変形性股関節症とは?

股関節の構造

股関節の痛みは自分で治せます!

今回ご紹介する書籍は「変形性股関節症は自分で治せる!」佐藤 正裕著、学研プラスより出版されています。

変形性股関節症の患者は日本国内で、初期の段階も含めると600万人以上いるといわれます。

なぜこれほどまでに股関節の不調を訴える方が多いのでしょうか?

変形性股関節症と診断されるのは、50歳以上の方に多く女性は男性の3倍以上ということがわかっています。

発症には一次性と二次性があります。一次性の変形性股関節症は、股関節に何らかの異常がないにも関わらず発症します。その原因は加齢や肥満、激しいスポーツにより、関節に繰り返しの負荷がかかることで、関節軟骨がすり減り発生します。

二次性の変形性股関節症は日本人に多く、股関節の形状に異常がある臼蓋形成不全(きゅうがいけいせいふぜん)と呼ばれ、太ももの骨の先端である大腿骨頭を包み込む寛骨臼(かんこつきゅう)の範囲が狭いことが一番の原因と考えられています。

また、昔から日本では「脚をおおっぴらに開くのは下品」と教えられ、女性は脚を内側に閉じておく習慣が根付き、股関節が内旋になっていることが、さらに悪化を招く要因となっています。

そして、デスクワークが増え、長時間座る習慣で股関節周囲の筋力低下を起こしていることも問題となっています。

姿勢も大切な要素で、猫背で骨盤が後傾していることも股関節に負担をかけ、股関節痛の原因になるのです。

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股関節痛セルフチェック

自分の股関節の痛みが、どのレベルにあるのかを以下のチェックリストに当てはめて確認してみるといいでしょう。

変形性股関節症初期

  • 以前よりも両脚が外へ広がらなくなり、股関節が詰まる感じがする
  • 股関節を動かすと、ポキポキと音がするようになった
  • 歩行中、急に股関節がカクッと外れるような感覚がある
  • イスにじっと座っているだけで辛く、股関節に違和感がある
  • 動いているとき、股関節の骨が抜けて力が入らない様なときがある
  • 長時間歩いた後、股関節が重だるくなったり、痛みが出たりする

変形性股関節症中期

  • 足の爪切りがやりにくくなった
  • 靴下をはいたり脱いだりすることが難しくなった
  • 和式トイレで用を足すのが辛くなってきた
  • 車の乗り降りで脚を動かすとき、苦痛を感じるようになった
  • しゃがんだ後、自力で立ち上がれなくなった

変形性股関節症後期

  • 脚を外側にまったく広げられなくなった
  • 明らかに左右の脚の長さに差がある
  • 太ももの太さが、左右の脚で異なっている
  • 出かけるときは、杖がないと怖くて外に出られない
  • 明らかに歩きの乱れ(跛行:はこう)が存在する

「初期」「中期」「後期」のうち当てはまる項目が2つ以上あるところが自分のステージです。

股関節のタイプ

ご自分の股関節に起こっている痛みや違和感が、どのタイプに属するのかを判断することで、リハビリのための運動のやり方などが変わってきます。

Aタイプ

先ほどの股関節痛セルフチェックで、「初期」の方は、Aタイプであるとご理解ください。整形外科などで「臼蓋形成不全」や「股関節唇損傷」または、「前股関節症」の診断を受けている方も、Aタイプに属しているとお考え下さい。

Aタイプの人は、日常動作の不具合はまだそれほど生じていないものの、感覚的な不調は確かに実感しています。

Bタイプ

股関節痛セルフチェックで「中期」や「後期」に当てはまった方は、Bタイプの股関節トラブルを抱えていると認識してください。

Bタイプの人は、不快な感覚だけでなく、動作にも支障をきたすようになっているのが特徴です。

この様に適切な判断をもとにセルフケアを行えば、Aタイプの方は股関節痛をスッキリ解消させることができます。

Aタイプよりも状態が悪くなってしまったBタイプの方も、さらなる悪化を安全かつ効率的に防ぐことができます。

変形性股関節症の原因

股関節痛の根源は筋肉であり、これは「関節の外」の問題になります。筋肉=「関節外」の問題が次第に「関節の中」まで広がっていき、骨が変形したり、軟骨がすり減り、関節の隙間が狭くなったりして、痛みが増幅・慢性化してしまうのです。

猫背などの様に姿勢が悪かったり、内またで脚を内側にひねって行う癖があると、股関節周りの筋肉を働かせ続けているのと同じ状態です。

筋肉が股関節を動かし、さらにショックアブソーバーの役割として負荷、衝撃を緩和している。股関節まわりの筋肉がこり固まってしまうと、これらの能力も低下してしまうのです。その結果として、変形性股関節症が発生しやすい素地ができてしまうのです。

