腰痛のメカニズム

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ヒトとゴリラの骨格
国立科学博物館より  http://www.kahaku.go.jp/

私たち人間は、直立二足歩行に適した骨格をしています。またゴリラなどの類人猿は、ナックルウォーキング ( 指背歩行 ) となり、それに適した骨格をしています。ヒトの脊柱はS字状の形状をなし、垂直方向の衝撃を脳に伝えないようクッション性の構造となっています。

そして、ゴリラの脊柱が建物に例えると「梁(はり)」の役目に近いのに対し、ヒトの脊柱は、「柱」の役目をしています。ヒトの脊柱はS字カーブになるように設計されており、頸椎、胸椎、腰椎などの関節面もそれに適したつくりとなっています。

しかし、現代生活においてデスクワークなどが増えたせいで、この生理的な脊柱のS字カーブが失われてきました。その結果として、一部の筋肉は楽をできるのですが、そのかわりに特定の筋肉や、関節が悲鳴を上げているのです。不良姿勢や肥満などによる体形変化は、頸椎ではストレートネック、胸椎では猫背(円背)、腰椎では腰の反りすぎや、逆に湾曲の少ない腰が丸くなった状態などで、どれも力学的には関節や靭帯、椎間板などに無理のかかる姿勢です。

また、立位と座位では、腰椎椎間板にかかる圧力が違います。椅子に座っている方が立っている時よりも1.4倍も椎間板への圧力が高まるのです。(Alf Nachemson MD, PhD 1976)
ここでの問題は、単に椎間板に圧がかかるのが悪いのではなく、立位でも座位でも悪い姿勢による不均衡な圧が継続的にかかることが椎間板にダメージを与えるということです。

腰痛の原因の一つに、椎間板性疼痛があります。椎間板性疼痛の多くは、不良姿勢や動作によって繰り返し椎間板に負荷がかかると、椎間板の繊維輪に放射状断裂を呈する様な損傷が起きます。これは、金属疲労と同じ原理です。椎間板性疼痛発生の機序は、中等度の変性椎間板における、椎間板後方線維輪の肉芽(にくげ)あるいは瘢痕組織(はんこんそしき)に置換された無症候性断裂部位に、無理な姿勢による再断裂が生じることで発症していると推定されます。

この椎間板性疼痛の状態を治療しないで放置していると、ぎっくり腰を繰り返したり、更に椎間板ヘルニアに移行することもありますので、適切な腰痛治療は大変重要になります。

また、腰痛治療での症状改善を目指す上で、正しい姿勢や正しい身体の使い方は大切です。不良姿勢は一見すると筋肉は楽をしているようですが、腰椎椎間板や、椎間関節は悲鳴を上げているのです。

姿勢と背骨(脊柱)の湾曲
姿勢と背骨(脊柱)の湾曲

悪い姿勢の継続で、脊柱の湾曲が状態化すると、脊椎を引っ張る張力と圧縮力により、骨棘(こつきょく)などの椎骨の変形や、靭帯や軟骨などにも組織学的な変化が現れます。このような状態が継続すると、脊柱管狭窄症や後縦靭帯骨化症、腰椎椎間板ヘルニアなど腰椎変性疾患に移行するリスクが大変高くなります。

また、腰痛が原因で姿勢がゆがむこともあります。腰痛があると、自然と一番楽な姿勢をとるようになります。この状態が慢性化すると、不良姿勢も固定化してしまいます。慢性的な腰痛は、ついつい我慢しがちですが、この状況が常態化すると、椎間板、椎間関節、脊柱が退行変性し、変形性脊椎症(変形性腰椎症)などの退化病にかかりやすくなります。

現代型の腰痛はこのような機序で増加していると思います。腰痛の予防や改善には正しい姿勢が大切ですが、一度歪んでしまった関節や、癖のついてしまった筋膜などは、治療をしてもなかなか元には戻りません。神経障害が慢性化すると腰痛治療を行っても、神経機能障害が残りますので、早めの腰痛治療を行わないと難治性の腰痛症になってしまいます。腰痛や、坐骨神経痛などの異変を感じたら、早めの腰痛治療が必要になります。

