糖尿病の増加

今回のテーマは、「糖質制限ダイエット」です。参考書籍は水野雅登先生の「薬に頼らず血糖値を下げる方法」になります。

結論から言って、「糖質制限」は、効果的な方法だと思いますが、私もこれを10~20年続けているなどの実績がないので、軽はずみなことは言えないというのが実状です。この点については、自分なりに少しづつ実践し検証していきたいと思います。(なんちゃって糖質制限ダイエットになってしまうのかもしれませんが…)

糖質制限食の要点は、糖質を減らし、タンパク質と脂質を増やす食生活に変更するということです。

この本を書店で見てまずびっくりしたことは、帯に「脱インシュリン率100%」「2型糖尿病患者の全員を注射いらずにした・・・」などのキャッチコピーです。

糖尿病患者が、インシュリンがいらなくなるという内容に、驚いたのですが、実際にこの本を読んでみると、重度の糖尿病の方は、インシュリンが必要になると書いてあったので、キャッチコピーに踊らされるのではなく、この糖質制限を客観的に深堀していきたいと思います。

2016年の厚生労働省の調査によると、「糖尿病が強く疑われる者」は、国内で約1000万人以上。「糖尿病の可能性を否定できない者」が、1000万人以上で、合計すると、2000万人以上が、血糖値に問題を抱えているということです。

この数字は、驚くべき数字で、日本人の6人に1人が、糖尿病か糖尿病予備軍という計算になるのです。

日本では毎年、糖尿病性網膜症から3000人が失明し、糖尿病性腎症から1万6000人が透析導入となり、糖尿病足病変から3000人が足の切断に至っているそうです。

糖尿病の怖い所は、糖尿病では死なないことです。糖尿病性の合併症で重篤な状態になるのです。動脈硬化(脳卒中・心臓病)、糖尿病腎症、糖尿病網膜症、糖尿病神経障害など。また、発がんのリスクも高くなるといわれています。

当院でも、下肢のしびれで来院した患者さんがいました。この患者さんは、もともと腰痛をもっていたので、下肢のしびれも原因は腰だろうと思っていたのです。結論から申し上げれば、糖尿病の神経障害で痺れが出ていたのです。

糖尿病の合併症
【糖尿病の合併症】

日本国内だけでなく、世界でも糖尿病が大変な問題になっております。国際糖尿病連合(IDF)の発表によると、世界の糖尿病人口は爆発的に増え続けており、2017年現在で糖尿病有病者数は4億2,500万人に上り、2015年より1,000万人増えました。有効な対策を施さないと、2045年までに6億9,300万人に増加すると予測しています。

世界の成人11人に1人が糖尿病
出典:IDF Diabetes Atlas 8th Edition

「糖尿病アトラス」では、世界を7地域に区分し統計値を出しています。日本が含まれる「西太平洋地域」は、世界でもっとも糖尿病人口の多い地域になります。

世界の糖尿病人口

著者は、2型糖尿病の増加は、ズバリ!糖質の過剰摂取が原因と言い切っています。

この本を読んで、いかに今までの食に関する知識が間違っていたのかを思い知らされました。また、いかに糖質の多いものを食べていたのかと反省しています。

糖尿病関連の検診数値は以下をご覧ください。

糖尿病と血糖値、HbA1c
【糖尿病と血糖値、HbA1c】

肥満と、糖尿病との関連の指摘されており、肥満を表すBMIを以下に示しますのでご参考ください。

肥満とBMI
【肥満とBMI】

BMIの自動計算ソフトはネット上にたくさんありますのでご自身でチェックしてみてください!

HbA1c(糖化ヘモグロビン)の数値と、BMIは、現状の把握の一つの目安になりますので、健康診断などでチェックしておくとよいでしょう。

糖質制限食は、ここ数年日本でブームとなっており、ガスト、すき家、モスバーガーなどの外食産業でも低糖質メニューを提供するほどです。

糖質制限食といえば、バーンスタイン医師の低炭水化物による糖尿病治療や、アトキンス医師によるアトキンスダイエットが有名で、アメリカでは、2003年頃にブームになりました。

いま日本でブームになっている糖質制限ダイエットは、これらの情報が元ネタになっています。

糖質制限食の主眼は、糖質となる炭水化物となるご飯、パン、麺類や、糖質の多いフルーツやお菓子などの食べ物を抑え、インシュリンの数値を抑えることにあります。

なぜインシュリンの数値を抑えなければいけないかというと、著者はインスリンの3大慢性リスクとして、「肥満」「認知症」「癌」を上げています。

体内にインスリンが高い状態が続くと、細胞レベルで「酸化」が進んでしまうそうで、高血糖状態よりも、むしろ高インスリン状態の方が危険だと述べています。

ここで一つ問題となることがあります。糖質制限食や低インスリンダイエットが、いかに優れたものでも、最終的にやるかやらないかは本人次第ということです。

私も過去に何人もの糖尿病の方とお話しする機会がありましたが、皆さんご飯や、パン、めん類、甘いものなどが大好きで、どうしてもやめられないとおっしゃいます。

ただちょっと疑問なのが、農耕が始まってからは日本人の主食は穀物だと思いますので、昔から糖尿病が多かったのかが疑問です。

そもそも江戸時代などに糖尿病の概念はありませんでした。(血糖値やHbA1cなども測れません)

糖尿病の概念が出来てからも、この病気は大変珍しく、「贅沢病」などといわれていたほどです。

宮沢賢治の「雨ニモマケズ」にも、「一日に玄米四合と味噌と少しの野菜を食べ」とのくだりがありますが、かなりの量の穀物(糖質)をとっていることになります。

ちなみに、明治6年に公布された徴兵令の目玉は、1日6合(江戸時代の「一人扶持」は1日5合だった)の白米を食べさせるという特典でありましたので、今の時代から考えるとものすごい量のご飯(お米)を食べていたことになります。

