体は燃えている

以前のブログでも体温(低体温の治し方)の事を書きましたが、今回も体温関連のお話になります。

体温測定は家庭で調べられる最も簡単な健康に関する検査で、どのご家庭にも体温計はあるのではないでしょうか。

風邪をひいた時などに体温を測ったりしますが、この様な習慣はいつ頃から始まったのでしょうか。

百島祐貴(ももしま すけたか)医師の著書、『ペニシリンはクシャミが生んだ大発見』 平凡社新書に、体温計の記載がありましたので、その抜粋をご紹介します。

体温測定

世界で初めて体温計を作ったのは、イタリアの医学者サントリオ・サントリオ(Santorio Santorio/1561~1636)で、曲がりくねったガラス管の一方の端を球状に膨らませ、反対の端を水の入った容器に入れた温度計を作りました。

球状の部分を口でくわえると、管内の空気が膨張して水面が下降し、その変化を目盛りで読み取ります。これが世界で最初の体温計です。

サントリオは、アリストテレス、ガレノスなどの様に主観的な記述に頼ってきた医学に対し、「計量」という概念を持ちこみました。

彼は、「体は数字で支配され時計の様に正確に動いている」と言っていました。

しかし、この当時はまだ温度の基準というものがなく、せっかく測定した体温を客観的に判断する材料がありませんでした。

温度目盛りの基準を最初に提唱したのは、ドイツの物理学者ファーレンファイト(Daniel Fahrenheit/1686~1736)です。これは、当時、寒剤(氷、塩化アンモニウム)を使って得られた最も低い温度を0度とし、自分の体温を96度としたもので、現在でいう華氏目盛り(℉:ファーレンハイト)です。

その後1742年にスウェーデンの物理学者セルシウス(Anders Celsius/1701~1744)が、水の氷点を0度、沸点を100度とする摂氏目盛り(℃)を定めました。

こうして、体温を測定、記録できるようになりましたが、診断に体温測定を用いるようになるには、この後さらに100年以上を要します。

体温を実際の医学に応用したのは、ドイツの臨床医カール・ヴンダーリッヒ(Carl Reinhold August Wunderlich/1815~1877)です。彼は25000人の患者に延べ100万回以上の体温測定を行い、1868年に刊行された著書『諸疾患における体温の変化』にまとめています。

彼は、健康人の体温はほぼ一定であること、その正常範囲は36.3~37.5度であると述べています。こうして19世紀後半には、体温測定は基本的な診療行為の一つになりました。

小型体温計の完成

ヴンダーリッヒが最初に使用した水銀体温計は、長さ30センチメートルもある大きなもので、検温には20分を要し、不便でした。

現在のような小型の体温計を開発したのは、アメリカの神経内科医オルバット(Thomas Clifford Allbutt/1836~1925)です。オルバットが作った水銀体温計は長さ12センチメートル、検温時間も5分で、根元の水銀が溜まるところを狭くして検温後も水銀柱が下がらないように工夫してあり、現在の体温計とほとんど変わりません。これにより体温測定が急速に普及しました。

オルバットが小型体温計を作ったのが1866年(慶応二年)、ヴンダーリッヒの著作が発表されたのが明治元年です。当時の日本は、ヨーロッパからの輸入品でしたが、第一次世界大戦勃発により輸入が難しくなり、国産の必要に迫られました。

こうして生まれたのが赤線検温器株式会社で、現在の総合医療機器メーカー、テルモ株式会社の前身です。北里柴三郎も発起人として名を連ねていました。

これはアルコールを使った体温計でしたが、「赤線」の名は目盛りを読みやすくするためにアルコールに赤く着色してあったことに由来します。

現在の体温計

オルバット式の水銀体温計は現在でも使われますが、テルモでは、1984年に水銀体温計の生産を中止して、電子体温計に切り替えています。最近、あまり見かけなくなったはずですね。 最近は電子体温計が広く普及しています。現在の体温計にはコンピューターが内蔵されていて、検温時の温度変化を予測することによって、短いものでは30秒ほどで体温を測れます。さらに最近では、鼓膜が放出する赤外線を検出して、体温を瞬時に測定する耳式体温計も開発され、小児科病棟で活躍しています。

命の範囲

体温計画像
【オルバット式の水銀体温計】

上の写真は、オルバット式の水銀体温計ですが、この体温計には大切なことが記述されているのです。

人の体温は通常この目盛りの範囲に収まるようになっています。健康な時の体温の平均値は36.89℃±0.34℃(腋窩:ワキ下検温)になります。※1) また、この範囲から少しくらいずれていても、おかしくはありません。

※1ここにあげた日本人の平均体温値は、1957年に報告された東京大学田坂定孝先生の研究によるものです。 東京都内の10~50歳代の健康とみなされる男女3,000人余りを対象に、午前、午後、また四季を通じてデータを集めました。測定時は椅子に腰かけ、水銀体温計による30分間の腋窩検温を行いました。体温が36.89±0.34℃の範囲にあるのは全体の73%にあたります。またこの研究を中心的に行った町野龍一郎博士の別の文献※によれば、検温時間について「普通の検温の場合10分間かければよい」と結論づけられています。

※ 町野龍一郎,日本温泉気候学会雑誌,22(4), 34-60, 1959

(テルモ体温研究所より)

オルバット式の水銀体温計の目盛りにあるように、35度から42度が人が生きられる範囲の体温を示しています。この範囲を超えてしまうと人は生命を維持することはできないのです。

体温の平均値が36.89℃±0.34℃とは、意外と高いんですね。これは現代の日本人よりもこの当時の日本人の体温の方が高かったということです。このことは、現代の多くの医師が指摘しているところで、最近は低体温の人が多くなっていると石原結實 医師も警鐘を鳴らしております。

低体温と自律神経

低体温は免疫低下とも関連があり、癌やその他の疾患との関係を指摘されています。うつ病などの精神疾患も体温との関係があると言われています。

また自律神経失調症になると低体温になりやすいと言えます。交感神経か過剰に働くと末梢血管が収縮して血液循環が悪くなります。現代社会はストレス社会と言えますので、どちらかというと交感神経が過敏になっている状態なのです。しかもそれが持続してしまうと自律神経失調症による不定愁訴(頭痛めまい、首や肩こり、疲れやすい、不眠、冷え、のぼせなど)も固定化されてしまいます。

身体の骨格的なバランスと、自律神経との関連もありますので、カイロプラクティックオステオパシーなどで全身のバランスを整えることはとても有効です。頭痛や肩こりなどの不快な症状があるだけで、ストレスになり自律神経の交感神経も緊張してしまいます。

整体治療でバランスを調整してまず心身ともにリラックスできる状態をつくることです。

そして、食生活を改善し、良く体を動かし、睡眠を十分にとって、ストレスの少ない生活を送ることができれば、おのずと体温は正常に戻ってくるのです。皆様もどうぞ気を付けてください。

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