人間は「使う」ことで健康を保っています

「使わないものは衰える。」

これは筋肉だけではなく、人間の身体全体に共通する自然の法則です。

医学では、このような状態を廃用性萎縮(はいようせいいしゅく)と呼びます。

寝たきりの生活が続けば脚の筋肉は細くなり、歩くことが難しくなります。

柔らかい食べ物ばかりを食べて噛む機会が減れば、咀嚼に関わる筋肉は弱くなります。

表情を作る機会が少なければ表情筋も衰え、表情は乏しくなります。

さらに筋肉だけではありません。

骨や関節、心肺機能、平衡感覚、神経系なども、適度に使われなければ徐々に機能が低下していきます。

人間は本来「動く生き物」です。

動物という漢字は「動く物」と書きますが、人間も例外ではありません。

身体は入力と出力で成り立っています

解剖学者の養老孟司先生は、人間はコンピューターのように「入力」と「出力」を繰り返すことで生命活動を維持していると説明されています。

目や耳、鼻、皮膚などは情報を受け取る入力装置です。

一方、その情報を行動へ移す出力装置は、骨格筋を中心とした運動器です。

現代人は情報を得る機会は非常に増えました。

スマートフォンやテレビ、インターネットから大量の情報を毎日受け取っています。

しかし、その一方で身体を動かす機会は昔と比べて大きく減りました。

入力ばかりが増え、出力が減っている。

これが現代社会の特徴ではないでしょうか。

現代社会では「使わないこと」が健康問題になっています

近年ではロコモティブシンドローム(ロコモ)やサルコペニア、フレイルという言葉を耳にする機会が増えました。

いずれも、筋肉や骨、関節など運動器の機能が低下し、日常生活に支障をきたす状態を表しています。

高齢者だけの問題と思われがちですが、車社会やデスクワーク、スマートフォン中心の生活が当たり前になった現代では、若い世代でも運動不足や筋力低下が問題となっています。

便利さは私たちの生活を豊かにしました。

しかしその一方で、身体を使う機会は確実に減っています。

これは廃用性萎縮という視点から見ても、決して無視できない問題だと思います。

筋肉だけではなく顎も衰えます

私は顎関節症の患者さんを多く診ていますが、近年は顎の発達にも変化を感じています。

昔と比べて柔らかい食品が増え、噛む回数も減りました。

その結果、顎の筋肉への刺激が少なくなり、顎が十分に発達しない人も増えていると言われています。

実際に、親知らずが生えてこない人や顎が小さい人は以前より珍しくありません。

脚を使わなければ脚力が落ちるように、噛まなければ顎の筋肉も衰えます。

顎もまた、身体の一部なのです。

👉顎関節症ページの詳細はこちら

国立科学博物館で教えていただいた話

以前、東京・上野の国立科学博物館を訪れた際、学芸員の方から非常に興味深い話を伺いました。

江戸時代以前の人骨と現代人の大腿骨(太ももの骨)を比較すると、その違いがよく分かるそうです。

特に太ももの裏側の筋肉が付着する部分を見ると、昔の人の骨は筋肉に強く引っ張られていたため、畑の畝のように盛り上がっています。

縄文人は特徴的な大腿骨の形状をしています。柱状性(ちゅうじょうせい)の大腿骨というものです。大腿骨幹の後縁が梁状に突出しているもので、大腿骨の強度を強くしたり、付着する筋肉をよく使ったからなど諸説あります。

一方、現代人の大腿骨は比較的平らです。

もちろん個人差はありますが、昔の人の方が日常的によく歩き、身体を使って生活していたことが骨にも表れているというお話でした。

私は実際にその骨を見せていただき、とても驚いたことを今でも覚えています。

生活様式が変わることで、人間の身体は想像以上に変化するのだと実感しました。

「使わない」と機能は低下しやすくなります

身体には「使うことで維持される」機能が数多くあります。

歩かなければ歩く能力は低下します。

噛まなければ噛む力は弱くなります。

身体を動かさなければ筋力や持久力は落ちていきます。

脳についても同じことが言える部分があります。

読書をしない、考えない、新しいことに挑戦しない生活を続ければ、認知機能や思考力の低下につながる可能性があることが知られています。

身体も脳も、適度な刺激を受けながら使い続けることが健康維持には大切なのです。

AI時代だからこそ「考える力」を使いたい

近年はAIの進歩により、調べ物や文章作成、情報整理までAIが手伝ってくれる時代になりました。

とても便利になった反面、私は少し気になることがあります。

それは、人間が「考える」という行為までAIに任せるようになったとき、脳はどうなるのでしょうか。

筋肉は使わなければ衰えます。

骨も適度な刺激がなければ弱くなります。

それならば脳も、自ら考え、判断し、工夫する機会が減れば、本来持っている能力を十分に発揮できなくなる可能性があるのではないでしょうか。

もちろんAIは非常に便利な道具です。

しかし、大切なのはAIに使われることではなく、AIを上手に使いこなすことだと私は考えています。

便利さと引き換えに失ったもの

文明は私たちの生活を豊かにしました。

しかし、その一方で失われつつある能力もあるように感じます。

歩く機会は減りました。

噛む回数も減りました。

暑さや寒さに耐える機会も少なくなりました。

道を覚える必要も少なくなりました。

そしてAIの登場によって、自分で考える機会まで減ってしまうかもしれません。

便利になることは決して悪いことではありません。

しかし、人間の身体は便利さだけでは健康を維持できません。

適度に歩き、噛み、身体を動かし、自分の頭で考える。

そうした「使うこと」が、人間本来の健康を支えているのだと思います。

ケンタという犬から教えられたこと

両方の後ろ足に障害をもつ犬の画像

私が時々利用する新登別温泉の旅館には、ケンタという犬がいました。

ケンタは両方の後ろ足に障害がありました。

ご主人は歩行補助具や車輪を付けようとしましたが、ケンタはそれを嫌がり、不自由な足で一生懸命歩こうとしていました。

その姿を見て私は深く考えさせられました。

補助具の方が楽なはずなのに、自分の身体を使うことを選んでいたのです。

動物は本能的に「動かなければ生きられない」ことを知っているのかもしれません。

人間は便利さによって、その本能を少し忘れ始めているようにも感じます。

私が思うこと

私は、「使わない機能は少しずつ神様へ返していくもの」ではないかと考えています。

もちろん、これは医学的な話ではなく、私自身の人生観です。

筋肉も、骨も、噛む力も、考える力も、使わなければ少しずつ失われていきます。

そして、すべてを返し終えたときが人生の終わりなのかもしれません。

便利な時代だからこそ、意識して身体を動かし、よく噛み、自分の頭で考える。

それが、人間らしく健康に生きるために大切なことではないでしょうか。

================================

肩こり・腰痛・坐骨神経痛・椎間板ヘルニア・ぎっくり腰・めまい・頭痛・脊柱管狭窄症・自律神経失調症・五十肩・膝の痛み、股関節の痛み等、様々な症状の根本原因を施術する整体治療院 。あん摩・マッサージ・指圧師の国家資格取得者「札幌 キネシオロジーの谷井治療室」です。

札幌市営地下鉄中島公園駅から徒歩1分と好アクセスです。

ご予約は TEL: 011-211-4857 にお電話下さい。

腰痛や肩こりの改善なら札幌市の整体|国家資格あん摩マッサージ指圧師の谷井治療室トップページへ

北海道札幌市中央区南9条西4丁目3-15AMSタワー中島1503号室

健康と医療ランキング

にほんブログ村 健康ブログへ

にほんブログ村