ではなぜ昔は今ほど糖尿病が多くなかったのでしょうか。私が思うには、穀物を精白して食べる習慣になったことが一つの原因だと思います。

砂糖、米、い小麦粉(パンや麺類など)を、三白といって、ビタミンやミネラルなどの栄養価に乏しく健康に悪い食べ物とされています。

砂糖
白米
食パン

皆様、江戸患い(わずらい)をご存知でしょうか。長い間、日本の庶民の「ご飯」は、未精白の玄米や雑穀が中心で、白米は身分の高い人しか食べられないものでした。その後、江戸時代の元禄時代以降に物流の発展によって、江戸の庶民たちも白米を食べれるようになったのです。

「江戸には仕事もあり、なにより白米が食える!」として、地方から人が集まりはじめます。

しかし、ここで奇妙な症状が現れます。江戸を訪れた地方の侍や大名を中心に、江戸に行くと体調が悪くなる、足元がおぼつかなくなる、怒りっぽくなる、場合によっては寝込んでしまうという者が続出します。

逆に、侍たちが故郷へ帰るとそれらの症状が、ケロリと治ったことから「江戸患い」と呼ばれる様になったのです。 

この原因も、明治に入って解明され「脚気(かっけ)」ということが分かったのです。脚気はビタミンB1欠乏が原因です。胚芽やぬかに含まれるビタミンB1をそぎ落としてしまう白米中心の食事が原因でした。

江戸を離れると麦や穀物、野菜などを中心とした食生活に戻るため、自然と回復したわけです。ちなみに100g中のビタミンB1含有量は、白米がおよそ0.1gなのに対し、玄米は0.5g、米ぬかに至っては2.5gもあります。

日清、日露戦争の大日本帝国陸軍に多くの脚気の患者が出たのも、白米中心の食事が原因といわれています。

現代社会でも、砂糖の多い飲食品や副食の少ないインスタント食品といった、ビタミンの少ないジャンクフードが原因の「新型栄養失調」による脚気の報告が散見されます。

三白に代表される、精製された食品は、高GI食品ですので、急激に血糖値を上げてしまいます。

食品のGI値

GI(Glycemic Index:血糖指数)は、食品に含まれる糖質の吸収度合いを示し、摂取2時間までの血液中の糖濃度を計ったものです。オーストラリアのシドニー大学ではグルコースを基準(グルコース:ブドウ糖=100)とした場合、GIが70以上の食品を高GI食品 56~69の間の食品を中GI食品 55以下の食品を低GI食品と定義しています。

高GI食品は、燃料に例えるとガソリンの様なもので、瞬間的に燃えます。中GI食品は薪(たきぎ)の様なもので、低GI食品は炭の様にゆっくりと燃えるものです。

ただ、上の表に上げた野菜や穀物よりも、お菓子(ケーキ・チョコレート・アイス・まんじゅう・菓子パンなど)や清涼飲料のほうが高GIですので要注意です!

糖尿病増加のもう一つの原因は、飽食(食べ過ぎ)ではないでしょうか。食べ過ぎれば、当然糖質も多くなってしまいます。昔と比べ、一回の食事量が多くなったのと、デザートなどの間食が増えたことが食べ過ぎに拍車をかけています。

これでは糖尿病の増加も、無理もないと思います。著者も現代人は糖質量が許容量オーバーと述べています。

このことから、糖質制限までいかなくても、主食を玄米や雑穀に変え、食べ過ぎないようにして、甘いお菓子や清涼飲料などを控えるだけで、糖尿病にはかなりの成果を上げると思います。

確かに糖尿病の患者さんは、糖質制限をとり入れた医療的な介入が必要だと思います。この様な方は、専門医を探して糖質制限としかるべき医療をお受けになるべきです。

しかし、そうでない方々は、プチ糖質制限、プチ低インシスリンダイエット、などで十分だと思います。

また、現代人の生活が昔と比べると大変便利となり、労働によるエネルギーの消費が減ったことと、運動不足が糖尿病のさらなる増加に拍車をかけています。

自らが1型糖尿病を患い、それを低炭水化物食で改善させたバーンスタイン医師は、運動がいかに血糖値のコントロールに有効かを力説しています。

特に、筋トレなどの無酸素運動は、ジョギングやエアロビなどの有酸素運動よりも、9倍も血糖コントロールに有効であると述べているのです。筋トレの中でも、筋量の多い大腿部を鍛えるスクワットはおすすめです。

スクワット

この様に考えると、口当たりの良い美味しいものを求めた結果、精白された穀物を食べるようになり、便利な生活で楽をすることで運動不足になり、さらに砂糖たっぷりの美味しいデザートや、清涼飲料、ジャンクフード(インスタント食品・ファーストフード)などが加わり、とどめは過食・飽食となれば、糖尿病にならない方がおかしいのです。

糖質制限食も筋トレも、決して楽なものではありません。生活習慣病は生活習慣を改めない限り根本的な解決はないので、最後は本人がやるかやらないか、続けるか続けないかの決断をせまられます。

しかし、どんな食事法も完全無欠なものはありません。糖質制限食もまた然りです。そして人の体も個人差があるため合う合わないはあります。

そんな中でも、糖質制限食が一定数の効果を上げているのは事実です。この食事療法が糖尿病などの病気に悩む方々の福音となる事を願わずにはいられません。

次回も糖質制限についてお伝えしていきたいと思います。

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