変形性股関節症に関係が深い疾患

変形性股関節症は様々な要因が重なって徐々に進行していきます。主な関連要因は以下のようなものです。

  1. 臼蓋形成不全(寛骨臼形成不全)
  2. 股関節唇損傷
  3. 先天性股関節脱臼

臼蓋形成不全(寛骨臼形成不全)とは、太ももの骨の先端(大腿骨頭)を覆う骨盤の窪み(寛骨臼)の面積が小さい状態をいいます。よく「かぶりが浅い」などと表現されます。

臼蓋形成不全は、変形性股関節症に移行することが多く、中高年女性の変形性股関節症の約80%は臼蓋形成不全が原因とされています。

股関節唇損傷とは、股関節唇と呼ばれる骨盤側の寛骨臼の縁の部分をぐるっと取り囲む柔らかい軟骨で、リング状のゴムパッキンのように大腿骨頭を包み込んでいる部分(下図の水色の部分)を、様々な原因で、損傷した状態をいいます。

股関節唇を損傷すると痛みを生じたり、股関節の動きが悪くなるなどの症状が出ます。長期的には変形性股関節症の原因になると考えられています。

股関節唇
股関節唇

先天性股関節脱臼とは、出生前や出産後の発育の過程で、股関節が脱臼を起こしてしまった状態をいいます。女児に多い傾向があります。「先天性」というものの、生まれた直後から脱臼が見られるケースは少なく、もともと不完全な状態の関節が、股関節を締め付けるような抱き方や、おむつの当て方などの影響を受けて徐々に脱臼しまうことが多いといわれます。

そのため、最近は臼蓋形成不全(大腿骨の先端部分を受け止めている臼蓋の形状が不完全なこと)や亜脱臼(関節が外れかかっている状態)を含め、発育の段階で徐々に悪化することも多いことから「発育性股関節形成不全」と呼ばれています。変形性股関節症に進行する可能性高いといわれます。

変形性股関節症のセルフケア

全ての股関節痛の方におすすめなのが股関節周囲の筋肉をほぐすことです。すぐに痛みを取りたいときはまず以下に示す方法で硬くなった筋肉をゆるめてください。

筋肉ほぐし

筋肉ほぐし用スーパーボール

筋肉ほぐしを行う際に用意するものは、直径5~6cmのスーパーボールか、テニスボール、手ぬぐいを2回かた結びしたものを作り用意します。

股関節周囲のコリ固まった筋肉をしっかりほぐします。筋肉が柔軟になることで股関節の動きがスムーズになり、これだけで痛みが消えることもある特効ケアです。

中殿筋(ちゅうでんきん)

中殿筋
中殿筋

中殿筋は、お尻の上部、左右斜め後方の位置にある。

  1. 中殿筋の位置に筋肉ほぐしグッズを当てる
  2. そのまま1~2分間、横向きに寝る(少しずつ当てる位置をずらしてもいいです)

大腿筋膜張筋(だいたいきんまくちょうきん)

大腿筋膜張筋
大腿筋膜張筋

大腿筋膜張筋は、左右の脚の付け根~おへその中間ほどの高さで、体の側面~斜め前方の位置にある。

  1. 股関節に違和感や痛みがある方の大腿筋膜張筋の位置に、筋肉ほぐしグッズを押し当てる
  2. そのまま1~2分間、横向きに寝る(少しずつ当てる位置をずらしてもいいです)

大腿直筋(だいたいちょっきん)

大腿直筋
大腿直筋

大腿直筋は、左右の脚の付け根~ひざにかけての前面中央に伸びている筋肉。そのうちターゲットになるのは、股関節の真上の位置にある、大腿直筋の最上部。

  1. 大腿直筋の位置に筋肉ほぐしグッズを当てる
  2. そのまま1~2分間、うつ伏せになる(少しずつ当てる位置をずらしてもいいです)

ハムストリング(半腱様筋・半膜様筋・大腿二頭筋)

ハムストリング
ハムストリング

ハムストリングとは太ももの裏側にある三種類の筋肉の総称で、内側に半腱様筋(はんけんようきん)・半膜様筋(はんまくようきん)、外側に大腿二頭筋(だいたいにとうきん)となっています。

膝を曲げるときや股関節を後ろに反らすときに働く筋肉です。

  1. ハムストリングの坐骨結節直下の起始部と太もも裏面中央の筋腹の部分をほぐします。
  2. 椅子に座った状態で、ハムストリングの坐骨結節直下の起始部に筋肉ほぐしグッズを当てる。そのまま1~2分間(少しずつ当てる位置をずらしてもいいです)
  3. 椅子に座った状態で、ハムストリングの筋腹に筋肉ほぐしグッズを当てる。そのまま1~2分間(少しずつ当てる位置をずらしてもいいです)

