医学には根治という概念がない

今回ご紹介する書籍は、「あなたが信じてきた医療は本当ですか?」医師の田中 佳(たなか よしみ)先生のご著書で、評論社より出版されております。

医者と患者では「治る」の意味が違います。

  • 医者:症状が消える
  • 患者:病気が消える

見た目に良くなれば医者は「治る」という言葉を使うのです。「風邪を風邪薬で治す」とか、「痛みを痛み止めで治す」というようにです。

逆に患者は、風邪は、「風邪のウイルスを撲滅した時点で治る」と思っています。痛みに対しても「痛みの根本的原因をなくしたら治る」と考えています。

このように同じ「治る」という言葉を使いながら、認識は違うのです。結局、「医学でできることは対処であって、治すことではなかった」ということです。

今の医学部では「病気」については教えるが「健康」や「自然治癒力」については教えないと著者は述べています。

医学部と比較しては失礼ですが、私もあん摩・マッサージ・指圧の国家資格を取る際に通っていた専門学校でも、病理学などを習いますが、健康についてしっかり学んだ記憶はありません。

カイロプラクティックなどでは、イネイトインテリジェンス(先天的知能・自然治癒力)という概念を習いますが、あくまでも概念なので、人により受け止め方が違いますし、そこから深く探求することもあまりありませんでした。

対処療法

著者は、「医学とは何ぞ?と問われれば・・・病気への対処となります」と述べています。

現代医療の風刺

例えば、高血圧という病気を例にとりますと、高い血圧(暴れ犬)に降圧剤(鎖)の処方しか医学ではできません。効果がなければ、降圧剤を増やす(鎖をもう一本)、糖尿病を合併すれば血糖降下剤、肺炎になれば抗生物質を用いる(柵や檻を追加)ようなことです。そして最終的に絵のような状態になって、暴れ犬(病気)が外へ出なくなったので主治医は患者さんにこう言います。

「治りましたね」と、

患者さんも、「お蔭様ですっかり良くなりました。ありがとうございます」と・・・・・

これって病気が治ったのですか? これで終わりにしてしまってよいのでしょうか?

医療現場では何をしているか。内科的に対処しやすい事象は以下の内容です。

  • 圧たかい→下げる 降圧剤
  • 糖たかい→下げる 血糖降下剤
  • 皮疹→塗る    ステロイド
  • 出ない→出す   利尿剤
  • 溜まった→出す  人工透析
  • 難病→・・・・・・免疫抑制剤・ステロイド

次に外科的に対処しやすい事象は以下になります。

  • 穴あいた→塞ぐ   心臓のパッチ手術
  • 詰まった→広げる  ステント留置術
  • 溜まった→抜く   ドレーン留置術
  • 折れた→繋ぐ    整復固定
  • 破れた→取り替える 人工血管置換術
  • 塊できた→取り除く 腫瘍摘出術

この様に医療とは自然治癒力を取り戻すための補助にすぎないということです。

しかし、ご自身が持つ治癒力を上回る病状に対して、医療で一時的にしのぐことは大変意味があります。一時しのぎができている間に、治癒力を高める努力を最大限に行うことこそが大切です。

医学島という島がある

医学の島に住む島民には、島の中だけで通じる概念があります。私たち一般人とは異なる概念を持っているのです。

例えば、こんな言葉をよく聞きませんか?「検査で異常ないから様子をみましょう」といっても、医者は様子をみに来てくれることはないので、「自分で経過観察しておいてね!」という意味で、結果的には「ほったらかしにされる」ということです。

次によく聞く言葉は、「何かあったら来てください」です。患者としては、「何かあってからでは遅くない?」と思うのは当然です。医者としては、検査結果上、まぁ大丈夫だろうというときに、使う言葉です。

この場合、患者側としては「どうなったら再受診が必要なのか教えてください」と確認することが大切です。

次は、手術の時のやり取りです。患者が「手術で治りますか?」と聞くと、医者は「やってみないとわかりません」と無責任な感じの返答が返ってくることがあります。医師の立場からすれば、無理もないことで、実際に不測の事態が起きることもあるので、正直な気持ちであります。

しかし、患者の立場からすれば、もう少し具体的に説明してほしいところです。

また、医師から「手術の成功率は五分五分です」といわれることがあります。医師の立場としては、この五分五分は、先行きが全く分からないときによく使うそうです。

著者に言わせれば、五分五分とは、丁か半か!と同じことだそうです。患者とすれば、そんな博打のようなかけをしたくないというのが本音でしょう。

そこで医者に、そんな手術は受けたくありませんと告げたとしたら・・・次はこうです。「やらないなんて信じられない!この方法に賭けないのですか?」

この言葉は、そのまんま命懸けです。患者さんは「賭けの手術なんて、嫌ですよ!」と答えると・・・・次はこうきます。「万が一治るかもしれません」」医者の説明に突っ込みを入れると、どんどん成功率が落ちてきます。

最終的には、手術を嫌がる患者に医者は「運がよければ助かるかもしれないのに、やらないのはどうかなぁ」といいます。

「運?」はぁ?ですよね。

そんなやり取りが続いて、患者も根負けして「先生に全てお任せします」と言ってしまうと・・・・

医者の心境は、「ヨッシャー、おまかせいただきました~!」となるのですが、何でそうなるかというと、全てを任されるわけですから訴訟の危険性が低くなるのでうれしいのです。