札幌 谷井治療室では、関節や筋肉の機能を回復させ、重心バランスを整えて、関節や筋肉、椎間板、神経に無理がかからないよう調整することで、腰痛改善と予防をします。

腰痛の主な原因

腰痛の原因は、筋筋膜性腰痛の様に筋肉や筋肉を包む筋膜の問題。椎間板性疼痛の様に椎間板の問題など様々です。

  • 骨や筋肉や神経の障害(筋骨格的障害)
  • 内臓の病気や、ガン、感染症
  • 精神的ストレス

筋骨格系の腰痛を伴う病名としては、腰椎椎間板ヘルニア、坐骨神経痛、腰部脊柱管狭窄症、腰椎分離・すべり症、変形性脊椎症、胸腰椎の圧迫骨折、打撲など様々ですが、この様に原因として因果関係がはっきり特定できる腰痛は少数です。下図は原因のはっきりしている腰痛の典型的な例である、腰部椎間板ヘルニアのイラストです。

腰椎椎間板ヘルニア
腰部椎間板ヘルニア Posted from Wikipedia

また、腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などの画像所見があるにもかかわらず、まったく無症状の場合もあります。冒頭で述べた通り、実際はレントゲンやCTやMRIなどで画像検査をしても原因がわからない腰痛が大多数なのです。(原因の特定できるものが約15%、原因不明のものが約85%とされています。)

腰痛の診断が難しい最大の理由は、診断法が未だ確率されていないためです。現状では、いかに高性能のMRI を使おうがMRI は答えを教えてはくれません。それは、専門の医師が、MRI所見をもとに総合的に診断し、その答えを見出さなければならないからです。 

腰痛の背景となる、腰椎変性疾患の診断は極めて難しいのです。レントゲン所見やMRI、CT所見などを単なる加齢変化と見なすか、患者様の腰痛や下肢の症状を起こしている病変、すなわち原因と同定するかは、実に患者様の症状と身体所見の関連性を見極める力にかかっているのです。

非特異的腰痛という病名が安易につけられて、腰痛が治らない原因は患者の精神的問題と片付けられてしまうこともあります。

当院では、問診、触診、整形外科的テストに加え、キネシオロジーを行うことで腰痛治療箇所の特定をします。これにより従来の腰痛治療では踏み込めなかった問題まで治療が可能で、術前術後の変化の確認もより正確に行えます。

人体には約206個の骨があり約265個の関節が存在します。

全身骨格と関節
全身骨格と関節

その中で背骨(脊柱)を構成する24個の可動性のある椎骨(頸椎7個、胸椎12個、腰椎5個)と、不定形の椎骨(5個が融合して1個となる仙骨と、3~5個の全て、または、一部が融合することで形成される尾骨)によって形成されます。この5個の腰椎と呼ばれる脊椎の一部が、腰になります。

四足歩行の動物は、背骨が建物でいえば、梁(はり)の役目をしています。人は直立二足歩行をするため、背骨が柱の役目に代わりました。このため最下部の腰椎や骨盤部には、強い圧力がかかるため、頸椎や胸椎に比べ、腰椎は大きくできています。そして、構造上最も圧力のかかる腰部に、腰痛としての症状が発生します。椎間板ヘルニアの好発部位も力学的に負担のかかる第4腰椎と第5腰椎間と、第5腰椎と仙骨間の椎間板になります。

椎骨と椎骨の間にはクッションのような柔らかい椎間板があり、これが脊椎にかかる負担を吸収・分散させる働きを担っています。正常な脊椎は、正面から見ると一本の棒のようですが、横から見ると下図のように、ゆるやかにS字を描いています。このS字カーブによって体のバランスが保たれ、人間は頭部の重量を支えながら2本足で立ったり、歩行することができるのです。

また、S字カーブが脊椎に板バネ様の構造と機能を与え、弾力性があるため、歩いたり、走ったり、ジャンプしたりした時の衝撃を、脳に伝えないようになっています。これらの脊柱の構造により、体を前後左右に柔軟に曲げたり伸ばしたりすることができます。

脊柱側面
背骨(脊柱)側面図

腰痛が発生するときは、これら脊柱の正常な構造と機能に何らかの問題が発生しているため、その原因を問診、視診、触診、整形外科テスト、キネシオロジーで調べ、その結果を総合的に判断して、適切に腰痛治療を行います。

TEL 011-211-4857

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