関節への間接法

オステオパシーの治療テクニックには様々なものがありますが、一つの分類として直接法と間接法に分けられます。

椎骨(腰椎)
腰椎

直接法とは、脊椎を例にすると、椎骨が中心から右にずれていたと仮定して、ズレを中心に戻すように右から左へと直接的に力を加えて矯正することです。

つまり、悪い方から良い方向へ力を加えて矯正することです。一般的な矯正とは、この直接法のことを言います。

もう一つの矯正法に間接法があります。間接法とは先の例でご説明しますと、椎骨が中心から右にずれていたとすると、その椎骨を更に右の方向に僅かな力を加えて矯正することです。

つまり、悪い方にズレている椎骨を、更に悪い方向に力を加えて、中心のニュートラルの位置に戻そうと矯正する方法なのです。

「何だこりゃ~」「意味不明?」「理解不能・・」と思われた方は正常な思考の持ち主です!

なんで悪くなっている方向へ更に力を加えるとよくなるの?

力学的には逆でしょう!と思われるのは無理もありません。

そうですよね!通常では中心から右にズレていたら、右から左に力を加えたら、また中心に戻すことができると思いますよね。

ところが、間接法では力の方向が全く逆なのです。

これで治ってしまうのですから、人体は摩訶不思議です。

この方法で、頭蓋骨調整(クラニアル)、脊柱、骨盤、四肢の関節などあらゆる部位に対応可能なのです。

私の臨床上の結果として、治療効果としては、直接法で調整した場合と同等かそれ以上の効果があるという結果が出ています。

なぜ間接法で治るのか

では、なんで逆の方向に力を加えると元に戻るのでしょうか?

その正確な答えは私にはわかりません。ただそうすると治るという現象があるのみで、その作用機序の説明は後付けの理論になってしまうからです。

イソップ童話に「北風と太陽」というお話があり、皆さんはご存知ですので今更ご説明するまでもないと思いますので、詳細は省略させていただきますが、間接法は、これに似ていると思います。

ズレている方から力ずくで中心に戻そうとするのが、直接法で、これはあたかも、旅人の上着を北風が力ずくで脱がそうとする姿に似ています。

逆に間接法は、太陽が旅人を燦々と照らした結果、旅人はその上着を自ら脱いでしまう様に、ズレた関節も、自ら中心へと戻ってくるのです。

『陰極まれば陽になり、陽極まれば陰となる』と言いますが、人の体にもこれは当てはまると思います。例えば椎骨が右にズレていた時に、陰が極まっていない状態で、中途半端にズレているとします。それを間接法にて更に悪い方へ僅かな力を加えることで、『陰極まる』状態に持っていくことになります。すると、その結果として『陽』に転じた椎骨は自ら中心に戻ろうとするのです。

間接法を別の例えで説明すると、ここに崖っぷちに立っている人がいるとします。あと一歩前に足を踏み出したら、奈落の底に転落という状況です。この人の背中をちょっと軽く押してみると、押された人は崖から落ちまいとして、押された方向とは逆に戻ろうとします。これに間接法も似ていると思います。

また、間接法は時計の振り子と同じで、いっぱいまで触れると、逆に戻ろうとするのです。

関節のズレだけでなく、人の悩みも同じで、悩みが浅いうちは悶々と悩み続けていますが、その悩みが極まると、心が陽に転じ、悩んでいる事がバカらしくなって悩みから解放されてしまうのです。

人の体にはホメオスタシスと言われる恒常性維持機能が存在します。これによりその内部環境を一定の状態に保ち続けようとします。体温や血液のphなどが一定に保たれるのもこの働きによります。

感染症にかかると、その細菌やウイルスを駆逐しようとして体は免疫力を高めます。その働きとして人体は発熱して体温を上げます。細菌やウイルスは熱に弱く、人の免疫細胞は熱に強いためこの状態が病気治しに最適なのです。

ただし、体力がある場合は速やかに発熱し、比較的早く回復するのですが、何らかの理由で体力が低下していると、高熱を出せず微熱止まりになってしまいます。これでは『陰極まる』状態になれないので、なかなか病状は好転しないのです。高熱を出すのにも体力がいるのです。

そこで、安静にして体力を温存させ、温かいものを飲み、布団に入り、時には湯たんぽなどを用いて、体を温めると発熱のスイッチがONになり、体温が上昇して病気の回復を促します。これは、陰極まる状態に様々な角度から条件を整えた結果、振り子が逆に振れるようにホメオスタシス(恒常性)が働き、体温が平熱に戻るのです。

人間の身体の老廃物の排泄方法は、主に次の四つあります。

  • 大便
  • 小便
  • 呼吸
  • 皮膚

これらが正常に働けば、比較的健康な状態を保てますが、どこかに滞りがあると、体はホメオスタシスを働かせ、下痢や嘔吐、発熱などで対応しようとします。

結局のところ、体が病気になり様々な症状が出るのも、究極的には陰極まり、振り子が逆に振れるのを助ける働きがあるのです。これにより自然治癒力が発動して健康を回復するのです。

オステオパシーの間接法も、一時的に悪い方へバランスを傾けることで、体に本来備わっている治ろうとする力を目覚めさせる働きがあると思います。逆も真なりですね!

間接法の利点

間接法の調整は、別名「誇張法」とも呼ばれ、とてもソフトな刺激で頭蓋骨や背骨や四肢の関節を調整できます。よって、急性のぎっくり腰のような強い痛みを伴うものや、首の寝違えのように、痛みで首を動かせない患者さんにも対応可能だということです。

また、刺激がソフトなため関節の調整に伴う靱帯や軟骨、椎間板などの軟部組織への損傷のリスクがゼロなのです。

オステオパシーとカイロプラクティックを次のようにたとえられます。

「優しい兄と、きかんぼうの弟」

オステオパシーが優しい兄とされるのは、誇張法などの間接法と呼ばれるソフトな刺激の治療法から名付けられていると思います。

あとは治療の持ちがいいということです。

欠点としては、時間がかかるということくらいです。

どのような関節にもまずは間接法から試してみるのが、最も安全な施術方法と言えます。

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肩こり・腰痛・坐骨神経痛・椎間板ヘルニア・ぎっくり腰・めまい・頭痛・脊柱管狭窄症・自律神経失調症・五十肩・膝の痛み、股関節の痛み等、様々な症状の根本原因を施術する整体治療院 。あん摩・マッサージ・指圧師の国家資格取得者「札幌 キネシオロジーの谷井治療室」です。

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