着目してきたという事実は、非常に興味深いことではないでしょうか。
私は、解剖学から身体を理解する視点と、経絡から生命を理解する視点は、互いに対立するものではなく、同じ人間の身体を異なる角度から見つめているように感じています。
だからこそ、顎関節症を評価するときも、構造だけを見るのではなく、経絡だけを見るのでもなく、その両方の視点を持つことが大切だと考えています。
そして、その二つの視点を目の前の患者さんの身体の反応と照らし合わせながら、一人ひとりに最適な施術を組み立てていくことが、谷井治療室の診療方針です。
図の解説: 顎関節周囲には、現代解剖学で重要視される筋肉や骨と、東洋医学で重要視される経穴が数多く存在します。本図は両者の位置関係を理解するための概略図であり、経絡と解剖学が一致することを示すものではありません。異なる医学体系が同じ領域に着目してきたことは、臨床上たいへん興味深い点であると私は考えています。
発生学から見ても顎は特別な場所
顎関節症を理解するうえで、私は発生学も大変興味深い学問だと考えています。
発生学とは、一つの受精卵がどのように成長し、人体のさまざまな器官や組織を形成していくのかを研究する学問です。
発生学的に見ると、顎・顔面・耳・喉の多くは、胎児期に形成される鰓弓(さいきゅう)という構造から発達します。
魚類では鰓弓がエラの形成に関わりますが、人間の胎児では鰓として呼吸することはありません。
胎児の酸素の供給は胎盤を介して行われ、鰓弓はあくまでも顔面や顎、耳、喉などを形成するための発生学的な基盤となります。
しかし、その鰓弓から形成された組織は、出生後にはまったく別の重要な役割を担うようになります。
それは、
- 呼吸
- 嚥下
- 咀嚼
- 発声
- 表情
- 気道の維持
など、人が生きていくうえで欠かすことのできない働きです。
つまり顎は、食べ物を噛むためだけの器官ではありません。
空気を取り込み、
言葉を発し、
笑顔や悲しみなどの表情をつくり、
他者と心を通わせるためにも重要な役割を果たしています。
私たちは普段、顎関節を意識することなく生活しています。
しかし、顎関節症になると、
口が開けにくい、
痛くて食事がしづらい、
会話が億劫になる、
笑顔がぎこちなくなるなど、
日常生活のさまざまな場面に影響が及びます。
このことからも、顎関節は単なる関節ではなく、人間らしい営みを支える重要な器官であることが分かります。
私は、このような発生学的な背景を知ることで、顎関節症を「顎だけの病気」としてではなく、呼吸・食事・会話・表情・コミュニケーションなど、人間の生命活動全体に関わる問題として理解できるようになると考えています。
だからこそ、谷井治療室では顎だけを診るのではなく、姿勢や頭蓋骨、首、呼吸の状態なども含めて総合的に評価し、一人ひとりに合わせた施術を行っています。
そして、人が言葉を話し、感情を表現し、他者と関わるという営みも、顎や口の働きなくしては成り立ちません。顎は身体の一部であると同時に、「心」を表現する器官でもあるのです。
顎は心を表現する器官でもあります
私たちは普段、心と身体を別々のものとして考えがちです。
しかし実際には、心の動きはさまざまな形で身体に表れます。
例えば、大勢の前で話すときに顎が震えたり、緊張して言葉が出なくなったり、無意識のうちに歯を強く食いしばっていた経験は、多くの方がお持ちではないでしょうか。
怒りをこらえて奥歯を噛み締める。
不安なときに顎へ力が入る。
悔しさで歯ぎしりをする。
このように、顎は感情や思考が身体へ表現されやすい器官でもあります。
医学的にも、歯ぎしり(ブラキシズム)や食いしばりと精神的ストレスとの関連については数多くの研究が報告されています。
また、ストレスが顎関節症の症状を悪化させる一因となることも広く知られています。
しかし一方で、すべての顎関節症がストレスだけで説明できるわけではありません。
実際の臨床では、
- 噛み合わせ
- 姿勢
- 頭頸部の筋肉や関節の機能
- 呼吸
- 生活習慣
など、さまざまな要因が複雑に関わっています。
さらに、身体だけを丁寧に評価しても、十分に説明できない症例が存在することも事実です。
私は30年以上の臨床を通して、そのような患者さんを数多く経験してきました。
構造的な問題だけでは説明できない。
筋肉や関節だけを治療しても改善が十分ではない。
そのような症例に出会うたびに、身体だけではなく、脳や神経系の働きにも目を向ける必要性を強く感じるようになりました。
だから私は、顎関節症を診るときも、身体の構造だけでなく、心身がどのように影響し合っているのかという視点を大切にしています。
顎は、食べるための器官であると同時に、言葉を話し、表情をつくり、感情を表現する器官でもあります。
だからこそ私は、顎関節症を単なる関節の障害ではなく、身体と心の両方を映し出す「生命の表現」として捉えることが大切だと考えています。
PCRTというもう一つの視点

これまでお話ししてきたように、顎関節症には骨や関節、筋肉だけでは説明できないケースも存在します。
だからといって、「ストレスが原因です」と単純に結論づけることもできません。
私は、身体の構造を評価することはもちろん重要ですが、それだけでは十分に理解できない症例があることを30年以上の臨床で経験してきました。
そこで谷井治療室では、顎関節や第一頚椎、頭蓋骨、咀嚼筋、姿勢などの構造的な評価に加え、PCRT(心身条件反射療法)という視点も取り入れています。
PCRTでは、ストレスそのものを原因と考えるのではありません。
むしろ、脳や神経系が過去の出来事や体験をどのように学習し、その反応パターンが現在の身体にどのような影響を及ぼしているのかという視点から身体を評価していきます。
