ぎっくり腰と経絡(けいらく)

東洋医学的にも、ぎっくり腰は腎経(じんけい)と関係が深く、腎は冷えに弱いため、冬場のぎっくり腰のもう一つの原因になっています。

ぎっくり腰と経絡(腎経)
足の少陰腎経の図

東洋医学では、腰は、主に膀胱経(ぼうこうけい)と督脈(とくみゃく)が循る所ですが。腎経も貫き、また、横を胆経(たんけい)が走っています。腰は腎の腑であり、腰は腎の都会であると言われる位に腎の病気の顕現するところです。

「鍼灸重宝記」には、腰は一身の大関、六経の懸るところ、

太陽(膀胱経)の腰痛は、項背尻に引きせなか重し。(項背部から臀部にかけて重苦しく痛みます)

陽明(胃経)の腰痛は、左右へかへりみられず強りかなしむ。(体を左右にひねることができないのが特徴)

少陽(胆経)の腰痛は針にて皮をさくがごとし俛仰ならず。(鍼でチクチク刺される様な痛み方が特徴で寝返りができない)

太陰(脾経)の腰痛は、熱して腰に横木あるが如く遺尿す。(腰の中に横木が入っているように重苦しく痛む)

少陰(腎経)の腰痛は、張弓のごとく、黙々として心わるし。(腰が突っ張ってまるで弓の弦の様です

腎経による腰痛は背骨に近い所で、深部に痛みが出ます。

実際の臨床では、これらが複合して、ぎっくり腰の症状が出ますが、冷え、寝不足、過労、ストレスなどで、腎の気が虚に傾いた場合の、ぎっくり腰への影響は強いのです。

札幌は、寒冷地のため冷えから来る腎虚によるギックリ腰が多く、谷井治療室では独自の整体でこれら北国特有のぎっくり腰にも対応しています。

東洋医学的ぎっくり腰の原因

東洋医学の考えでは、腰は「腎の府:じんのふ」といわれ、腰痛には腎が関係しています。ここでいう腎とは、西洋医学的な腎臓のみを言っているのではなく、腎経という気のエネルギーが流れる全てを関連付けて考えています。

腎には、生まれ持ったエネルギー(先天の気)を蓄える機能があります。腎のエネルギーは、生まれつきの腎気不足、また加齢や過労、強い恐怖心等で消耗され、腎経の働きが弱くなると腰痛につながります。腰の重だるさや、膝の脱力感、動くと腰痛が強くなり、休むと痛みが軽減します。

身体が寒邪(かんじゃ)や湿邪等(しつじゃ)といって、寒さや湿度の影響を受け、気や血の流れが滞ることでも腰痛になります。これは東洋医学的には、「外因:がいいん」と呼び、体の外の環境など外的な要因を指します。

腰の鈍痛や重だるさ、冷え・足のむくみ・手やお腹の冷えなどを伴い、雨の日や寒い日などに症状が悪化します。ひどくなると腰からお尻・太ももにまで痛みが広がる場合もあります。

また、ぎっくり腰のような腰部の捻挫や、打撲等の外傷も、気血(きけつ:気のエネルギーや血液)の流れを悪くし腰痛を起こします。特に同じ場所が刺すように痛む、夜間に痛みが強くなる、押されると痛いなどの場合は、血行の悪さから、患部組織が固くなり腰痛に発展します。

それ以外に、塩辛いもの、辛いものを食べ過ぎたり、水分を摂りすぎたり、冷たいものの飲食で、気血水(きけつすい:気のエネルギーと、血液とリンパ液などの体液)のがランスが崩れ、腰痛を起こすこともあります。

ぎっくり腰の東洋医学的施術

腎の気(エネルギー)を整える治療を行うには、一般的な東洋医学では、「腎兪(じんゆ)」「委中(いちゅう)」などのツボに加えて、「膈兪(かくゆ)」「命門(めいもん)」「大腸兪(だいちょうゆ)」「崑崙(こんろん)」「養老(ようろう)」「陽(よう)陵(りょう)泉(せん)」「陰(いん)陵(りょう)泉(せん)」「豊(ほう)隆(りゅう)」などのツボを使います。

