腰痛のタイプと対策

腰痛治療イメージ

慢性腰痛で最も困っている部位のうち上位10部位の第一位が「腰痛」です。日本国内でアンケートを基に調べたデータによると、8割以上の人が過去に腰痛を経験しており、現在も腰痛を訴える人が3割もいました。

また、65歳以上の健康問題では、腰痛が一番多い症状なのです。

大切なのは、腰痛の原因を正しく理解し、しっかりと治すことです。

参考文献:PACE survey 2009, JP 松平浩ほか:ペインクリニック, 2011(in press)

腰痛の3タイプ

腰痛診断における世界標準の基本的な考え方として、腰痛は次の三つのタイプに分類されます。

  1. 特異的腰痛・・・坐骨神経痛などの神経症状を伴うもので、椎間板ヘルニアや、脊柱管狭窄症腰椎すべり症などの器質的疾患で、レントゲンやMRIなどの画像診断でも明らかに病変部位が特定できるもの。
  2. 非特異的腰痛・・・神経学的異常や器質的異常のない一般的な腰痛で、重篤な危険信号のないもの。
  3. 心理社会的要因(ストレス性)・・・肉体的には腰痛の原因になるような箇所がないにもかかわらず、腰痛が発症しているもの。

この分類の中の「特異的腰痛」は統計上、腰痛全体の約15%とされていますが、この数字には疑問が残ります。レントゲンやMRIなどの画像診断で腰部に病変と思われる部位が発見されたからと言っても、必ずしもそれが腰痛の原因とは限らないからです。

画像所見は痛みの原因ではない

腰椎変性疾患(腰部脊柱管狭窄症・腰椎椎間板ヘルニア・腰椎変性すべり症)画像

画像所見がそのまま腰痛の原因をあらわしていないことが、以下の文献でも示されています。

・椎間板変性や椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、骨棘(こつきょく)のような構造上の異常所見は、腰痛症状の有無に関係なく、一般的によくみられる画像所見である。

参考文献:Boden S et al. JBJS[Am] 72:403-8, 1990

・腰痛既往患者の47%は、MRIの画像所見では正常であった。

参考文献:Savage RA et al. Eur Spine J 6:106-114, 1997

・活動障害を伴う腰痛の予測因子は、MRI・椎間板造影所見よりも、心理社会的因子(心理的ストレス、恐怖回避の思考)

参考文献:Carragee EJ et al. Spine J 5:24-35, 2005

・重篤な基礎疾患のない腰痛患者に画像検査を行っても臨床経過は改善せず変化はない→ルーティン化された無意味な画像検査は止めるべき

参考文献:Chou R et al. Lancet 373:463-472, 2009

現代医学の進歩は光学機器の進歩と言っても過言ではありません。レントゲンはもとよりCTやMRIなどの画像診断機器の発達により、今まででは発見できなかったものまでわかるようになりました。

その恩恵は計り知れないものですが、その反面として画像所見を重視しすぎるあまり、腰痛の真の原因を見失ってしまっているということが起こっています。

これは「木を見て森を見ず」のたとえのごとく、腰痛の患部に固執しすぎて、目の前の患者を全体的に一人の人間として診ることができなくなっていることをあらわしています。

腰痛の新常識

腰痛に関して厚生労働省は、次のような見解を示しています。

腰痛画像の疑問点イラスト

画像所見のほとんどは腰痛の原因を説明できません。

病院で腰痛に関する検査をした結果、レントゲンやMRIの画像をもとに医師から様々な説明があると思います。厚生労働省では、これらの画像は今後腰痛で困り続けるかどうかの判断材料にもならないことが多いと述べています。

そのため腰の画像所見をネガティブイメージで医師から指摘されても悲観する必要はありません!とはっきり示しています。(出典:厚生労働省

この様に、病院で医師から「あなたの腰痛の原因は腰椎に変形があるからです!」とか「ヘルニアがあるから」などの断定的な説明を受けたとしても、それが正しいとは限らないので、鵜呑みにしない方がよいのです。

実際に私も臨床経験の中でこの様な患者さんと接する機会があり、「病院で手術を勧められました」といって当院に来院した方を施術させていただくことが何度もありました。

この様なケースでも、的確に保存的な治療をすれば無事に回復するケースがたくさんあるのも事実なのです。

ではなぜ同じ画像所見を見ても、厚生労働省と病院では見解が異なるのでしょうか?

それはお金の流れを見るとわかります。厚生労働省は医療費を管理する側で、病院は医療費を受け取る側です。令和2年度の国民医療費は 42兆9,665億円で、国の財政に大きく影響を与える支出です。厚生労働省は、できるだけこの医療費を抑えたいと考えます。

逆に病院は経営がありますので、多くの収入を望みます。そうするとある意味で、不必要と思われる検査や治療などがなされてしまうのもわかります。

また厚生労働省は、画像所見の判断に対し次のようにも述べています。

●ヘルニア像も含めこのような所見は、腰痛があろうがなかろうが、少なくともどれか一つは多くの人にみられます。逆に腰痛持ちでも画像に全く異常所見がない人もいます。
●椎間板に負担がかかっている所見は、20代からみられることも珍しくありません。