この様に医者と患者さんとの間にある感覚の違いは、思いのほか深いのです。

  • 医者の興味=病気
  • 患者の興味=人生

医者は選んでいいんです

現在かかっている医者と折り合いが悪ければ、主治医を変えればいいのです。良い医者の条件とは、自分を「見て」「観て」「診て」くれているかということです。

明治から昭和にかけての俳人であり小説家である高浜 虚子のお孫さんに、稲畑 汀子(いなはた ていこ)さんがおられます。彼女は同じく現代の俳人であります。

この稲畑さんが、「見るは、観るなり」という言葉を残しております。

「見る」と「観る」とはどう違うのでしょうか。

ここでいう「観る」とは、深く見ることだそうです。

つまり、深く見ることなくして、ものは見えないと言っているのです。

深く見るとは心の目で見ることではないでしょうか。所謂、「心眼を開く」ということになります。

「診る」の方は「脈を診る」「医者に診てもらう」のように、病状や健康状態を
調べるときに使います。

その他にも、「看る」というのがあります。これは、「看病」や「看護」等の言葉どおり、お世話をするという意味で使うものです。

私の様なカイロプラクティックやオステオパシーなどの施術を行う立場で考えてみた場合、最も大事なのは、言うまでもなく「診る」と「看る」の二つです。
日頃から、患者様の顔色も含めて、その様子の変化に敏感に目を配り(=診る)、
そして、なにか変化を見つけた際には、すぐに声をかけ、その語る言葉に耳を傾け、支えたり、励ましたりして寄り添う(=看る)ことができればと思います。

ただし現代医療では、医者はパソコンに向かいつづけていて、体に触れるどころか目も合わせてくれないとか、強引に一方的に患者を医療のレールに乗せようとしたりすることもあります。このような場合、セカンドオピニオンを考えた方がよい間も知れません。

傲慢な医者は、次のように「現代医学は正しい」というのが前提なのです。

  • 医学を学んだ自分は正しい。
  • 医学だけが病を治す。
  • 医学以外に真理は存在しない、だから医学以外は全て偽物である。
  • 医者の言うことを聞かない患者とは関わりたくない。
  • 今ある症状への対処が最重要課題なのだ。

今はこの様な医者もだいぶ減ったと思いますが、この様な医者に当たると、患者さんも恐くて質問もできませんね!

では、どうしてこの様な医者が生まれてしまうのか?著者は、その理由を次のように述べています。

  • 医者は訴訟におびえているから
  • 病院経営の絡み(基本的に保険診療の範囲でしか医療ができない。混合診療禁止)
  • 雑務に追われ忙しい

医者の中にも、命を削って一生懸命お仕事をしている立派な先生もたくさんいらっしゃると思います。心身ともに余裕のない中で、日々のの臨床を行っているのも実情ではないでしょうか。

しかし、患者さんの側も、病気やケガを抱えて心身ともに余裕がないのも事実です。この様にお互いがある意味で切羽詰まった中で、医者と患者さんの間にギャップが生じてしまうのだと思います。

医療で何を得るのか

患者さんの最優先事項は、幸せと生活の質です。逆にたいていの医者が中心に据えているのが「病気」なので、病気を何とかするために合併症や生活の質の低下は「仕方ない」とあっさり切り捨てられます。

しかし、この「生活の質:QOL(Quality of Life)」こそが患者さんの人生ともいえるのに・・・・

「仕方がない」と同じくらいよく使われる言葉に「大丈夫」があります。一般的に医者の口から「大丈夫ですよ!」と言われた場合、注意が必要だそうです。

例えば大腸の手術を受けた際についでに虫垂を切除されたり、胃の手術の際に、胆のうを切除されても「大丈夫ですよ!」と医者は言います。その意味は「なくても死なないからね」という意味なのだそうです。

因みになくてもよい臓器なんてないと思います。ですから患者さんも術前に「取らなくてもよい臓器は残してください」と明言しておかないと「善意」でとられちゃいますのでご注意と著者は述べています。

手術を受けるときの確認事項として、患者さんは以下のことを医者に聞いた方がよいそうです。

  1. 受ける必要があるのか、ないのか。
  2. 受けるなら今なのか、まだ待てるのか。
  3. 待てるのなら、どれくらいか。
  4. 何があったら、待てないのか。
  5. 受けるときと、受けないときの違いは何か。
  6. 受けなかった時の問題点は何か。
  7. リスクは何か。
  8. 何をもって成功と言うのか。
  9. 生活の質を落とすことがあるのか、それはどのようなことか。
  10. 本当に選択肢は他にないのか。

主治医への質問は、遠慮はいらないのです。だって、人生がかかっているですから。これからの時代は、患者の側も、不勉強ではいけません。自分を守り、自分を治すのは、自分の中の自然治癒力だからです。

【著者紹介】
田中 佳(たなか よしみ)
1960年12月19日生まれ
東海大学医学部を卒業後、同大学附属病院脳神経外科助手を経て市中病院にて急性期医療に長年携わる。
大学在任中に悪性脳腫瘍に関する研究で医学博士を取得。
日本脳神経外科学会認定専門医・日本抗加齢医学界認定専門医。
現在は、健康になるための方法を伝える講演活動を、全国で展開している。

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肩こり・腰痛・坐骨神経痛・椎間板ヘルニア・ぎっくり腰・めまい・頭痛・脊柱管狭窄症・自律神経失調症・五十肩・膝の痛み、股関節の痛み等、様々な症状の根本原因を施術する整体治療院 。あん摩・マッサージ・指圧師の国家資格取得者「札幌 キネシオロジーの谷井治療室」です。

全国どこでも遠隔施術も承ります。https://www.taniithiryousitu.com/distant-healing/
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