股関節痛改善体操 Aタイプ

運動療法には大きく2つの目的があります。トレーニングにより筋肉をつけることと、ストレッチで関節の可動域を高めることです。

それでは股関節痛の改善のための体操法をご紹介します。まず「Aタイプ」の方にお勧めの運動です。

あぐらストレッチ

股関節周りの組織を柔軟にするので、痛みの軽減や動く範囲(可動域)の拡大にも効果があります。内股歩きなど、股関節痛の原因になる癖も矯正。

  1. 左右の脚の裏を合わせて座る・・・床に座り、左右の手を後方において上半身を後ろに少し倒したら、左右の脚の裏をピタッと合わせる。
  2. 左右の脚を小刻みにゆすりながら広げる・・・1の状態のまま、左右の脚を外側へ少しずつ広げていくように、1~2分間小刻みに揺らす。両膝を床に近づけていくようにイメージしながら行うと効果的。回数の目安は、1日1~2回。

ポイント・・・上半身を前方に倒す姿勢はNG

骨盤動かし体操

股関節の正常な動きを取り戻すため、関連する筋肉に再教育を施す体操です。前側の緊張した筋肉は、伸ばしてリラックス。後ろ側の、怠けた筋肉はしっかり働かせます。

  1. 骨盤に両手を添えて仰向けに寝る・・・両手のひらを骨盤に添えて、両膝を自然に立てて仰向けに寝る。
  2. 骨盤を動かしておしりの下部を少し浮かせる・・・腰はできるだけ床につけたまま、おしりだけを持ち上げる。このとき、おしりの穴がきゅっと締まり、骨盤が前後へ柔軟に動いているのを確認。「おしりの下部を床から浮かせる」「おしりの下部を床につける」を繰り返す。これを10~20回繰り返すのを1セットとして、回数の目安は1日に1~2セット行います。

つま先立ち体操

これまでほとんど働いていなかった筋肉に、ちゃんと働かせるための刺激を与えます。「歩くのが楽になる」「姿勢が良くなる」など、いくつものメリットを得られる体操です。

  1. おしりの左右に親指を押し当てて立つ・・・おしりの穴から左右10㎝ほどの位置に両手の親指を押し当てながら、姿勢よく立つ。このとき、左右の足は前方へ向けて真っすぐ、4~5cmの間隔で平行に開いて立つ。
  2. かかとを上げてつま先立ちをする・・・かかとを上げてつま先立ちをしたら、左右の膝・かかとをくっつけて、いい姿勢を保つ。その大勢を10秒間キープ。この時、おしりの穴をキュッと締め、親指を押し当てている「おしりの奥の方の筋肉」が使われるように意識すると効果的。回数の目安は、1と2を1セットとして、1日に2~3セット行います。

ポイント・・・崩れた姿勢で行うのはNG

しっかりしゃがみ立ち体操

股関節から下半身全体に効く軽めのトレーニングを行えば、普段の動きがいっそうスムーズになり、痛みと無縁の生活がより近づきます。

  1. かかとをつけた状態で立つ・・・両足のかかとをつけ、左右のつま先は外側に向けて、いい姿勢で立つ。左右の手は骨盤に添えておく。
  2. 蹲踞(そんきょ)の様にしゃがんでから立ち上がる・・・骨盤が前後に倒れないように手で確認しながら、両足をできるだけ外側に開くようにしながらしゃがみ込み、立ち上がって1の体勢へ戻る。これを3~5回繰り返すのを1セットとして、回数の目安は1日に1~2セットを行います。

ポイント・・・かかとをつけた状態から必ずスタートする。

股関節痛改善体操 Bタイプ

股関節の変形や痛みなどが、「中期」や「後期」に当てはまる「Bタイプ」の方にお勧めの体操をご紹介します。

タオルストレッチ

「股関節がかたかったり痛かったりして、脚をうまく動かせない」というかたも、タオルを使えば最適なセルフケアが可能!

効果的なストレッチが、状態改善を導きます。

  1. 床に座ってタオルを足裏にひっかける・・・まず、床に座り、細長く折りたたんだバスタオルの両端を持つ。次に、タオルの中央部を、股関節痛がある方の足裏に引っかける。
  2. 脚を上げてゆっくり左右に動かす・・・1の状態のまま、タオルを手前に引っ張りながら床に寝て、痛む方の脚をコントロールしながら1~2分間、上げている脚をゆっくりと左右に動かす。このとき、左右いずれの脚もできるだけ真っ直ぐにして、股関節の周りを柔らかくするイメージで行うと効果的。回数の目安は、1日に1~2回。余裕があれば、反対側の脚も、1~2の要領でストレッチする。

まとめ

股関節の痛みを改善する筋肉ほぐしや、体操、運動法はその他にもたくさんありますので、このブログの冒頭に貼り付けている動画「変形性股関節症は自分で治せる【札幌 谷井治療室】」をご参考にしてください!

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肩こり・腰痛・坐骨神経痛・椎間板ヘルニア・ぎっくり腰・めまい・頭痛・脊柱管狭窄症・自律神経失調症・五十肩・膝の痛み、股関節の痛み等、様々な症状の根本原因を施術する整体治療院 。あん摩・マッサージ・指圧師の国家資格取得者「札幌 キネシオロジーの谷井治療室」です。

全国どこでも遠隔施術も承ります。https://www.taniithiryousitu.com/distant-healing/
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ご予約は TEL: 011-211-4857 にお電話下さい。

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