足の狂いと体の狂い
今回のブログのテーマは、足と健康についてです。
足は立つ、歩くなどの動作の起点となるとても大切な部分です。この足がいま危機に瀕しているのです。
私も臨床の現場で、外反母趾などの変形を起こしている足を目にする機会がかなりの頻度であります。原因には、様々な要因がありますが、やはり一番は、足に合わない履物を履き続けた結果だと思います。
特に女性のハイヒールは、人間の骨格や運動学から言っても、かなりのマイナス面があります。ハイヒールの批判をすると、女性からお叱りを受けるかもしれませんが、足の変形や機能障害は全身障害へと発展してしまう大変重要な問題ですので、あえて取り上げていきたいと思います。
男性はハイヒールを履くことが無いのでよくわからないかと思いますので、ハイヒールについてその特徴などをご説明いたします。
ハイヒールとは、かかとがつま先より7cm以上持ち上げられるものと定義されています。(5cmでも体にはよくない)
ハイヒールの欠点を以下に示します。
- ハイヒールはかかとの接地面が「面」ではなく「点」であるためバランスが悪い。
- 階段でバランスを崩しやすい。
- 排水溝の穴に挟まり折れる。
- 点字ブロックの凹凸でバランスを崩す。
- 道路の溝にはまりバランスを崩す。
- かかとからつま先への重心の移動がスムーズに行えない。
女性だけでなく実は男性もかかとを上げる靴を履いている方がいます。それはシークレットシューズと呼ばれるもので、ナポレオンやスターリン、ヒトララーなども履いていたそうです。
男性のシークレットシューズは、権威者がその威厳や、まやかしの神格性のための自己演出用アイテムとして用いたのに対して、女性のハイヒールは美しさを求めている点で、それぞれの違いがありますが、どちらもそれなりの心理的効果もあるようです。
ハイヒールは、現代の纏足(てんそく)と言われるほど体にとっては悪いもので、次のような問題が起きています。
- 外反母趾などの足の変形(足底アーチが無くなる開張足など)
- 拇趾で踏みしめられなくなり、巻き爪になる。
- 痛い足のせいで姿勢が悪くなる。
- 魚の目
- 捻挫
- 腰痛
- 不妊
また、かかとが高い事だけが悪いのではなく、ゆるすぎる靴もいけません。靴の中で足が動いてしまい、先端の「捨て寸」の部分に食い込んで指が変形してしまうこともあるのです。
日々の臨床で目にするのは、ハイヒールを履く習慣の多い方は、まず足の変形が酷いことと、膝や股関節、腰などの痛みを訴える率が高いこと、肩こりや頭痛も多いことです。とにかく全身状態が悪くなるので注意が必要です。
ハイヒールとはちょっと違いますが、バレエジューズも爪先立ちの不自然な体制を強いられるので、結果として足の変形が起こります。当院にもバレエを行っている方がいますが、足の変形から膝の痛み、股関節の痛み、腰痛、肩こりなど様々な症状で悩まされています。
先の細い靴は、そこに足が食い込んでしまうので、更に変形を助長します。最近では男性も先のとがった靴を履いている方をよく見かけますが、注意が必要かもしれません。僕はあの靴を見ると、悪役プロレスラーのアブドーラ・ザ・ブッチャーご愛用の凶器シューズを思い出してしまいます。
この様に足はとってもデリケートで大切な部分なのです。
ヒトの一対の足には52本の骨と64の筋肉と腱、76の関節、そして靭帯が複雑に機能し全体重を維持し、また移動させている。
人体の中で最も骨の数が多く、一歩進めるたびに体重の1/4強の負荷がかかり、走ると体重の約3倍の負荷を支える能力があります。
また、身長の60%の高さから飛び降りて着地する際、足の裏には体重の4倍以上の負荷がかかるのです。
イタリアのルネッサンス期の芸術家レオナルド・ダ・ビンチ(1452~1519)は、「あし」を次のように絶賛しています。
足は人間工学上、最大の傑作であり、そしてまた最高の芸術作品である
足の研究者として有名な故平沢 弥一郎(ひらさわ やいちろう)先生は、名著「足の裏は語る」の中で、足と人間の重心などについて、様々な研究をされています。
平沢先生は、ご著書の中で現代人の立ち構えが、怪しくなってきていると警鐘を鳴らしています。
足の裏の重心の位置が、だんだんと踵(かかと)寄りに移行し始めてきて、いわゆる「ふんぞり返り」の立ち構えになってきているというのです。
1972年頃(昭和47年)と、この本が出版された1992年頃(平成4年)の比較として、ピドスコープ(接地足底投映装置)という足裏から重心を測定する装置で、膨大なデータをとりました。
足長(踵からつま先まで)を100とした場合、1972年以前は重心の位置が踵から47%であった。
それが、1992年頃のデータでは、40%まで後退してきたというのです。
その原因は、構造的には足の指の関節(中足指節関節)が機能低下を起こしているためと述べていますが、これは表面的な解釈で、もっと深い人間の内面的な原因があると平沢先生は語っています。
立ち構えには、「身構え」と「気構え」があり、とくにこの「気構え」が大切であるといっています。
人間は何か興味を持ったことに対しては、身を乗り出して前かがりになります。この興味や希望の喪失が「気構え」の喪失につながると考えられるそうです。
希望の「望」の字は、月が地平線から上がってくるのを、今か今かと待ち望んでいる人の姿からの象形文字だそうで、「気構え」の喪失とは、生きる「希望」を忘れてしまっているからではないかと平沢先生はお考えになっていました。
「からだ」とは人間が二本の足の裏で、しっかりと立ち構えているさまを表す「からだち」(軀立ち)という大和言葉に由来しています。
また、「歩」という字は、「止」が右の足の裏を、「少」は左の足の裏を表していて、それが合わさると歩くという字になるのです。面白いですね!
立つ、歩くことの基本に大切な足があります。この足をいたわるためにも、履物には気を付けていただきたいと思います。
ガラスの靴が合うのは童話のシンデレラだけなのです。
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