私が治療業界に入った頃
私が治療業界に入った頃は、どこかの治療院に弟子入りし、師匠のもとで治療技術や仕事の在り方を学ぶことが当たり前の時代でした。
いわゆる「徒弟制度」です。
さすがに昔ながらの丁稚奉公のような形ではありませんでしたが、それに近い文化はまだ色濃く残っていました。
私自身も複数の治療院でお世話になり、修業を通じて技術だけではなく、人との接し方や仕事に対する姿勢など、多くのことを学ばせていただきました。
今ではこうした徒弟制度は時代遅れだという意見もあります。
確かに現代の価値観とは合わない部分もあるでしょう。
しかし私は、治療技術のような職人的要素の強い世界では、今でも学ぶべき部分が多い制度だと考えています。
徒弟制度とは何だったのか
徒弟制度の本質は、単に技術を教わることではありません。
師匠の仕事に対する姿勢や生き方を、日々の仕事を通じて学ぶことにあります。
治療業界だけではなく、
- 大工
- 左官
- 料理人
- 落語家
- 歌舞伎役者
など、多くの職人の世界で徒弟制度が受け継がれてきました。
技術というものは、本を読んだだけでは身につきません。
実際の現場で経験を積みながら、少しずつ身体で覚えていくものです。
私は治療という仕事も同じだと思っています。
修行が教えてくれた「考える力」
私が若い頃に弟子入りした治療院では、最初の1〜2年は施術をさせてもらえませんでした。
毎日の仕事は、
- 掃除
- 受付業務
- 洗濯
- 買い出し
- 院内の雑務
が中心でした。
当時は「早く施術を覚えたい」という気持ちもありましたが、今振り返ると、その期間は決して無駄ではありませんでした。
なぜなら、師匠の施術を間近で見続けることができたからです。
昔の職人の世界には、
「技は見て盗め」
という言葉がありました。
私はこの経験から、
自分で考える習慣
を身につけることができました。
師匠がなぜその手を使ったのか。
なぜその検査を行ったのか。
なぜその患者様には別の方法を選んだのか。
誰かが答えを教えてくれるわけではありません。
だからこそ、自ら観察し、考え、試行錯誤する力が養われたのです。
私は今でも、
「どうすればできるようになりますか?」
という質問を受けることがあります。
もちろん学ぶために質問することは大切です。
しかし昔の修行では、まず自分で考え、それでも分からないことを尋ねるという姿勢が求められました。
師匠の技を見て、
なぜそうするのか。
なぜその検査を行うのか。
なぜその患者様には別の方法を選ぶのか。
自分なりに考え続けることが、結果として観察力や判断力を育ててくれたのだと思います。
なぜ師匠はすべてをすぐには教えなかったのか
今振り返ると、師匠が手取り足取り何でも教えなかったことにも意味があったのではないかと思います。
まず一つは、
弟子としての適性や覚悟を見極めるため
です。
治療という仕事は、人の健康や人生に深く関わる仕事です。
そのため昔の師匠たちは、
「本当にこの道を歩む覚悟があるのか」
を見ていたのだと思います。
野口整体の創始者である野口晴哉先生も、治療家としての適性がないと判断した場合には、本人の将来を考え、早い段階で別の道を勧めていたといわれています。
もう一つの理由は、
技術を正しく継承するため
です。
治療の世界には様々な流派や考え方があります。
長い年月をかけて磨き上げられた技術も存在します。
しかし優れた技術ほど、その使い方を誤れば十分な結果が得られなかったり、場合によっては患者様に不利益を与えてしまうこともあります。
だからこそ師匠たちは、技術だけではなく、その技術を扱う人間としての姿勢や責任感も含めて伝えようとしていたのではないでしょうか。
良い師との出会いが人生を変える
修業において最も大切なのは、
どのような師に出会うか
ということです。
昔から、
「10年悪い師に仕えるより、10年かけて良い師を探せ」
という言葉があります。
技術だけではなく、
- 人としての在り方
- 患者様への向き合い方