厚生労働省

皆さん、お分かりになりましたでしょうか?いくら医師が権威ある存在だからと言って、言われるがままに手術などの治療に従うのではなく、セカンドオピニオンなども含め冷静に判断した方がよいのです。

腰痛治療の施設

腰痛の患者が、その検査や治療に際し、どこを受診すればよいのか大変悩むところです。そこで、病院、接骨院(整骨院)、整体治療院などの特徴をお伝えします。

病院

病院も規模により大学病院や総合病院などの入院施設がある医療機関もあれば、個人病院の整形外科などもあります。

大きな病院では、MRIや3DCTなど最新の検査機器が備えてあり、入院⇒検査⇒手術⇒リハビリ⇒退院などとスムーズに大掛かりな医療が行われますので、重大な疾患、危険な疾患の場合はこちらがおすすめです。

腰部疾患でも、椎間板ヘルニアで膀胱直腸障害(尿閉や尿失禁)や重度の麻痺のある場合などは、手術が治療の第一選択肢になりますので、病院での対処が必要になります。

あとは、稀に腰痛を訴える患者に圧迫骨折や骨がんが見つかることもありますので、様々な鑑別診断の意味からもまずは病院で検査を受けるのは良いと思います。

接骨院(整骨院)

接骨院(整骨院)は、柔道整復師が行うもので、保険が適応されるものは次のものになります。

骨折、脱臼、打撲及び捻挫(いわゆる肉ばなれを含む。)の施術を受けた場合に保険の対象になります。

なお、骨折及び脱臼については、緊急の場合を除き、あらかじめ医師の同意を得ることが必要です。

単なる肩こり、筋肉疲労などに対する施術は保険の対象になりません。このような症状で施術を受けた場合は、全額自己負担になります。出典:厚生労働省

皆さんがよく勘違いしているのが、「接骨院(整骨院)は保険がきくから安くて良い」という点です。上記の様に、保険のきく範囲は限られておりますので注意が必要です!

残念ながら、一部?の柔道整復師による不正請求が現在も行われているのが現状で、保険適応外の腰痛や肩こりを保険で施術していることが社会問題になっています。患者の側もそれを承知で施術を受けることは、不正請求に加担していることとなりますのでご注意ください!

整体治療院

整体院や治療院と呼ばれる施設は、ある意味で玉石混交で国家資格(あん摩・マッサージ・指圧師や鍼灸師)を有する施術者が行うものもあれば、無資格者(民間資格を含む)が行うものなどかなり広範囲に及びます。

病院や接骨院(整骨院)にも設備や技術の差がありますが、国家資格によりある程度のレベルが担保されている部分もあります。そのようなものがない整体院や治療院は判断の基準が難しく、術者のレベルの差も大きいのが実情です。

最終的には自己責任になりますが、自分の体を任せるのであれば信頼できる先生を見つけることが大切かと思います。

セミナーや勉強会などで、常に最新の専門技術や知識を勉強し続けている先生かどうかも判断の材料になりますので、お受けになっている先生が、どのような勉強をしているのかを聞いてみてもいいと思います。

結局、どこで治療を受けたらいいの?

腰痛治療でどこに行ったらよいかは、その症状の程度により判断します。椎間板ヘルニアで膀胱直腸障害(尿閉や尿失禁)や重度の麻痺のある場合は、必ず病院に受診してください。

その他の腰痛でも、症状が強かったり、あまりにも長引くものは病院で検査を受け、重篤な病気がないかどうかの鑑別診断を行うことは必要です。

病院で検査をしても、重大な疾患などがなく、または椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などの画像所見があっても、手術するまでではないものなどは、保存的治療が優先されます。

このようなケースでは、病院では痛み止めや湿布などの対症療法(症状を軽減させるだけで根本的な原因治療ではない)が中心になります。

腰痛を根本的に改善したい!再発を防ぎたい!その場しのぎの痛み止めの薬はいやだ!とお考えの健康意識の高い方は、そのような治療を志している信頼できる整体治療院も選択肢に入れるべきだと思います。

なぜかといえば、高価な設備の整った大病院は検査には長けていますが、手術以外の治療に関しては、あまり期待できません。「1時間待って3分診療」と揶揄される通りで、単なる腰痛患者に対して大病院の医師が、何十分も治療してくれるなどということは絶対ありません。

検査を受けて重大な異常がなければ、整体治療院で施術を受けた方が、QOLの向上は望めると思います。

ただし、健康保険は使えませんので全額実費になります。

しかし、ものは考えようで、自分の健康を安く見るか高く見るかでその価値観は変わります。経済的に可能であれば選択肢に入れるのも一考の余地がと思います。

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肩こり・腰痛・坐骨神経痛・椎間板ヘルニア・ぎっくり腰・めまい・頭痛・脊柱管狭窄症・自律神経失調症・五十肩・膝の痛み、股関節の痛み等、様々な症状の根本原因を施術する整体治療院 。あん摩・マッサージ・指圧師の国家資格取得者「札幌 キネシオロジーの谷井治療室」です。

全国どこでも遠隔施術も承ります。https://www.taniithiryousitu.com/distant-healing/
札幌市営地下鉄中島公園駅から徒歩1分と好アクセスです。

ご予約は TEL: 011-211-4857 にお電話下さい。

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