谷井治療室では、鍼灸を行わないでこれらの経絡のバランスを調整いたします。鍼は痛くて怖いとお考えの患者様は、安心して施術をお受けになることができます。

自分でできるツボ刺激

ぎっくり腰を起こす場合、何の前触れもなく突然「ギクッ!」とくる場合もあります。

しかし、かなりの割合で腰の張りや違和感などの前兆があり、何度もぎっくり腰を起こしている方は、そろそろ危ないと異変に気付くものです。

そのようなときにこのツボを覚えておくと、ぎっくり腰を回避できることもあります。

それは「腎兪(じんゆ)」です。

ぎっくり腰のツボ 腎兪(じんゆ)
ぎっくり腰のツボ 腎兪(じんゆ)

「腎兪」は、上図の様にへその高さで腰に手を置くと、自然に親指が届くところにあります。概ねの場所がわかったら、その周辺を指で押してみて、痛みのある所や感覚が敏感になっているところが治療穴となります。

その部位に指圧をしたり、薬局などで売っている温灸を貼ったり、使い捨てカイロを貼って温めたりしてあげると、腰の筋肉も緩み痛みも軽減します。

逆に足腰を冷やしたり、冷たいものの飲食でお腹を冷やしたりするのはマイナスですのでご注意ください!

ぎっくり腰と食べ物

東洋医学的にも「医食同源」といい、食事はとても大切な要素となっています。

腰痛予防の効果的な食べ物は、良質なタンパク質を含む食品です。

  • 肉、魚、大豆製品(納豆、豆腐等)、卵、乳製品
  • まぐろ、かつお、レバー、バナナ などのビタミンB6を多く含む食材も、筋肉をつくるために必要なのでおすすめです!

次に骨や軟骨を強くする食材も大切です!

  • 煮干し等の小魚
  • 小松菜・ほうれん草等の緑黄色野菜
  • アーモンドなどのナッツ類

疲労を回復させる食べ物としてはビタミンB1が多い以下の食品がおすすめです。

  • 豚肉
  • 玄米・胚芽米・押し麦・雑穀
  • ナッツ
  • 大豆
  • カリフラワー

※甘いジュースやお菓子はビタミンB1を過剰に消費してしまうので、できるだけ摂らないようにしましょう!

ぎっくり腰と運動

東洋医学では「導引按蹻:どういんあんきょう」という言葉があります。

「導引」とは、古代中国の道家から出た養生や治療法のことで、呼吸法や運動法、体操法などを組み合わせたものを言います。気功法などもこれに入ります。

「按蹻」とは、按摩・マッサージ、指圧などの手技療法をいいます。

以前は、ぎっくり腰になったら安静第一でしたが、最新の常識では痛いなりにも動いた方が治りが良いというのです。

予防的にも普段から、ラジオ体操や、ストレッチ、適度な筋トレなどを習慣化して行うのが腰痛予防に最適です!

まとめ

東洋医学的にも「養生に勝る治療無し」といいます。

ぎっくり腰の予防には、暴飲暴食を避け、バランスの良い食生活と、適度な運動を心がけながらも、過度な疲労を避け、体を冷やさず、足腰は温めることが大切です。

また睡眠は傷んだ体を修復するのに必要です。寝不足にはご注意ください!

さらに、タバコはぎっくり腰の発症リスクを増大させます。タバコを吸うと細胞の老化が早まり、椎間板も劣化し、ぎっくり腰になりやすくなるのです。

愛煙家には耳の痛い話ですが、ぎっくり腰予防のためには禁煙がおすすめです。

ぎっくり腰に最も関連の深い経絡が腎経です。腎経は過労と冷えには弱いので、次の点に気をつけることです。

  • 十分な睡眠と休養で疲れを溜めないようにする
  • 足腰を冷やさないようにする
  • アイスやジュース、ビールなど飲食でも体を冷やさない

腎のエネルギーは、生命エネルギーの根源です。これを養い浪費しないように気をつけてください!

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