- 学び続ける姿勢
などは、師匠の背中から学ぶ部分が非常に大きいのです。
教育者の森信三先生は次のような言葉を残されています。
「人間は一生のうち逢うべき人には必ず逢える。しかも一瞬早過ぎず、一瞬遅過ぎない時に。」
私もこれまでの人生を振り返ると、この言葉の意味を強く感じます。
治療技術の習得には時間がかかる
私はカイロプラクティックやオステオパシーなどの臨床に30年以上携わってきました。
その経験から言えることは、
治療技術を本当の意味で自分のものにするには最低でも3〜5年は必要
だということです。
どのテクニックも最初の1〜2年は、まだ借り物の技術です。
もちろんその段階でも患者様を施術することはできます。
しかし、
- 技術の精度
- 応用力
- 判断力
- 対応できる症例の幅
には大きな差が出てきます。
苦労して身につけたものは忘れない
私は以前から、
武術と治療には共通する部分がある
と感じています。
どちらも身体を深く理解し、長い年月をかけて磨いていく世界です。
そして私が今になって特に感じることがあります。
それは、
苦労して身につけたものほど忘れない
ということです。
師匠の施術を何度も観察し、
自分なりに考え、
失敗し、
試行錯誤を繰り返して体得した技術は、
年月が経っても簡単には失われません。
逆に、ただ答えだけを教えてもらった知識は忘れてしまうことがあります。
もちろん現在は昔のように「見て盗め」だけではなく、理論的に学ぶことも大切な時代です。
しかし私は、
言葉で学ぶことと、自分で考えながら体得することの両方が必要
だと思っています。
独立開業して初めて分かったこと
修業時代は大変でした。
しかし独立開業してから振り返ると、
本当の意味で大変なのは開業後だった
と感じています。
開業すると、
- 施術
- 経営
- 集客
- 経理
- 清掃
- 事務作業
すべて自分で行わなければなりません。
だからこそ、修業時代に身につけた習慣や姿勢が大きな支えになっています。
修業時代は理不尽だと感じたこともありました。
しかし独立してすべてを自分で背負う立場になってみると、師匠が厳しかった理由も少しずつ理解できるようになりました。
弟子を鍛えることは簡単ではありません。
本気で育てようと思うからこそ、時には厳しく接する必要もあったのだと思います。
私が今思うこと
現代では徒弟制度そのものは少なくなりました。
しかし、
良い師から学ぶことの大切さ
は今も変わらないと思います。
また、技術を身につけるためには近道ばかりを求めるのではなく、ある程度の時間をかけて経験を積み重ねることも必要です。
私はこれまでの経験を通じて、
修行とは技術を学ぶためだけのものではなく、人としての道を学ぶ過程でもある
と感じています。
まとめ
私自身、複数の治療院で修業し、多くの師や先輩方から学ばせていただきました。
その経験を通じて感じるのは、
良い師との出会いが人生を大きく変える
ということです。
時代は変わっても、
- 謙虚に学ぶ姿勢
- 自ら考える力
- 努力を積み重ねる習慣
の大切さは変わらないのではないでしょうか。
そして今度は、自分が学んできたことを次の世代へ伝えていく立場になりつつあるのかもしれません。
================================
肩こり・腰痛・坐骨神経痛・椎間板ヘルニア・ぎっくり腰・めまい・頭痛・脊柱管狭窄症・自律神経失調症・五十肩・膝の痛み、股関節の痛み等、様々な症状の根本原因を施術する整体治療院 。あん摩・マッサージ・指圧師の国家資格取得者「札幌 キネシオロジーの谷井治療室」です。
札幌市営地下鉄中島公園駅から徒歩1分と好アクセスです。
ご予約は TEL: 011-211-4857 にお電話下さい。
腰痛や肩こりの改善なら札幌市の整体|国家資格あん摩マッサージ指圧師の谷井治療室トップページへ
市中央区南9条西4丁目3-15AMSタワー中島1503号室
健康と医療ランキング
にほんブログ村