同じ顎関節症という診断名であっても、
- 咬み合わせが大きく影響している方
- 姿勢や頚椎の機能が関係している方
- 咀嚼筋の過緊張が主体となっている方
- 心身の反応パターンが影響していると考えられる方
など、その背景は一人ひとり異なります。
だから私は、「顎関節症だから同じ施術を行う」という考え方ではなく、その方の身体が今どのような反応を示しているのかを毎回確認しながら施術を組み立てています。
PCRTは、構造的な治療に代わるものではありません。
また、すべての顎関節症に適応するものでもありません。
私は、解剖学・運動学・東洋医学・経絡治療・オステオパシー・カイロプラクティックなどの評価と組み合わせることで、患者さんをより多面的に理解するための一つの視点として活用しています。
顎関節症という一つの症状であっても、その背景にある身体の状態や反応は十人十色です。
だからこそ私は、症状だけを見るのではなく、身体・脳・神経系が示す反応を一つひとつ丁寧に確認し、その方に合わせた施術を行うことを大切にしています。
私はPCRTを「特別な治療法」とは考えていません。患者さんの身体を理解するための、もう一つの大切な『観察の窓』だと考えています。身体は一人ひとり異なり、その日の状態によっても変化します。だからこそ、毎回身体の反応に耳を傾けながら施術を組み立てることが、何よりも大切だと考えています。
顎関節症を「顎だけの病気」と考えない理由
私は、顎関節症を「顎だけの病気」とは考えていません。
もちろん、顎関節そのものや咀嚼筋、噛み合わせに問題が生じていることも少なくありません。
しかし実際の臨床では、それだけでは十分に説明できない症例にも数多く出会ってきました。
姿勢の崩れが顎へ影響している方。
呼吸の乱れや頚部の緊張が関係している方。
頭蓋骨や第一頚椎の機能が関与している方。
あるいは、脳や神経系の反応パターンが影響していると考えられる方。
同じ「顎関節症」という診断名であっても、その背景は一人ひとり異なります。
だからこそ私は、顎だけを診るのではなく、姿勢や呼吸、頭蓋骨、第一頚椎、筋肉、神経系、そして心身の反応まで含めて総合的に評価することを大切にしています。
西洋医学は、骨や筋肉、関節、神経などの構造や機能を詳しく理解するための大きな助けとなります。
東洋医学は、身体全体のつながりや生命の働きを捉える視点を与えてくれます。
そしてPCRTは、身体だけでは説明しきれない反応について、脳や神経系の学習という側面から評価する一つの方法です。
私は、これらの考え方は互いに対立するものではなく、それぞれ異なる角度から人間という生命を見つめるための「レンズ」だと考えています。
一つのレンズだけでは見えないものも、複数のレンズを通して見ることで、新たな気づきが得られることがあります。
だから谷井治療室では、一つの理論や一つの手技にこだわるのではなく、その方の身体が今何を伝えようとしているのかを丁寧に読み取りながら、最適な施術を組み立てています。
顎関節症は、顎だけを診れば必ず改善するというほど単純なものではありません。
だからこそ私は、「顎を診ながら、生命全体を診る」という姿勢を大切にし、これからも一人ひとりの患者さんと向き合っていきたいと考えています。
まとめ|生命全体を診ることが顎関節症改善への第一歩
顎関節症は、単なる顎の痛みや口の開けにくさだけの問題ではありません。
顎は、噛む、飲み込む、呼吸する、話す、笑う、そして豊かな表情をつくるなど、人が人らしく生きるために欠かすことのできない働きを担っています。
だからこそ、私は顎だけを診るのではなく、その背景にある姿勢や頭蓋骨、首、筋肉、神経系、さらには心身の反応まで含めて、生命全体を見つめることを大切にしています。
西洋医学、東洋医学、解剖学、発生学、オステオパシー、カイロプラクティック、そしてPCRT(心身条件反射療法)。
それぞれの考え方には得意とする視点があり、互いに補い合うことで、一人ひとり異なる顎関節症の背景をより深く理解できると私は考えています。
顎関節症という同じ診断名であっても、その原因や身体の反応は一人ひとり異なります。
だから谷井治療室では、決められた施術を行うのではなく、その日の身体の反応を丁寧に確認しながら、その方に合わせた施術を組み立てています。
私は30年以上にわたり、多くの顎関節症の患者さんと向き合ってきました。
その経験を通して強く感じているのは、症状だけを追いかけるのではなく、一人の人間を生命全体として理解しようとする姿勢こそが、改善への第一歩であるということです。
もし長年、顎関節症でお悩みの方や、「顎だけを治療しているのに改善しない」と感じている方は、一度、身体全体という視点からご自身の状態を見つめ直してみてはいかがでしょうか。
谷井治療室では、これからも「顎を診ながら、生命全体を診る」という理念のもと、一人ひとりの患者さんに寄り添いながら施術を続けてまいります。
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料金
| 区分 | 金額(税込) |
|---|---|
| 初診料(初回のみ) | 3,300円 |
| 通常施術料 | 7,700円 |
| 中学生以下 | 3,850円 |
※施術時間は 約30〜45分(症状により前後します)
※完全予約制・当日予約も可能です
※お支払いは、現金かPayPayになります。
札幌谷井治療室
〒064-0809 札幌市中央区南9条西4丁目3-15AMSタワー中島1503号室
営業時間
月~金 9:30~19:30
日 9:30~17:00
定休日 水曜・土曜・祝祭日
アクセス:地下鉄南北線 中島公園駅:徒歩1
